Tuesday, July 21, 2015

Semicon West 2015に参加して


シリコンバレーでインターン中、吉田昌平です。今回は年に一度サンフランシスコで開催される、SEMICON West 2015&InterSolarに参加してきました。

私は主に会場を回りどんな企業が参加し、どんな製品を紹介しているのかに重点を置いていました。会場の大きさと迫力にのまれながらも私のボスについて行き、いろんな製品を観察しました。入場して10分、ずっと思い続けていたことが一つ。知識が追いつかない!


Semiconductor (半導体)について少し知り始めたのが、先日お会いした東京エレクトロンの社員の方に出会ってからなので、細かいところはなかなか理解ができませんでした。ですが、セミコン産業といっても半導体製造機を製造する会社から半導体を用いソーラーパネルを製造する会社まで多種多様だったので、いろんな種類の機械に囲まれていたという意味ではとても楽しめました。やはり男の子の性というべきですか、機械系や金属系のものはいつでも輝いて見えます。中でも、半導体をカットする前の状態は素晴らしかったです。

会場の規模、参加者の数、各企業のブースで熱心に製品説明するスタッフの方の熱意から、イベントがどれだけ有名で重要ものかは十分理解できました。大小様々なブースに企業が製品を並べ、お客様が入ればすぐに対応し、企業アピールのためにグッズを無料提供する。どのブースもホスピタリティーに溢れていました!イベント主催側の配慮も素晴らしく、参加企業の方のホテルの手配からイベント専用アプリを用意までしておりスムーズにイベント情報の取得することが可能でした。

会場を回っていて気づいたのは、やはりサンフランシスコ、海外企業の多さが目立っていました。アメリカだけではなく、日本や中国などのアジア系も多かったようです。マレーシア企業なども見ることができたので少し驚きました。それだけ、SEMICONの規模が大きいという意味ですね!世界中から企業と参加者が来ているだけあって人種の多様性も幅広かったです。先日参加した韓国ロボットフォーラムとの時とは違い、多くの日本企業を見ることができたので、これからの日本企業の海外進出への期待が膨らみました。日本の半導体産業は東京エレクトロンやニコンに続きたくさんの企業が奮闘していたのでこれからも頑張って欲しいです。

イベントを振り返って、昔と比べて参加者の数も減り少し人気ではなくなってきたように思われる半導体産業。でも、サンフランシスコのど真ん中でイベントが開かれ続けているということはそれだけまだ需要があり、世の中が必要としているということです。なので、これからの新たなイノベーションにより、かつての人気を取り戻し、住みやすくより良い生活を人々がおくれるような社会を形成する手助けをできるように期待しています。

吉田昌平 JABI 学生会員–Intern from Wittenberg University/関西外大-

Friday, July 17, 2015

2015年夏のシンポジウム: IoT向け半導体とロボット技術

7月11日土曜日に、カリフォルニア州サンタクララにあるインテル本社の講堂で行われたCASPA (Chinese American Semiconductor Professional Association) 2015年夏のシンポジウムに参加してきました。今回のタイトルは「Living in Avatar: Network Computing, Artificial Intelligence, and Robotics to Fuel Future Computing」で、いくつかのプレゼンテーションがありました。この中から興味深かった内容をご紹介したいと思います。

Robotics Inventions National Drones社のCEO、Marek Sadowski氏は、NASA Amesで火星探査マーズローバーの設計に携わった後、ITのコンサルタントとしてIMB、HP、NTTなどの企業で活躍、2004年に今の会社を立ち上げ、ロボットの開発をしています。ポーランドに設計部隊があり、インドのIT企業に例えて「ロボット開発のバンガロールになる。」と、意気込んでいました。今回は、サービスロボットや家庭用掃除ロボット、オフィス用大型掃除ロボット、湖底深度を測る自動ロボットボートなどを紹介。また、軍事偵察ロボットや複数のロボットを一人でコントロールできるBMS(戦場管理システム)なども開発しているとの事でした。警備ロボットのKnightscopeや、有名なiRobotに競合する製品を作っています。



Cadence Design Systems社のチーフ戦略オフィサー、Brandon Wang氏は、IoT市場の状況と将来についての話をしました。90年代のパソコンから、2000年代の携帯電話、その後のスマホを経て、今後はIoTで爆発的に半導体の出荷数が増えるという話です。興味深かったのは、バリューチェーンを4つのレベルに分けてマーケットサイズを予想していることです。同氏によると2020年には、レベル1 (Things)が$31B、レベル2 (Communication Network)が$17B、レベル3 (Cloud Computing)が$18B、そしてレベル4 (Application and Service) は$262B となり、やはり、アプリケーションやサービスの付加価値が一番大きくなるとの事でした。




携帯デバイスに様々なセンサーが加えられる事によってコストが下がり、さらに市場が加速するというサイクルに入ってきています。無線技術も、2020年には伝送速度10Gbpsが可能な5Gがやってくると考えられ、省電力技術やチップのパッケージ技術の進歩も相まって、ウェアラブル製品やアプリケーション市場がさらに加速するとの事です。それにしても、半導体の集積度やMEMS (Micro Electro-Mechanical Systems)の進歩、低電圧駆動による超低電力SoC等による、不揮発性メモリー制御、電力制御、無線充電など、ウェアラブル機器に利用されている技術の進歩には、目を見張るものがあります。

SRI International社のプリンシパル・リサーチエンジニア、Roy Kornbluh氏は、同社におけるロボット研究の成果を紹介しました。同氏は、現在Artificial Muscle社が開発している電場応答性高分子(Electro-Active Polymers: EAP)の発明者でもあり、ソフトアクチュエータとも呼ばれる人工筋肉について説明しました。実験のデモビデオでは、ロボットの上腕筋への応用や、柔らかいロボットの足、蛇ロボット、電圧をかけて硬くすることでロボットの指間接を制御する例などが紹介されました。


また、SRI社が開発した静電エラストマーを使用しているGrabit社製の「何でも掴めるロボット」の紹介もありました。製造現場や織物工場などで活用されています。

さらに、ExcoMuscle(外部筋肉)やバネを活用することで、従来のロボットに比べて20倍もの歩行エネルギー効率を達成した、PROXI人型ロボットの紹介もありました。このロボットは、先日のDRC (DARPA Robotics Challenge) でも活躍しました。

人工筋肉は、まだ耐久性やコスト、大量生産などに問題が残されています。例えば、ハプティクスと呼ばれる触覚フィードバック技術としてスマホ等のタッチスクリーンに、あるいは高級ヘッドフォンの低音振動用などへの適応や商品化が期待されており、残された技術課題等の解決が望まれます。いずれ小型モーターやリニアモーターに取って代わる人工筋肉ができれば、生物のように静かに動くロボットが出てくるのではと、今後の展開が楽しみです。

スマホ市場の拡大によってセンサーのコストが下がり、ネットワークやクラウドの発展によって通信、ストレージ、計算処理コストが下がり、AIやDeep Learning機械学習によって知能が向上、その上で人工筋肉などの新たなメカトロニクスの発展が見えてきています。まさに、IoTとロボットの分野でいわゆるカンブリア紀の大爆発が起ころうとしているのです。

岡田朋之


Tuesday, July 7, 2015

ロボットフォーラム レポート



去る6月25日、サンノゼにあるJABIL社のBlue Sky Innovation CenterにてKorea Robot Forum & Business Roadshowが開催されました。韓国のDaegu(大邱)市から10社以上が参加し、ロボット向けの部品や部品加工技術などの紹介が行われました。ロボット向けといっても、自動車や携帯電話など他の業界向けに展開されている部品や装置を、ロボット向けに売り込むのが目的の様でした。 今回はシリコンバレーのロボット業界著名人が参加し、キーノートやパネルセッションが開かれ、興味深い話が聞けましたので、内容をレポートしたいと思います。

JABILは今年で50周年になる米国のEMS企業で、さまざまな製品を生産している会社です。イベントのホストだということもあり、まず、Senior Vice President of Marketing and SalesのJoanne Moretti氏からJABILの歴史やビジネスについての紹介がありました。またUS Commercial ServiceのJoanne Vliet氏が米国と海外企業を繋ぎ米国直接投資をサポートする、Select USAプログラムについて説明され、米国に100拠点、海外に100拠点を設けての活動をしているとの事。詳細は日本語のサイトを参照ください。http://www.buyusa.gov/japan/investinamerica/index.asp キーノートスピーチではJABILのJohn Dulchinos氏やiRobot (Roomba)開発の父として知られている、Scott N. Miller 氏が登壇されました。 

John Dulchinos氏のプレゼンは以前にも一度聞いたことがあるのですが、彼が30年前にサービスロボットの未来を夢見てこの業界に飛び込んだが、今になって、その時に語られていた世界が来る素地が、やっと揃ったと話されていました。技術の進化や部品コストの低下、人工知能の発達といった要因だけではなく、労働人口の減少や労働コストの上昇によってロボット導入のビジネスケースができ、新たにロボットが注目されて来ているようです。

例えば、今まで世界の製造工場として機能してきた中国の製造業における労働コストは、この数年でメキシコを抜き、また新興国の賃金も増加している為、今後は製造用のロボット、特に組み立て工程でのロボットの必要性が大幅に増えるだろう。加えて、少子化対策の影響で人口分布が偏っており、高齢化社会におけるサービスロボットの必要性も増えるとのこと。日本で起きていることが数桁大きいレベルで起きてくるので、製造現場や社会インフラへのロボットの導入が加速しそうです。

次に、iRobot開発の父として知られているScott Miller氏の話が聞けたのは大変有意義でした。MIT時代に作ったマグロロボットでマグロの水泳効率を再現した話から、Walt Disney社で数メートルある巨大恐竜ロボットを作った話、Hasbro社向けに低価格な幼児用の人形を作った話など盛りだくさんでした。面白かったのはiRobotルンバ掃除機がヒットした後、Scoobaという床拭きロボットを開発したが、さっぱり売れなかった理由です。ルンバは競合製品が掃除機なので値段が高くても消費者は購入したが、Scoobaの競合は数十ドルで入手可能なモップなので、値段を200ドルレベルに下げる必要があったということです。また、iRobotを開発した理由も面白く、人々にどんなロボットが欲しいかと聞いて回ったら、掃除機かビールを持ってきてくれるロボットが欲しいというのが圧倒的に多かったからだそうです。

Scott Miller氏は現在Dragon Innovationでさまざまな新しい製品を製作しており、開発例には有名なSpheroやJIBOがあります。このような新製品の開発は2ステージあり、まずはプロトタイプの開発、それから量産向け開発となります。プロトタイプの開発は、最近の技術の進歩でさまざまなツールがあるため、比較的簡単にできるようになったとの事。3Dプリンターや、Arduino, Beegle board, Rasberry PIなどの開発ボード、ROSなどのオープンソースソフトのおかげで、特別な電気工学や機械工学の知識がなくても開発ができるという状況が、さまざまな製品アイデアの実現化に貢献しています。量産フェーズでは、少量多品種開発向けにRethink RoboticsのBaxterのような組み立てロボットがでてきており、今後は過去の大量生産から少量多品種生産に移行していくだろうと説明されました。また、ミレニアル世代といわれる16歳 -34歳の世代は、製品へのこだわりや新製品への興味が高いのと、米国では団塊の世代と同数の人口比率で存在する為、今後少量多品種に消費の傾向を変えてくるのではとの事でした。

Translink CapitalのJay Eum氏はSamsung Ventures の米国トップの経験から自分のベンチャーキャピタルを起こした人で、キーノートでは起業と海外展開について話されました。韓国系米国人のEum氏は韓国で最近成功したインターネット企業を紹介。日本でも知られているネイバーやカカオトーク, 最近ソフトバンクが投資をしたクーパンなどについて、ローカルマーケットで勝利する重要性について説明されました。ハードウェアビジネスは海外向けの展開も大事だが、リテールやローカルなサービスの場合は、無理して海外向けに展開して失敗するよりもまずは自国での地固めが重要で、成功ファクターとしては、抵抗の低い道を選ぶこと、ビジネスのバランスを考慮してマーケット機会を選ぶこと、内部リソースと外部のネットワークを最大限活用することなど、具体例を挙げて説明されました。

キーノートの後はパネルセッションに以降。ここでも著名人のコメントが多く聞けました。最初のセッションは”工業ロボットの新たフロンティア“ “New Frontiers for Industrial Robotics”というタイトルで、Baxterで有名なRethink RoboticsのBrian Benoit氏、Fetch RoboticsのCTOのMichael Ferguson氏、Stanford Research Institute(SRI)発 でArtifical Musleから進化した会社Grabitの投資家、Charlie Duncheon氏、ABBからもパネル参加され、工業ロボットの未来について話されました。

工業用ロボットで今後期待されるのは、人と共存して組み立てができるロボット(ABB YuMi Rethink Robotics Baxterなど)です。またAmazon のKivaロボットのように工場や倉庫などで製品やパーツを選び運搬するロボット(Fetch Robotics)、さまざまな製品を傷つけることなく掴める技術(Grabit)などの紹介がありました。Grabitとは従来機械では不可能であった布,織物を掴むことができるため、繊維工業の製造工程の自動化が可能になります。

組み立てロボットの問題点についても議論されました。少数多品種の生産では短期間に生産ラインを立ち上げ、短期間生産した後また短期間に別の製品に変更する必要性があるため、現在のロボット機能変更のフレキシビリティ(柔軟性)では追いつかず、まだまだ人間が作業をする必要があるようです。ロボットの技術が進歩し一台で複数の作業を学習することができるようになれば、前出の人口減や人件費高に対応できてくると考えられ、今後の技術進歩が期待されています。

最後は、Silicon Valley Roboticsの会長でありSRIのロボット研究所長Rich Mahoney氏、ホテル向けサービスロボットSaviokeのCEO、Steve Cousins氏、iRobot VenturesのHans Anders氏、ElementのTim Smith氏が登壇、そしてSilicon Valley RoboticsのExecutive Director, Andra Keay氏をモデレーターとしてパネルセッションが行われました。

Mahoney氏は、SRIにおけるロボット開発の状況と、最近開催されたDARPAロボティクス・チャレンジについて紹介がありました。SRIでは今までの半分の電池容量で3時間歩き続けるロボットや超軽量アシストスーツを開発しているとの事。DARPAロボティクス・チャレンジにはメディアが300社も参加し、内100社は日本のメディアだったそうです。日本のロボットに対する熱意が感じられました。今回の大会では雰囲気が以前とはずいぶん変わり、まるでスポーツ・イベントのように観客が歓声をあげたり応援をしたりしていたのが印象的だったようです。ロボットが転ぶシーンはYoutubeで何度も流され、米国内のロボットに対する悪いイメージ(映画ターミネーター、労働を奪う敵など)の改善に役だって良かったとのコメントもありました。

SaviokeのCousins氏は、ロボットのハードとソフトのバージョン管理や、アップグレードの大変さについて説明されました。サービスロボットを社会に理解してもらい浸透させるためには、ストーリーボードやビデオなどで利用シーンを説明すると良い。iPhoneができるまで誰もスマホの必要性を感じなかったのが、今は、スマホなしでは考えられないように、ロボットも利用シーンが明確になれば必要と感じてもらえるという話でした。これは技術先行で開発した後、誰も買わないと言った問題の解決に有効だと思います。最近はKickStarterやIndigogoなどでビデオを見せて投資を募ることが流行ってますが、同じ考えであると感じました。 今回のイベントでは、人間の代わりをする組み立て用ロボットやサービスロボットが浸透していくのにはまだまだ大変な道のりであるが、コストパフォーマンスがビジネスモデルの境界線を越え、急激に採用が進む時代が間近に迫っているのではと感じました。Dulchinos氏が30年前に夢見た世界が、あと数年でやってくるのかも知れません。

岡田朋之