Monday, June 29, 2015

自動車業界向けイノベーション

6月16日、パロアルトにあるオスマンファミリー・ユダヤ人コミュニティーセンター(Oshman Family JCC)で開催された“カナダとイスラエルからの自動車業界向けイノベーション:Funding the Smart Car of Tomorrow“に参加してきました。カナダ大使館パルアルト事務所とイスラエル経済省(Government of Israel Economic Mission)がアレンジした会合で、12社のピッチを20名ほどのVCや企業の人達が聞き、その後で個別会議と懇親会がありました。

12社の中身ですが、 サイバーセキュリティー関連:2社 (イスラエル)
www.argus-sec.com
www.discretix.com/markets/automotive/
3D モーションキャプチャー技術:1社 (イスラエル)
www.xtr3d.com
人体検出オプティカル技術:1社 (イスラエル)
www.guardian-optech.com
フリートモニタリングクラウド技術:2社(イスラエル)
http://www.i4drive.com/
www.mobi-wize.com
見ないで操作できるタッチスクリーン技術:1社 (イスラエル)
http://www.inprisltd.com/
緊急車両報知システム:1社 (カナダ)
https://www.brakers.net/home.html
センサー技術:1社 (カナダ)
http://www.invotekinc.com/
衝突防止技術:1社 (カナダ)
http://phantomintelligence.com/
空間位置センサー技術:1社(カナダ)
http://www.gesturesense.com/xyz/
IoT開発クラウドプラットフォーム:1社 (米国)
http://litmusautomation.com/
英語のまとめは下記を参照ください。
http://www.israeltradeca.org/sites/default/files/short_list_-_transportation_delegation_1.pdf

 イスラエルでは、去年Mobileyeが上場したこともあり、自動車関連の起業が盛んになっているように感じました。カナダはトロントがスタートアップやアクセレレーター、インキュベーターが多く、最近シリコンバレーにピッチに来る会社が増えていると感じます。

これらの中からいくつか面白いと感じた会社をピックアップし、紹介させていただきます。

1.3D モーションキャプチャー技術:1社 (イスラエル)
Extreme Reality: www.xtr3d.com
 カメラで人のジェスチャーを見て動きを判断する技術。Qualcommが買収したGestureTekやGoogleが買収したFlutter、Leap Motionなど、いろいろと出てきている技術で、Microsoft Kinnectなどでも有名。この会社の技術は、マルチデバイスで2Dカメラを使い、人の動きを3Dで判断できる技術に進化しており、ミドルウェアーをセガや360等のゲームソフトの会社、またSamsungスマホ端末にも提供しています。 フレーム毎に3Dモデルを作って、人のとる姿勢を判断。スマホや医療機器、ロボットなどの分野でMicrosoft KinnectやLeap Motion に対抗していくと思われます。スマホでスワイプの代わりにジェスチャーで何をするのかと疑問だったのですが、コンソールゲームに対抗してスマホを大画面に接続してゲームをする際に使えます。ただし、スマホ用ゲームコントローラ市場が立ち上がらなかったことを鑑みると、このようなユースケースが実際に流行るのかはまだ疑問が残ります。 ロボット向けや自動車向けでは、人の動きを見て状況を判断したり、人をよける、ついて行く等、新たな利用方法が出てくるかも知れません。他にも最近話題の高齢者見守りで、人の動きを観察する利用方法があると思います。今後のIoT、ロボット向けの展開が期待されます。

2.人体検出オプティカル技術:1社 (イスラエル)
Guardian: www.guardian-optech.com
 この会社はカメラで近赤外線を検出し、生物がいるか判別する技術で、心臓の鼓動が出す“ゆらぎ”を検出して正確に生物の存在を判定できます。一つ考えられるユースケースはよくニュースに出てくる、乳児や幼児の車への置き去り。パチンコや買い物のための故意なケースはもちろん、単に忘れてしまうケースにも対応でき、カメラで車内をモニターして置き去りを通知、早期に子供を救うことができます。 他にも、座席に人がいない場合は、衝突時にエアーバッグを起動しないなどのユースケースも考えられます。

 すでにデトロイトの自動車企業とのテスト開発が決まっており、今後日本の自動車企業向けや自動運転技術向けにも使えないかと思いました。ただしこれらだけではビジネスにするのは難しいので、他のユースケースも求められるでしょう。

 特別なハードウェアは必要なく、市販のカメラを利用して低コストで作れるため、検出アルゴリズムを武器にカメラシステムを作って売りたいとの事でした。

3.見ないで操作できるタッチスクリーン技術:1社 (イスラエル)
Upsense: http://www.inprisltd.com/
 最近の車には、カーナビだけではなく、オーディオやエアコン操作用などにもタッチスクリーンがついてます。  しかし、 運転者の注意をそらす為、米国では事故の16%は運転者がタッチスクリーン操作中におきるとの統計があるとの事。音声コマンドなどの技術も出てきていますが、この会社は、人差し指から小指までの4本の指をスクリーンにおいて簡単に操作できるという技術を作りました。一切スクリーンを見ずに操作ができるため、自動車向けには最適。この技術はスマホにもソフトウェアとしてダウンロードできるため、さまざまな応用が可能です。  キーボードのようにデファクトな操作方法ができて、将来ブラインドタッチスクリーン操作の基本になるかもとも思いました。

 これらの会社に共通して言えるのは、どれも高度な技術をたくさん持っているわけではなく、既存のコンポーネンツや技術をうまく応用して新しい市場を作っていることです。どの会社が生き残り成功していくかは、いかに新たな市場を見つけ、タイミング良く製品を導入し他社との差別化をするのが重要だと感じます。 早すぎても市場が立ち上がらなかったり、遅すぎると先行者に市場を奪われたり、途中で製品や市場のピボットも必要かもしれません。最後は、これらの状況に柔軟に対応し、チームの力を100%引き出せるリーダーがおり、辛抱強く有益なサポートを与えることができるAngelやVCがついている会社が成功していくと思います。

JABIでは日本向けに新たな技術やスタートアップを紹介し、投資やパートナーシップのお手伝いをしております。また、日本からの技術を米国に導入したり、技術や投資先のリサーチも行ったりしております。スタートアップや社内起業経験者も在籍しており、新事業の立ち上げや拡大にコンサルティングやマネージメントとしての参加も可能です。

岡田朋之

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