Saturday, March 10, 2018

3月6日JABI夕食会報告 「自分の値段」を知るということ ー転職社会アメリカで“働く”とはー

鹿児島大学 法文学部人文学科2年 横田帆南
研修期間 2月26日~3月9日

3月6日に催された、JABIの夕食会に参加させて頂き、シリコンバレーで活躍されている様々な職種の方々からお話を伺った。多くの議題が挙がったが、その中で印象的だったものをまとめる。
はじめに、日米の転職に対する考え方の違いについてである。日本では「定年まで働けそうな会社」を探すのに対し、アメリカは「次も転職すること前提」で会社を探すという。就職し、その会社でノウハウを得て、転職することでキャリアを積んでいく。転職が当たり前の世界であるからこそ各々が「自分の値段」を持っているということであった。自分がどの程度企業、社会に必要とされているのか、今の自分には何が足りないのか、どんなノウハウを身に着けたら自分の価値が上がるのか。アメリカの転職社会は、このようなことがはっきりと自分に突きつけられるシビアな世界であると感じた。また、転職の際、一社に長く勤めている人は、日本では「転職後も当社で長く働いてくれるのでは」というプラス印象を持たれるが、アメリカでは「転職先が見つからない仕事ができない人」というマイナスの印象をもたれるということが驚きだった。日本と違い、年齢や性別に左右されない点からも、「自由な働き方」を感じた。アメリカで転職するためにはブラッシュアップが欠かせない。このように常に自分を磨き高みを目指すという環境、社会の仕組みがシリコンバレーのように常に成長し、世界をリードしていくことにつながっているのだと感じた。
また、今回特に印象的だったのは、日本人の「恩」についての話題である。日本人の持つ「恩」は、アメリカには存在しない概念であるというものだ。文系の私にとってはとても興味深い話題であった。「恩師」、「恩人」、「恩恵」など「恩」は日本人の周りにありふれているものであり、日本人が大切にしているものである。英語で似たニュアンスをもつものとして“favor”や“indebted”が挙がったがこれらの語彙では、日本人にとっては腑に落ちない。「借り」でもなく「負債」でもない「恩」。その大きさや価値は計ることができないものであり、なくなることもない。宗教とは違うが、一種の信仰心のようなものなのか。日本人として当たり前に感じていた「恩」を別の土地に来て改めて考えると独特な感性であると実感したと同時に、「恩」を感じることができることに誇りを感じた。
今回の食事会で共通していたテーマは「外から見た日本」であったと考える。日本の良いところ、悪いところ、単に良し悪しでははかれない様々なものについて、日本人として長年日本を「外」から見てきた方々だからこその視点を感じることができた。様々な切り口からの話題が挙がり、シリコンバレーで活躍されている方々の好奇心の幅広さと、博識さに圧倒され、また感心させられた夕食会であった。