今日のインターン先での仕事はいつもと違う終わり方をした。通常通りならば、5-6時に仕事を終え家に帰る用意をするのだが、今日はその後、JABI Hourの準備をし始めた。JABI HourとはJABIに属する人や、興味を持つ人が集まり自由に話す場で、私は今回が初めての参加となった。参加者の大半は独立し、現在各々の会社を持つ人や独立を考えている人達が多く、起業を目指す私にとっては、大変勉強となる時間だった。
最初は参加者それぞれの2分間の自己紹介と質疑応答で始まったが、予想通り、皆話す内容と質問したいことが多く、時間を越えるのが当たり前となった。彼らの人生は、私が聞いたことも経験したこともない波瀾万丈なもので、とても新鮮なものだった。独立に至った経緯や理由は、私のモチベーションを上げるには十分すぎるものだった。私の自己紹介の番が来た時は少し緊張したが、言いたい事とそれについて尋ねたい事を聞けた。そして、私へのアドバイスは的確なもの、そして、独創性に溢れるものがあり、学び、吸収するものが沢山あった。
話のトピックは数え切れないほど多岐にわたり、ビジネスの話から政治の話、物理、安保やエイリアンなど雑学的な話まであった。普段、私の友達と話す内容とはまったく違う内容と質で飽きることがなかった。特に、起業とは関係ないが、安保に関する議論は、テレビに出てくる著名人の討論を聞いているようだった。
私の母は沖縄出身なので、個人的にはいろいろ思うことがあった。常日頃から思っている事だが、集団的自由権の行使について、政府は戦争が起こることを前提に話しているような気がするので嫌気がさしている。現在はアメリカに守られている状況で、日本に何かあればアメリカが助けてくれる。だが、反対にアメリカになにかあれば防護可能にするというものだ。そうなれば『戦争』ではないかもしれないが、自衛隊の中から戦闘により死者が出る可能性も出てくるかもしれない。そうなれば状況も一変するだろう。無知な私だが、個人的には、日本が昔の過ちをまた繰り返しかねないと懸念している。
政治に対して若者はどのように考えているかという質問も話の中で出てきた。私自身、政治はあんまり知っている方ではないが、海外に留学し、いろんな学生と話、日本の現状をより客観的にみれるようになって思ったのは、今の日本では若者の興味のベクトルは、先進国の中でも得に平和な日本であるがゆえ、いろんな方向にあり、あまりにも政治に関心のない学生が多すぎるという事だ。「知る、知らない」の前に関心がなければ考えることもない。もちろん、真面目に考えている学生も沢山いるが、その逆も然りだ。私、ビジネス、起業、日本に携わるものとしては、日本の政治状況や他国との問題は大変大切なものなので、これからも注意していきたい。
次回のJABI Hourはどのようになるか、もう既に楽しみにしている。普段考えないようなことを考える機会を与えてくれ、そして新しい考えを生み出してくれた数々のアドバイスを聞くことができ、とても良い経験になった。JABI Hour感謝である。
吉田昌平 JABI 学生会員–Intern from Wittenberg University/関西外大-
Tuesday, June 30, 2015
Monday, June 29, 2015
自動車業界向けイノベーション
6月16日、パロアルトにあるオスマンファミリー・ユダヤ人コミュニティーセンター(Oshman Family JCC)で開催された“カナダとイスラエルからの自動車業界向けイノベーション:Funding the Smart Car of Tomorrow“に参加してきました。カナダ大使館パルアルト事務所とイスラエル経済省(Government of Israel Economic Mission)がアレンジした会合で、12社のピッチを20名ほどのVCや企業の人達が聞き、その後で個別会議と懇親会がありました。
12社の中身ですが、 サイバーセキュリティー関連:2社 (イスラエル)
http://www.israeltradeca.org/sites/default/files/short_list_-_transportation_delegation_1.pdf
イスラエルでは、去年Mobileyeが上場したこともあり、自動車関連の起業が盛んになっているように感じました。カナダはトロントがスタートアップやアクセレレーター、インキュベーターが多く、最近シリコンバレーにピッチに来る会社が増えていると感じます。
これらの中からいくつか面白いと感じた会社をピックアップし、紹介させていただきます。
1.3D モーションキャプチャー技術:1社 (イスラエル)
2.人体検出オプティカル技術:1社 (イスラエル)
すでにデトロイトの自動車企業とのテスト開発が決まっており、今後日本の自動車企業向けや自動運転技術向けにも使えないかと思いました。ただしこれらだけではビジネスにするのは難しいので、他のユースケースも求められるでしょう。
特別なハードウェアは必要なく、市販のカメラを利用して低コストで作れるため、検出アルゴリズムを武器にカメラシステムを作って売りたいとの事でした。
3.見ないで操作できるタッチスクリーン技術:1社 (イスラエル)
これらの会社に共通して言えるのは、どれも高度な技術をたくさん持っているわけではなく、既存のコンポーネンツや技術をうまく応用して新しい市場を作っていることです。どの会社が生き残り成功していくかは、いかに新たな市場を見つけ、タイミング良く製品を導入し他社との差別化をするのが重要だと感じます。 早すぎても市場が立ち上がらなかったり、遅すぎると先行者に市場を奪われたり、途中で製品や市場のピボットも必要かもしれません。最後は、これらの状況に柔軟に対応し、チームの力を100%引き出せるリーダーがおり、辛抱強く有益なサポートを与えることができるAngelやVCがついている会社が成功していくと思います。
JABIでは日本向けに新たな技術やスタートアップを紹介し、投資やパートナーシップのお手伝いをしております。また、日本からの技術を米国に導入したり、技術や投資先のリサーチも行ったりしております。スタートアップや社内起業経験者も在籍しており、新事業の立ち上げや拡大にコンサルティングやマネージメントとしての参加も可能です。
岡田朋之
12社の中身ですが、 サイバーセキュリティー関連:2社 (イスラエル)
www.argus-sec.com3D モーションキャプチャー技術:1社 (イスラエル)
www.discretix.com/markets/automotive/
www.xtr3d.com人体検出オプティカル技術:1社 (イスラエル)
www.guardian-optech.comフリートモニタリングクラウド技術:2社(イスラエル)
http://www.i4drive.com/見ないで操作できるタッチスクリーン技術:1社 (イスラエル)
www.mobi-wize.com
http://www.inprisltd.com/緊急車両報知システム:1社 (カナダ)
https://www.brakers.net/home.htmlセンサー技術:1社 (カナダ)
http://www.invotekinc.com/衝突防止技術:1社 (カナダ)
http://phantomintelligence.com/空間位置センサー技術:1社(カナダ)
http://www.gesturesense.com/xyz/IoT開発クラウドプラットフォーム:1社 (米国)
http://litmusautomation.com/英語のまとめは下記を参照ください。
http://www.israeltradeca.org/sites/default/files/short_list_-_transportation_delegation_1.pdf
イスラエルでは、去年Mobileyeが上場したこともあり、自動車関連の起業が盛んになっているように感じました。カナダはトロントがスタートアップやアクセレレーター、インキュベーターが多く、最近シリコンバレーにピッチに来る会社が増えていると感じます。
これらの中からいくつか面白いと感じた会社をピックアップし、紹介させていただきます。
1.3D モーションキャプチャー技術:1社 (イスラエル)
Extreme Reality: www.xtr3d.comカメラで人のジェスチャーを見て動きを判断する技術。Qualcommが買収したGestureTekやGoogleが買収したFlutter、Leap Motionなど、いろいろと出てきている技術で、Microsoft Kinnectなどでも有名。この会社の技術は、マルチデバイスで2Dカメラを使い、人の動きを3Dで判断できる技術に進化しており、ミドルウェアーをセガや360等のゲームソフトの会社、またSamsungスマホ端末にも提供しています。 フレーム毎に3Dモデルを作って、人のとる姿勢を判断。スマホや医療機器、ロボットなどの分野でMicrosoft KinnectやLeap Motion に対抗していくと思われます。スマホでスワイプの代わりにジェスチャーで何をするのかと疑問だったのですが、コンソールゲームに対抗してスマホを大画面に接続してゲームをする際に使えます。ただし、スマホ用ゲームコントローラ市場が立ち上がらなかったことを鑑みると、このようなユースケースが実際に流行るのかはまだ疑問が残ります。 ロボット向けや自動車向けでは、人の動きを見て状況を判断したり、人をよける、ついて行く等、新たな利用方法が出てくるかも知れません。他にも最近話題の高齢者見守りで、人の動きを観察する利用方法があると思います。今後のIoT、ロボット向けの展開が期待されます。
2.人体検出オプティカル技術:1社 (イスラエル)
Guardian: www.guardian-optech.comこの会社はカメラで近赤外線を検出し、生物がいるか判別する技術で、心臓の鼓動が出す“ゆらぎ”を検出して正確に生物の存在を判定できます。一つ考えられるユースケースはよくニュースに出てくる、乳児や幼児の車への置き去り。パチンコや買い物のための故意なケースはもちろん、単に忘れてしまうケースにも対応でき、カメラで車内をモニターして置き去りを通知、早期に子供を救うことができます。 他にも、座席に人がいない場合は、衝突時にエアーバッグを起動しないなどのユースケースも考えられます。
すでにデトロイトの自動車企業とのテスト開発が決まっており、今後日本の自動車企業向けや自動運転技術向けにも使えないかと思いました。ただしこれらだけではビジネスにするのは難しいので、他のユースケースも求められるでしょう。
特別なハードウェアは必要なく、市販のカメラを利用して低コストで作れるため、検出アルゴリズムを武器にカメラシステムを作って売りたいとの事でした。
3.見ないで操作できるタッチスクリーン技術:1社 (イスラエル)
Upsense: http://www.inprisltd.com/最近の車には、カーナビだけではなく、オーディオやエアコン操作用などにもタッチスクリーンがついてます。 しかし、 運転者の注意をそらす為、米国では事故の16%は運転者がタッチスクリーン操作中におきるとの統計があるとの事。音声コマンドなどの技術も出てきていますが、この会社は、人差し指から小指までの4本の指をスクリーンにおいて簡単に操作できるという技術を作りました。一切スクリーンを見ずに操作ができるため、自動車向けには最適。この技術はスマホにもソフトウェアとしてダウンロードできるため、さまざまな応用が可能です。 キーボードのようにデファクトな操作方法ができて、将来ブラインドタッチスクリーン操作の基本になるかもとも思いました。
これらの会社に共通して言えるのは、どれも高度な技術をたくさん持っているわけではなく、既存のコンポーネンツや技術をうまく応用して新しい市場を作っていることです。どの会社が生き残り成功していくかは、いかに新たな市場を見つけ、タイミング良く製品を導入し他社との差別化をするのが重要だと感じます。 早すぎても市場が立ち上がらなかったり、遅すぎると先行者に市場を奪われたり、途中で製品や市場のピボットも必要かもしれません。最後は、これらの状況に柔軟に対応し、チームの力を100%引き出せるリーダーがおり、辛抱強く有益なサポートを与えることができるAngelやVCがついている会社が成功していくと思います。
JABIでは日本向けに新たな技術やスタートアップを紹介し、投資やパートナーシップのお手伝いをしております。また、日本からの技術を米国に導入したり、技術や投資先のリサーチも行ったりしております。スタートアップや社内起業経験者も在籍しており、新事業の立ち上げや拡大にコンサルティングやマネージメントとしての参加も可能です。
岡田朋之
Wednesday, June 24, 2015
アジア・アメリカン・マルチメディア協会(AAMA)主催、コンシューマ・コネクテッド デバイス・カンファレンスからの報告 その3
去る5月7日にシリコンバレーで開催されたAsia American Multimedia Association主催のConsumer Connected Device Conferenceに参加した報告ブログその3を(最終)を書きます。今回はドローンとロボットのパネルセッションについての報告です。
5.パネルセッション:ドローン このパネルでは下記の人たちが登壇しました。
ドローンは基本空飛ぶロボットだとも言え、コンピューターの発展、小型化による飛行制御の進歩から生み出されました。登壇のパネリストは消費者向けのドローンを販売しているEhangや農業用のドローンに使われる画像解析技術の会社Mavrx,ドローンの位置をインチ単位で特定できる技術を商用デリバリードローン向けに提供しているSwift Navigation、携帯事業者のセルタワーなどの点検に使われるドローンを提供している、Prenavなどの、さまざまな活用例が紹介されました。
今後の課題として、やはり規制の問題、衝突回避技術の必要性、自律行動可能なドローンの開発、コントロールする人間のエラー対応や、環境(突風、木々など)への対応などが話されました。
面白かったのは、ドローンの技術はセンサー、プロセッサーなどほぼすべてスマホに搭載されており、スマホにローターをつければドローンになるという製品例も紹介されました。
6.パネルセッション:ロボット このパネルでは下記の人たちが登壇しました。
クアルコム (Qualcomm)のアクセレレーター、Techstartsでは毎年10チームを選んで投資・開発を進めるが、今年は10チーム中、半分は米国外から、4分の1は産業向け、半分は消費者向け、3分の1はドローンだとの事。またJABILによると、今までのFA(Factory Automation)でのロボットの活用はチッププレースメントマシン等、製造工程の5-10%程度に限られており、組み立て工程は人間に頼っていたが、ここにきて人間とともに組み立てをこなすロボットも出てきているとの事。
サビオキ(Savioke)のカズンズ(Steve Cousins)氏はグーグルが買収した著名なWillow GarageのCEOだった人物ですが、Willow Garageでは人型ロボットが冷蔵庫からビールを持ってくるといった、面白いが、5千万円もするというロボットで、コストの割りにあまり有用でない開発をしていたが、今回のSaviokeでは、実用的なホテルのサービスロボットを低価格で提供することにフォーカスしているとの事でした。
Techstarsのワング(Ping Wang)氏は、ロボット開発の現状を生物のカンブリア爆発といわれる、古生代カンブリア紀、 およそ5億4200万年前から5億3000万年前の間に突如として今日見られる動物の「門( ボディプラン、生物の体制)」が出そろった現象にたとえ、ロボットはあらゆる機能特化に向けて一旦進化し、その中からゼネラルインテリジェンスを持った人型ロボットに進化していくのではという話をされました。彼はニューロサイエンス、脳科学の博士号を持っており、人工知能と人間の脳を比較して、淘汰圧によって進化してきた機能を機械で実現することの難しさがあると説明。 過去30年間人型ロボットを作ろうとしてきた方向性は誤っており、まずは動植物の進化になぞって、IoTセンサーは植物、ロボットはIoT植物が生み出すデータを食べるIoT動物とたとえ、そこからの進化により将来的には人間型ロボットが生まれてくるだろうという話をされました。
最後に: シリコンバレーでは最近多くのIoT関連のセミナー、パネルセッション、ミートアップが開かれており、まさに次の産業革命が起こるのではという気配を感じます。シリコンバレー独特の起業文化やエコシステムから出てくるさまざまなアイデヤや商品を、日本企業にご紹介し、今後の事業戦略、商品開発、そして海外ビジネスや提携に役立てていただきたいと考えております。
岡田朋之
5.パネルセッション:ドローン このパネルでは下記の人たちが登壇しました。
Jessie Lu, Dir of communication, Ehang, inc. – drone manufacturer Bryan Field-Elliot, Founder&CEO, PivielPath - Cloud service for drones http://pixiepath.com/ Max Bruner, CEO Mavrx – global imaging analysis for agriculture drone http://www.mavrx.co/ Timothy Harris, Co-founder&CEO, Swift Navigation – inch accurate drone location http://www.swiftnav.com/ Nathan Schuett , CEO, Prenav – startup, autonomous drone for image capturing cellphone towers http://www.prenav.com/#intro Moderator: Chris Lee, AAMA Conference Co-Chair &Board members, VC/Growth Investor, Accel Partnersまずドローンとは何か、ラジコン(RC)とはどう違うのかという話から始まりました。ドローンには2種類あり、マルチローターで垂直上昇下降が可能なものと、固定翼を持ち長距離飛行が可能なものがあります。またマーケットも、消費者向け、商用、軍用があります。
ドローンは基本空飛ぶロボットだとも言え、コンピューターの発展、小型化による飛行制御の進歩から生み出されました。登壇のパネリストは消費者向けのドローンを販売しているEhangや農業用のドローンに使われる画像解析技術の会社Mavrx,ドローンの位置をインチ単位で特定できる技術を商用デリバリードローン向けに提供しているSwift Navigation、携帯事業者のセルタワーなどの点検に使われるドローンを提供している、Prenavなどの、さまざまな活用例が紹介されました。
今後の課題として、やはり規制の問題、衝突回避技術の必要性、自律行動可能なドローンの開発、コントロールする人間のエラー対応や、環境(突風、木々など)への対応などが話されました。
面白かったのは、ドローンの技術はセンサー、プロセッサーなどほぼすべてスマホに搭載されており、スマホにローターをつければドローンになるという製品例も紹介されました。
6.パネルセッション:ロボット このパネルでは下記の人たちが登壇しました。
Steve Cousins, CEO Savioke Marco Mascorro, CEO, Fellow Robots John Dulchinos, VP Global Automation, JABIL Ping Wang, Technical Director, Techstars (phD in neuroscience) – qualcomm robotics accelerator Moderator: Jay Eum, Managing Director, Translink Capital & AAMA Conference Co-Chair & Presidentシリコンバレーではロボット開発が最近熱くなってきているが、なぜなのかという話題で始まりました。JABILのダルチノス(Dulchinos)氏は、最近まで産業用ロボットのAdept社のCEOを勤めていた人ですが、80年代にこれからはロボットだという話を聞いてロボットの会社に就職したが、やっと今になってロボットが本格的に社会に進出しそうだと話されました。また日本の高齢化社会などによるサービスロボットの必要性から、世の中がロボットを受け入れる状況になってきているとの事。技術の進歩により、プロセッサーやメモリー、さまざまなセンサーが安価になり、インターネットによる情報拡散も加わって、今までは大手企業の資本力や多人数がないとできなかった開発が、少人数のスタートアップのチームでできるようになったことも大きいとの事。オープンソースのロボット向けソフト、ROSS,や3Dプリンター、人工知能ディープラーニングの進歩も加わり、ロボットが昨今の技術進歩の最終到着地になりつつあるとの話でした。
クアルコム (Qualcomm)のアクセレレーター、Techstartsでは毎年10チームを選んで投資・開発を進めるが、今年は10チーム中、半分は米国外から、4分の1は産業向け、半分は消費者向け、3分の1はドローンだとの事。またJABILによると、今までのFA(Factory Automation)でのロボットの活用はチッププレースメントマシン等、製造工程の5-10%程度に限られており、組み立て工程は人間に頼っていたが、ここにきて人間とともに組み立てをこなすロボットも出てきているとの事。
サビオキ(Savioke)のカズンズ(Steve Cousins)氏はグーグルが買収した著名なWillow GarageのCEOだった人物ですが、Willow Garageでは人型ロボットが冷蔵庫からビールを持ってくるといった、面白いが、5千万円もするというロボットで、コストの割りにあまり有用でない開発をしていたが、今回のSaviokeでは、実用的なホテルのサービスロボットを低価格で提供することにフォーカスしているとの事でした。
Techstarsのワング(Ping Wang)氏は、ロボット開発の現状を生物のカンブリア爆発といわれる、古生代カンブリア紀、 およそ5億4200万年前から5億3000万年前の間に突如として今日見られる動物の「門( ボディプラン、生物の体制)」が出そろった現象にたとえ、ロボットはあらゆる機能特化に向けて一旦進化し、その中からゼネラルインテリジェンスを持った人型ロボットに進化していくのではという話をされました。彼はニューロサイエンス、脳科学の博士号を持っており、人工知能と人間の脳を比較して、淘汰圧によって進化してきた機能を機械で実現することの難しさがあると説明。 過去30年間人型ロボットを作ろうとしてきた方向性は誤っており、まずは動植物の進化になぞって、IoTセンサーは植物、ロボットはIoT植物が生み出すデータを食べるIoT動物とたとえ、そこからの進化により将来的には人間型ロボットが生まれてくるだろうという話をされました。
最後に: シリコンバレーでは最近多くのIoT関連のセミナー、パネルセッション、ミートアップが開かれており、まさに次の産業革命が起こるのではという気配を感じます。シリコンバレー独特の起業文化やエコシステムから出てくるさまざまなアイデヤや商品を、日本企業にご紹介し、今後の事業戦略、商品開発、そして海外ビジネスや提携に役立てていただきたいと考えております。
岡田朋之
Tuesday, June 23, 2015
アジア・アメリカン・マルチメディア協会(AAMA)主催、コンシューマ・コネクテッド デバイス・カンファレンスからの報告 その2
去る5月7日にシリコンバレーで開催されたAsia American Multimedia Association主催のConsumer Connected Device Conferenceに参加した報告書「その2」です。今回はIoTとウェアラブルのパネルセッションについて報告いたします。
3.パネルセッション:IoT IoTのパネルセッションには、下記の人達が登壇しました。
このパネルセッションでは、データの帰属問題や、先出の、人命にかかわるIoTのセキュリティー問題についても議論されました。
4.パネルセッション:ウェアラブル このパネルでは下記の人たちが登壇しました。
次回はドローンとロボットのパネルセッションについて話します。
岡田朋之
3.パネルセッション:IoT IoTのパネルセッションには、下記の人達が登壇しました。
Shane Dyer, CEO, Arrayent – connected device platform Jeff Gao, Dir of Strategies IoT, CISCO David Friedman: CEO Ayla Networks David Knight, CEO, TERBINE - IoT data brokerage Moderator: Jessica Tien, AAMA Co-Chair & Board member, principal, int’l tax services, Ernt&Young LLPシスコのガオ(Gao)氏は、今後ありとあらゆる物がお互いに話ができるようになり、すべての物がつながった時には、情報のフィードバックループが大きな価値を生み出すだろうという話をされました。Arrayent社のダイアー(Dyer)氏は、現状さまざまな商品がひとつずつネットにつながるように進んでおり、一旦ひとつの製品がつながると、コンシューマーはつながるのが当たり前だと考え、つながらない製品は売れなくなる。この動きが加速する事ですべての家電製品がネットにつながっていくだろうとの事。Arrayent社は米国の家電大手、Whirlpoolの製品やガレージドア等をネットにつなげるクラウド技術を提供しています。Ayla Networks社のフリードマン(Friedman)氏はIoTの接着剤を提供、中国で使われているメッセージングサービスのWechatをIoTにつなげるソリューションを提供しているとの事でした。
このパネルセッションでは、データの帰属問題や、先出の、人命にかかわるIoTのセキュリティー問題についても議論されました。
4.パネルセッション:ウェアラブル このパネルでは下記の人たちが登壇しました。
Urska Srsen, co-founder/Coo Bellabeat Justin Butler, VP of commercial development, Misfit Hans Tung, Managing Partner, GGV Capital Xiao-Feng Li, General Manager, Huami Inc. – mi band (xiaomi branded fitness band) Moderator: Ming Yeh, AAMA Board member, managing director, SVB capital Chinaタング(Hans Tung)氏のGGVキャピタルはこの数年で中国を中心に躍進中のXiaomi(小米)に早い時期から投資をし、大きな成果をあげて来ました。またHuamiはXiaomiブランドのウェアラブル商品を展開しており、Xiaomi社の携帯電話は米国では販売されていないものの、Huami社は今後低価格帯を狙ってXiamiや他の携帯電話と連携する腕バンドを展開して行くとの事。最近の商品は一日で10万個売り上げるなど、Xiaomiの販売手法で成果をあげています。 またシリコンバレーのスタートアップ、MisfitもXiaomiの投資を受け、中国展開を進めています。シリコンバレーのインキュベーター、アクセレレーターから、中国資本に投資を受け、中国で製造、中国市場で大量に売りコストを下げ、世界展開するという構図が出でき手いるとの事です。
次回はドローンとロボットのパネルセッションについて話します。
岡田朋之
Monday, June 22, 2015
アジア・アメリカン・マルチメディア協会(AAMA)主催、コンシューマ・コネクテッド デバイス・カンファレンスからの報告 その1
去る5月7日にシリコンバレーで開催されたAsia American Multimedia Association主催のConsumer Connected Device Conferenceに参加してきました。パネルセッションを主に、今話題のIoT, Drone, Robotについて話し合われ、Google からも新規ビジネス、新規ハードウェアプラットフォーム開発者が登壇し、最新のシリコンバレー情報を聞くことができました。
今回はJABIL(ジェイビル)という米国のEMS企業が、シリコンバレーに5月にオープンしたBlue Sky Center というアクセレレーターのお披露目も兼ねて行われ、シリコンバレー各地で乱立しているインキュベーター・アクセレレーターの勢いを感じました。またAsia American Multimedia Associationに所属するメンバーは主に台湾、中国系で、シリコンバレーの技術を中国で製造する流れがますます強くなっているとも感じました。
報告が遅れましたが、長くなりますので、今回のカンフェレンスで得た内容を抜粋して3回に分け、2話ずつご報告します。
Lowes Innovations Lab: Executive Director, Kyle Nel ロウズ(Lowe’s)は米国で展開する住宅リフォーム及び生活家電チェーンで、Lowe’s イノベーションラボ (http://www.lowesinnovationlabs.com/#about)を社内に設立し、店舗向けにバーチュアルリアリティーを使った商品カタログを展開するなど、新技術をどんどん取り込んでいる会社です。ラボの責任者であるカイル(Kyle)氏が、店内の案内ロボット、OSHBOTについて説明しれくれました。
OSHBOTは店舗を動き回ってお客さんの質問に答えたり、商品の場所を案内するロボットで、お客様が気持ちがらないよう、いわゆる“不気味の谷 = Uncanny Valley”を避け、あえて人型にせず顧客が近寄りやすい形態にしたとの事。シリコンバレーにあるFellow Robots (http://fellowrobots.com/)というベンチャー企業と共同開発し、自動ナビゲーション、自然言語処理、視覚検出などの技術を採用。リアルタイム在庫確認なども可能で、店員をサポートすることで、より良い購買体験ができるようにしているとの事です。将来は案内係の店員が要らなくなるのではと感じました。
Helium Systems: Rob Chandhok ロブチャンドック(Rob Chandhok)氏はクアルコムでIoT規格のオールジョイン(AllJoyn)を立ち上げた人物で、IoT業界の立役者のような人ですが、2014年後半にHelium Systemsに移り、インターネットのエッジをつなげる小さなモジュールを開発しています。IoTでビジネスをする際に重要な競争性は、ビッグデータと機械学習の活用だとの事。また今後はセキュリティーが大きな問題となるだろうとも。社会インフラに浸透するIoTのセキュリティー問題は人命にかかわるため、さまざまなケースを考える必要があると説明してました。例えばセキュリティーカメラの映像を秘匿化しても、映像が送られいたり、人がいるいないの情報自体も悪用可能で、秘匿化だけではセキュリティー対策をしたとは言えないという話がありました。
次回はIoTとウェアラブルのパネルセッションについて報告いたします。
岡田朋之
今回はJABIL(ジェイビル)という米国のEMS企業が、シリコンバレーに5月にオープンしたBlue Sky Center というアクセレレーターのお披露目も兼ねて行われ、シリコンバレー各地で乱立しているインキュベーター・アクセレレーターの勢いを感じました。またAsia American Multimedia Associationに所属するメンバーは主に台湾、中国系で、シリコンバレーの技術を中国で製造する流れがますます強くなっているとも感じました。
報告が遅れましたが、長くなりますので、今回のカンフェレンスで得た内容を抜粋して3回に分け、2話ずつご報告します。
Lowes Innovations Lab: Executive Director, Kyle Nel ロウズ(Lowe’s)は米国で展開する住宅リフォーム及び生活家電チェーンで、Lowe’s イノベーションラボ (http://www.lowesinnovationlabs.com/#about)を社内に設立し、店舗向けにバーチュアルリアリティーを使った商品カタログを展開するなど、新技術をどんどん取り込んでいる会社です。ラボの責任者であるカイル(Kyle)氏が、店内の案内ロボット、OSHBOTについて説明しれくれました。
OSHBOTは店舗を動き回ってお客さんの質問に答えたり、商品の場所を案内するロボットで、お客様が気持ちがらないよう、いわゆる“不気味の谷 = Uncanny Valley”を避け、あえて人型にせず顧客が近寄りやすい形態にしたとの事。シリコンバレーにあるFellow Robots (http://fellowrobots.com/)というベンチャー企業と共同開発し、自動ナビゲーション、自然言語処理、視覚検出などの技術を採用。リアルタイム在庫確認なども可能で、店員をサポートすることで、より良い購買体験ができるようにしているとの事です。将来は案内係の店員が要らなくなるのではと感じました。
Helium Systems: Rob Chandhok ロブチャンドック(Rob Chandhok)氏はクアルコムでIoT規格のオールジョイン(AllJoyn)を立ち上げた人物で、IoT業界の立役者のような人ですが、2014年後半にHelium Systemsに移り、インターネットのエッジをつなげる小さなモジュールを開発しています。IoTでビジネスをする際に重要な競争性は、ビッグデータと機械学習の活用だとの事。また今後はセキュリティーが大きな問題となるだろうとも。社会インフラに浸透するIoTのセキュリティー問題は人命にかかわるため、さまざまなケースを考える必要があると説明してました。例えばセキュリティーカメラの映像を秘匿化しても、映像が送られいたり、人がいるいないの情報自体も悪用可能で、秘匿化だけではセキュリティー対策をしたとは言えないという話がありました。
次回はIoTとウェアラブルのパネルセッションについて報告いたします。
岡田朋之
Tuesday, June 9, 2015
JABI Salon - 日本における高年齢者と労働 –
初めまして。Wittenberg Universityにて学位留学中、関西外国語大学4年生吉田昌平です。出身は徳島県、アメリカでは起業家目指して奮闘しています。現在は、カリフォルニア州サンタクララのInnovation Matrixという企業の元でインターンとして働いています。
2015年6月9日カリフォルニアにて、JABI主催の第13回目サロンにJABIのNext会員として参加しました。サロンの内容は、ゲストスピーカーの 藤木通弘教授(産業医科大学)による『日本における高年齢者と労働』についての講演を聞き、その後サロン参加者と藤木教授による質疑応答という形でした。
講演の内容は、超高齢化社会とも呼ばれる日本での現状の説明、少子化などの高齢化社会の要因、未来の労働力の低下といった問題、老化の種類、さらに認知症問題など様々な高年齢者に関することでした。
話の中でも特に、日本ではこれらの問題に対して産業医科という分野の技術を用い、問題を解決しようとする動きがあるということに すごく驚きました。そして、そういった分野を用いて現在の労働環境の見直しと改善ができればますます良い社会作りができるのではないかという期待が膨らみました。(産業医とは、企業等において労働者の健康管理等を行う医師であり、労働安全衛生法により、一定規模の事業所には産業医の選任は義務づけられている。Wikipedia: 産業医)
Finlandでは高年齢者の労働能力を見極め適切な労働を配分するために、ワークアビリティインデックス(労働適応能力評価スケール)といった方法が国で実施されているということを聞き、日本ではなぜそのようなことが国の法律として行われていないか疑問が残りましたが、その反面、様々な企業が似たようなこと、例えば、フルタイムからパートタイムへのシフト、などを実施し始めているので、より多くの人々が労働者の労働に対する適応能力に目が行き始めるのも時間の問題ではないかと感じました。
超高齢化社会の中、増え続ける高齢者のための活動は必要です。今の日本では定年というシステムがありますが、孤独、老化、認知症など労働をしないことでおこりうる問題につながるのではないかと思ったことはあります。したがって、高年齢の労働者の適応能力に合わせた労働の配分システム構築などが、そういった問題の一つの解決策になるかもしれない。サロンを通して、一人の日本の若者として、また起業家の卵としても、日本社会、そして未来を支えるために必要なものを作りたい、という気持ちがとても強く残りました。
吉田昌平
2015年6月9日カリフォルニアにて、JABI主催の第13回目サロンにJABIのNext会員として参加しました。サロンの内容は、ゲストスピーカーの 藤木通弘教授(産業医科大学)による『日本における高年齢者と労働』についての講演を聞き、その後サロン参加者と藤木教授による質疑応答という形でした。
講演の内容は、超高齢化社会とも呼ばれる日本での現状の説明、少子化などの高齢化社会の要因、未来の労働力の低下といった問題、老化の種類、さらに認知症問題など様々な高年齢者に関することでした。
話の中でも特に、日本ではこれらの問題に対して産業医科という分野の技術を用い、問題を解決しようとする動きがあるということに すごく驚きました。そして、そういった分野を用いて現在の労働環境の見直しと改善ができればますます良い社会作りができるのではないかという期待が膨らみました。(産業医とは、企業等において労働者の健康管理等を行う医師であり、労働安全衛生法により、一定規模の事業所には産業医の選任は義務づけられている。Wikipedia: 産業医)
Finlandでは高年齢者の労働能力を見極め適切な労働を配分するために、ワークアビリティインデックス(労働適応能力評価スケール)といった方法が国で実施されているということを聞き、日本ではなぜそのようなことが国の法律として行われていないか疑問が残りましたが、その反面、様々な企業が似たようなこと、例えば、フルタイムからパートタイムへのシフト、などを実施し始めているので、より多くの人々が労働者の労働に対する適応能力に目が行き始めるのも時間の問題ではないかと感じました。
超高齢化社会の中、増え続ける高齢者のための活動は必要です。今の日本では定年というシステムがありますが、孤独、老化、認知症など労働をしないことでおこりうる問題につながるのではないかと思ったことはあります。したがって、高年齢の労働者の適応能力に合わせた労働の配分システム構築などが、そういった問題の一つの解決策になるかもしれない。サロンを通して、一人の日本の若者として、また起業家の卵としても、日本社会、そして未来を支えるために必要なものを作りたい、という気持ちがとても強く残りました。
吉田昌平
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