Wednesday, June 24, 2015

アジア・アメリカン・マルチメディア協会(AAMA)主催、コンシューマ・コネクテッド デバイス・カンファレンスからの報告 その3

去る5月7日にシリコンバレーで開催されたAsia American Multimedia Association主催のConsumer Connected Device Conferenceに参加した報告ブログその3を(最終)を書きます。今回はドローンとロボットのパネルセッションについての報告です。

5.パネルセッション:ドローン このパネルでは下記の人たちが登壇しました。
Jessie Lu, Dir of communication, Ehang, inc. – drone manufacturer Bryan Field-Elliot, Founder&CEO, PivielPath - Cloud service for drones  http://pixiepath.com/ Max Bruner, CEO Mavrx – global imaging analysis for agriculture drone http://www.mavrx.co/ Timothy Harris, Co-founder&CEO, Swift Navigation – inch accurate drone location http://www.swiftnav.com/ Nathan Schuett , CEO, Prenav – startup, autonomous drone for image capturing cellphone towers http://www.prenav.com/#intro Moderator: Chris Lee, AAMA Conference Co-Chair &Board members, VC/Growth Investor, Accel Partners
まずドローンとは何か、ラジコン(RC)とはどう違うのかという話から始まりました。ドローンには2種類あり、マルチローターで垂直上昇下降が可能なものと、固定翼を持ち長距離飛行が可能なものがあります。またマーケットも、消費者向け、商用、軍用があります。

ドローンは基本空飛ぶロボットだとも言え、コンピューターの発展、小型化による飛行制御の進歩から生み出されました。登壇のパネリストは消費者向けのドローンを販売しているEhangや農業用のドローンに使われる画像解析技術の会社Mavrx,ドローンの位置をインチ単位で特定できる技術を商用デリバリードローン向けに提供しているSwift Navigation、携帯事業者のセルタワーなどの点検に使われるドローンを提供している、Prenavなどの、さまざまな活用例が紹介されました。

今後の課題として、やはり規制の問題、衝突回避技術の必要性、自律行動可能なドローンの開発、コントロールする人間のエラー対応や、環境(突風、木々など)への対応などが話されました。

面白かったのは、ドローンの技術はセンサー、プロセッサーなどほぼすべてスマホに搭載されており、スマホにローターをつければドローンになるという製品例も紹介されました。

6.パネルセッション:ロボット このパネルでは下記の人たちが登壇しました。
Steve Cousins, CEO Savioke Marco Mascorro, CEO, Fellow Robots John Dulchinos, VP Global Automation, JABIL Ping Wang, Technical Director, Techstars (phD in neuroscience) – qualcomm robotics accelerator Moderator: Jay Eum, Managing Director, Translink Capital & AAMA Conference Co-Chair & President
シリコンバレーではロボット開発が最近熱くなってきているが、なぜなのかという話題で始まりました。JABILのダルチノス(Dulchinos)氏は、最近まで産業用ロボットのAdept社のCEOを勤めていた人ですが、80年代にこれからはロボットだという話を聞いてロボットの会社に就職したが、やっと今になってロボットが本格的に社会に進出しそうだと話されました。また日本の高齢化社会などによるサービスロボットの必要性から、世の中がロボットを受け入れる状況になってきているとの事。技術の進歩により、プロセッサーやメモリー、さまざまなセンサーが安価になり、インターネットによる情報拡散も加わって、今までは大手企業の資本力や多人数がないとできなかった開発が、少人数のスタートアップのチームでできるようになったことも大きいとの事。オープンソースのロボット向けソフト、ROSS,や3Dプリンター、人工知能ディープラーニングの進歩も加わり、ロボットが昨今の技術進歩の最終到着地になりつつあるとの話でした。

クアルコム (Qualcomm)のアクセレレーター、Techstartsでは毎年10チームを選んで投資・開発を進めるが、今年は10チーム中、半分は米国外から、4分の1は産業向け、半分は消費者向け、3分の1はドローンだとの事。またJABILによると、今までのFA(Factory Automation)でのロボットの活用はチッププレースメントマシン等、製造工程の5-10%程度に限られており、組み立て工程は人間に頼っていたが、ここにきて人間とともに組み立てをこなすロボットも出てきているとの事。

サビオキ(Savioke)のカズンズ(Steve Cousins)氏はグーグルが買収した著名なWillow GarageのCEOだった人物ですが、Willow Garageでは人型ロボットが冷蔵庫からビールを持ってくるといった、面白いが、5千万円もするというロボットで、コストの割りにあまり有用でない開発をしていたが、今回のSaviokeでは、実用的なホテルのサービスロボットを低価格で提供することにフォーカスしているとの事でした。

Techstarsのワング(Ping Wang)氏は、ロボット開発の現状を生物のカンブリア爆発といわれる、古生代カンブリア紀、 およそ5億4200万年前から5億3000万年前の間に突如として今日見られる動物の「門( ボディプラン、生物の体制)」が出そろった現象にたとえ、ロボットはあらゆる機能特化に向けて一旦進化し、その中からゼネラルインテリジェンスを持った人型ロボットに進化していくのではという話をされました。彼はニューロサイエンス、脳科学の博士号を持っており、人工知能と人間の脳を比較して、淘汰圧によって進化してきた機能を機械で実現することの難しさがあると説明。 過去30年間人型ロボットを作ろうとしてきた方向性は誤っており、まずは動植物の進化になぞって、IoTセンサーは植物、ロボットはIoT植物が生み出すデータを食べるIoT動物とたとえ、そこからの進化により将来的には人間型ロボットが生まれてくるだろうという話をされました。

最後に: シリコンバレーでは最近多くのIoT関連のセミナー、パネルセッション、ミートアップが開かれており、まさに次の産業革命が起こるのではという気配を感じます。シリコンバレー独特の起業文化やエコシステムから出てくるさまざまなアイデヤや商品を、日本企業にご紹介し、今後の事業戦略、商品開発、そして海外ビジネスや提携に役立てていただきたいと考えております。

岡田朋之

No comments:

Post a Comment