Wednesday, November 13, 2019

JABIアワー 「日本のIT創業者との交流会」

今回は日本の若い企業の創業者の5名の方に登壇していただいた。その方々がどうしてこの世界に入ったのか、どのように成功したのかなどについて、お話していただいた。


大崎さん

1.大崎 章弘氏  (株式会社グレートステイ: https://minpaku-osaka.info


「インバウンド特需による大阪エリアの大きな伸び、新たなこのマーケットに新サービスを」 

・きっかけ;カンボジアにて一軒家をロシア人たちと借り、その空室を貸し出す民泊を行っていた

<発表内容> カンボジアから日本に帰国後、円安などの要因か訪日外国人の増加が起きており、民泊が流行っていた。もともとバックパッカー経験などがあり、ゲストハウスをしたいという思いがあった大崎さんの挑戦が始まった! 民泊とは…一般には自宅の一部や空き別荘、マンションの空室などを活用して、宿泊サービスを提供しようというものこの中でも、「家主滞在型」と「家主不在型」があり、場所によって、特区民泊、旅館業法、民泊新法などのように適応法律が異なるなど、法改正などがあった。この民泊について、さまざまな比較をしたところ、サンフランシスコよりもサンノゼなどのほうが多く、また、日本とアメリカにおいて、広がり方にも大きな差がある。日本ではインバウンドが大きく影響し、airbnbなどは日本で異常な拡大が起きている。 日本で増えている空き家という空きスペースを活かす運営の代行やサポートを行い、多くの方が、遊休空間を活かしやすくすることで、この問題を解決している。 この遊休スペースと宿泊者をつなげるAirbnbのビジネスモデルが日本に入った際に、空き家問題と宿泊施設不足問題という形でうまくはまり、そこに海外在住経験を持つ大崎さんがその波にうまく乗れた時運、そしてそれを積極的に掴んでいったアグレッシブな行動力が大﨑さんの事業の成功の秘訣のように感じた。




比嘉さん

2.比嘉 孝平氏 (シングル10株式会社: http://大森蒲田大井町.jp/


「開業1年目でダントツの存在になった街の不動産屋」

・きっかけ;自身の不動産屋での経験を活かし、新規会社を立ち上げた

<発表内容>
一般的な不動産屋は広範囲の地域に事業を拡げ、また、単価の高いファミリー向けの物件を多く所有している傾向がある。これをあえて逆手に取り、「エリア、ターゲットを限定」とし、エリアは大田区、ターゲットは一人暮らしとし、事業を始めた。また、不動産屋は駅近くを狙いやすいが、あえて駅から20–30分の所で、工場地帯でも需要のあるところに目を付けた。この「限定」などにより、起業1カ月で売り上げは黒字になった!
比嘉さん曰く、ビジネスの鉄則として…
どれくらいのスペックの誰と戦う? カテゴリーは?
これが大切だそうだ。自分のスペックが大切なのではなく、勝てる相手を選ぶことが大切という言葉がすごく印象的だった!何かを始めるとき、「限定」や「あえて」という思考はすごく大きな挑戦のように感じていたが、お話を伺って、一歩を踏み出す良いきっかけになるように感じた。


彦坂さん

3.彦坂 康太郎氏 (株式会社DPパートナーズ: https://site-hikkoshi.com


「サイト引越し屋さん/クライアントの発展を支援するサーバー移転代行サービス」

きっかけ;大学時代にITの可能性に感激し、将来起業しようと考えたこと

<発表内容>
サーバーを扱う際の様々な問題点が生じる。これらを解決したのが「サーバーの移転」である。これはwebサイトのデータを保存しておくためのインターネット上の空間(サーバー)において、AというサーバーからBというサーバーに引っ越すものである。また、共にバージョンアップやSSL対応、表示のスピードアップ改善を行う「サイト引越し屋さん」。これにより…
アクセスが増えるとサーバーがダウンしてしまう…⇒耐久性の高いサーバーへ!
表示スピードが遅くなる…⇒性能の良いサーバーへ!
所有者の変更が大変…⇒新所有者のサーバーサイトの権利譲渡!
などのように様々な解決することができた!
さらに、単なる代行業者だけでは終わらず、「クライアントは技術だけを買っているのではない」ということを肝に銘じ、安心感、知識、補償などに関しても充実させ、常に「クライアントの相棒」として、顧客に接しているそうだ。日本初のWordPresss専門サーバー移転代行サービスというのも、成功した一つの理由かもしれないが、それよりも、クライアントに対する寄り添い方が、彦坂さんが成功した一番の方法ではないかと感じた。


木村さん

4.木村 建太氏 (株式会社プロモーションウェッジ: https://sokusyu-web.com/


「webの内製化支援で日本の中小企業のwebマーケティングを変える」

きっかけ;25歳の時にweb製作やweb事業を開始したこと

<発表内容>
Web製作やその事業を開始したことをきっかけに2016年に会社を設立した。これは小さな会社や個人の方が自分でwebサイトを作って集客やマーケティングをするためのノウハウや考え方を伝えるセミナー、コンサルティング事業を展開している会社である。また、今までに1000以上の指導実績を有している。
日本では他国に比べ、開業率がかなり低い。その理由として、「起業に要するコストが高いため」が一番の理由のように考えられるがそうではない。一番は「起業した場合に生活が不安定になることに不安を感じるため」であった。フランスでは、起業経験者の雇用を優遇したり、またそれにチャレンジしやすい環境整備をしたりなどが行われている。しかし、日本の起業環境には問題がある。日本では、起業した際のたった一度の失敗はまるで死を意味するかのように考えられている。そんな文化を変えるために、この会社が貢献している!開催されるセミナーなどでは、自分で自分の人生を切り開くためのサバイバル術を教え、自分自身をセーフティーネットにするためのノウハウなどを指導している。私がアメリカに来て約8か月、日本では、他の人とは違うことをすることに大きな勇気を必要とし、また、失敗に対する恐怖心が他国よりも大きいように感じた。それに対し、こちらの人は自分自身を謙遜することは少なく、チャレンジに対する恐怖心も小さい。それは悪いことではなく、私はその文化が好きである。日本でも、このようなセミナーを積極的に取り入れ、積極的にチャレンジしやすい環境になればいいなと感じた。


中島さん

5.中島 優太氏 (エベレディア株式会社:https://saitoma.com/


「日本国内ウェブサイトM&A数推移と今後の傾向」

きっかけ;自身のサイト買収における失敗

<発表内容>
ウェブサイトM&Aとは、M&Aとは異なり、企業や個人が持つウェブサイトおよびサイトを構成するコンテンツを商品として、サイトのみを売買するものである。これにより、M&Aよりも売買にかかる時間短縮や低コスト化が可能となる。(株)エベレディアさんが行う「サイトM&A仲介サービス『サイトマ』」では、セミナーや講習会を実施しており、これは業界唯一である。近年、サイトM&Aはアメリカでは20万以上であるのに対し、日本では1万程度でしかない。その原因として、日本のサイト売買のページは古い形式のものが多く、どこの誰なのか、閉鎖的な情報ばかりであるのに対し、アメリカのページは多くの国の方々が投稿し、オープンに多数の情報を掲載しているだけでなく、写真や見出しもあり、わかりやすくなっている。このように日本においてサイトM&Aをしにくい環境を変えるために、買い手と売り手の仲介をする「サイトマ」の役割が重要になってくる!日本では近年、少子化に伴う後継者不足などが原因によりM&A(法人)が一気に推移をアップしている。これを踏まえ、今後の動向として、M&Aが頭打ちし、それに伴い、ウェブサイトM&Aのピークも数年後には頭打ちする、もしくは、小規模が主流になり、サイトM&Aが主流になるのではないかと予測されている。もともと、サイトM&AはM&Aよりも行いやすいが、それを信頼できる方に仲介していただくことによって、さらに身近に行うことができるようになるのではないかと考えられる。これを通して、日本の企業間の関りが増え、経済が活発になればいいなと感じた。



今回のイベントを通じて、どの方も最初から成功しているのではなく、自身の経験や感じたことを活かすことによって、それを実際利用する方が必要としている寄り添い方を実践し、成功されているように感じた。

(JABIボランティア:白倉 歩輝)

Tuesday, October 15, 2019

JABI x JBC 「日米のバイオインキュベーター事情」ジョイントフォーラム

今回JABIはJapan Bio Community(JBC)と共同で、「日米のバイオインキュベーター事情」をテーマとしたジョイントフォーラムを開催いたしました。内容は3名のバイオプロフェッショナルによる講演と、パネルディスカッションパートに分かれております。



◆講演パート


「アントレプレナー教育と神戸のバイオインキュベーターを利用したバイオ分野における大学発ベンチャー例」森一郎さん(神戸大学科学技術イノベーション研究科)

森先生の講演

神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科は2016年に設置された。「バイオプロダクション」「先端IT」「先端膜工学」「先端医療学」の4つの理系専門分野の大学院生に、研究に加えて、その研究成果を事業化するたの事業・財務・知財戦略を学ぶ「アントレプレナーシップ分野」から構成されている。特にアントレプレナーシップ分野は、科学技術とイノベーションアイディア、アイディアとストラテジーなど、アントレプレナーの活動段階におけるギャップを埋めることを目的としていて、博士課程では博士論文の一部として詳細な事業計画を提出させている。

神戸市は、震災からの復興を目的とし医療都市構想を掲げており、神戸の一部区域を住居無しの研究や臨床施設のみに指定している。区域内は北からメディカルクラスター、バイオクラスター、シミュレーションクラスターの3つに分かれており、iPS細胞、アルツハイマー病の研究、医療用ロボットの開発などが行われている。神戸大学はその中で地域のエコシステムを作るミッションを担っている。現在では、基礎研究(研究機関)、臨床(病院)、産業化(企業、360社)が連携してエコシステムを形成し、雇用を11,000人創出している。例えば、域内の神戸医療イノベーションセンターには、神戸大学発のベンチャー企業が複数入居している。ゲノム編集技術を開発しているBioPalette、DNA合成技術を開発しているSynplogenなどがそうだ。


広々としたオープンな会場

「MBC Biolabの紹介とイノベーションをサポートするパートナーシップの役割」神村洋介さん(Nitto Innovations)


2018年、日東電工はMBC biolabsとパートナーシップを締結した。MBC Biolabsは、大学発研究成果の商業化促進を目的としてUCSF, UC Berkeley, UC Santa Cruzの三大学が2000年に立ち上げたNPO法人『qb3』を前身として始まった。当時UCSF職員だったDouglas Crawfordは,qb3の活動の一環として,学内の空き実験室をスタートアップ向けのインキュベーター 『qb3 garage』として解放してみた.すると瞬く間に応募が殺到。直後に$数十Mの資金調達に成功するスタートアップも現れた。

また、2009年にDouglasら一部qb3職員でventure capital 『Mission Bay Capital』を立ち上げ,主にqb3発のスタートアップに投資を行い,これも成功を収める.しかし折からのリーマンショック不況によりqb3予算が削減され,インキュベーターの拡大が思うように進まなかった.そこでDouglasは2013年に大学から独立して『MBC Biolabs』をサンフランシスコMission Bayに設立.現在,San Carlosで大々的にインキュベーター施設を拡大しており,インキュベーター×投資モデルの成功例として注目を集めている.

スタートアップがインキュベーターを使うメリットは以下の通り。
1. Low cost:物件を探したり実験機器を用意したりするだけで、スタートアップは莫大な時間とお金を費やすことになってしまう。インキュベーターを利用することにより、割安で実験環境を手にすることができる。
2. Reputation:2013年から累計$3.5Bの資金調達に成功、エグジットも5社出ており環境がいい。現在約80社が加入しており、うち8割が創薬、2割がメドテック、わずかにフードテック、アグリテックなどの内訳となっている。さらに毎月5-10社が加入のためピッチに来ている。

質問:どんな人材が訪れているのか?
大学院卒、薬事や医療の社会経験あり、連続起業家が同じくらいの比率で来ている。

質問:大きい会社はどのようにかかわっていくのがよいか?
スポンサー料を払うことで、MBCが主催するスタートアップのピッチに参加、いち早くスタートアップとのコネクションを創れる。また、スポンサーのグレードによっては自社でピッチイベントを開催することもできる。その他実験機器の提供、場所の提供などで先行投資をしたり、コンサルに入ったりする機会もある。

質問:スタートアップの選抜基準はある?
インキュベーターに入る基準自体は投資基準と比べれば全然緩い。大きい問題に対してトライしている。それを実行するに足りる人材がいるか。約1年耐えられる資金力があるか。

熱心に傍聴する参加者

「LA BioLabsの紹介と創薬ベンチャースタートアップ企業側の観点から」二村晶子さん(Hinge Therapeutics・JABI前会長)


Hinge Therapeuticsでは低分子医薬品の研究開発を行っており、特に最近は血友病の患者さんに対するソリューションを研究している。

今後BioLabs at LA BioMedというインキュベーション施設に入る予定。周辺のLAの北部に少し、San Diegoには多くのインキュベーション施設が存在する中で、二村さんが住んでいる、オレンジカウンティやLA南部にはまだほとんどそういった施設がない。しかし2028年のオリンピック開催に向けてLAは都市開発に大変力を入れている。LA南部トーランス(Torrance)にあるLA BioMedと、隣のUCLAの関連病院を中心にバイオメディカル分野中心のキャンパスの建設を進めており、今後こういった施設は増加していく見込み。

二村さんの会社はSouth San FranciscoのJLABSに入っていたこともあり、LAとベイエリアのインキュベーション環境の違いを感じる。以下がその相違を二村さんの視点からまとめたもの。

・LAの利点
地元のサポートが厚い。ちょっとしたリリースでもすぐ地元紙に掲載してくれるなど。
病院・患者へのアクセスが良い。実際にLA BioMedも病院に隣接しており、連携がとりやすい。
ベイエリアと比較すると人件費が安くすみ、人材の定着率も高い。
ハリウッドなど多くの人にアピールできる環境がある。
オリンピック開催に合わせ、スタートアップへの投資が強化されている。

・ベイエリアの利点
投資家へのアクセスが良い。実際にJLABSでも、入居者だけが利用できる1対1のコンサルシステムがあり、著名な投資家の時間をもらえた。
他スタートアップとのコラボレーション環境が整っている。
人材の層が厚い。


◆パネルディスカッションパート


階段までいっぱいとなる盛況ぶりでした

- インキュベーター選出で注意していることは?
森さん:施設に既に入居しているスタートアップと企業とのシナジーをみている。
神村さん:大きい問題にトライしていること、人材が揃っていること。いくらお金を持っていても、この点がないとだめ。

- インキュベーターを探している時の基準は?
二村さん:以前のベイエリアでは大手製薬企業とのコネクションをみていた。南に移ってからは、どういう投資家がそのインキュベーターに注目しているか、どんな設備が使えるかを重視している。


- 所属企業の中のコミュニケーション活性化のためにしていることは?
神村さん:ハッピーアワーなどは行っているが、基本的に会社同士のコラボレーションには強く関与しない。
二村さん:施設内にいる企業同士で話していたりすると、コラボレーションの話に繋がったりすることは多い。実際に動こうとしている案件もいくつかある。

- 現在所属しているインキュベーター、大学などで独自の取り組みをしていることは?
二村さん:施設の隣が病院なので、何かできそうだと思っている。
森さん:神戸にも医療エリアあるので、病院とも連携している。

- スタートアップの資金調達サポートはどのようにしているのか?
神村さん:もともと自己資金がある人が多い。あとはアイディアだけには投資できないので、少しでも証拠となるものが欲しい。
森さん:神戸大学発ベンチャーに対しては、海外から資金調達できるレベルのしっかりした特許戦略面、特許取得の支援を神戸大学で行っているケースもある。

- スタートアップの成果を見るための時間軸は、1年くらいなのか?
神村さん:MBCは基本1年半。でもそこは人間関係で伸びたりもしている。
二村さん:ジョンソンエンドジョンソン(JLABS)の場合は基本2年。それを過ぎても、いてほしい人にはいてもらう。一方いてほしくない人には不動産を紹介したり(笑)

- スタートアップの数に対しインキュベーターの数は十分か?
神村さん:足りていないと思っている。そのため、MBCもサンカルロスで40-50社入れる規模の建物をいくつも建てようとしている。不動産のアレキサンドリアも最近インキュベーション事業を始めた。新興VCはインキュベーターを利用したほうがいい。
森さん:神戸(日本国内)では民間発のインキュベーターはまだ見当たらない。ほとんどが、中小機構や県、市などが施設を作り入居者を募集している。

- バイオの人材集めはどのようにしているのか?
森さん:日本だと関東より関西の方がバイオ人の流動性が高いと言われている。

- インキュベーションラボで危険物を扱っていないかはどのように管理しているのか?
神村さん:危険な菌などを使っているところは、共用ラボではなく自社専用スペースの使用をお願いしている。

- 日本のバイオベンチャーはもっと成功するか?
森さん:投資の受け方次第だと思う。アメリカの方が投資を受けるチャンスが多く投資規模も大きい。。日本のCEOは研究肌で、ビジネスに弱い人多い。さらに、大企業からベンチャーに行きたがらない。
神村さん:研究ではなく経験の問題では?研究者とコンサルの比率が、日本とアメリカで全然違う。

◆筆者所感


特にバイオ分野におけるスタートアップは専門性が高く、実験環境の整備や臨床施設との連携などの点において、インキュベーターを活用するメリットが大変大きいように感じます。特にアメリカにおいては今後もインキュベーターは増えていくことが想定されるため、スタートアップにとってはより良い環境が整っていくのではないかと思います。
今回JBCさんと共同で会を執り行わせて頂いたことで、バイオというテーマについて深く掘り下げることができたと感じています。日本からアメリカに進出を考えている、もしくはアメリカでバイオの取り組みを検討されているみなさんのお役に立てれば幸いです。

イベント後は近くのイタリアンで懇親会!
筆者:久保田華凜(JABIボランティア)

Monday, August 26, 2019

次世代の自動車産業 - 初めてのモデレーター

先週の8月13日に6th JABI Open Innovation Forum「次世代の自動車産業」と題したパネル討論会のモデレーター(ファシリテーター)を人生で初めて行った。内容としては当地、シリコンバレーで自動車産業に従事されている3名による講演の後、パネルディスカッションを通して質問に答えていただくというものである。


下記のタイトルで登壇者3名に講演をしていただいた。
●「日本の製造業が取り組むデジタルトランスフォーメーション」 岩﨑 悠志様(株式会社ブリヂストン)
●「日本の製造業がシリコンバレーを活用した新規事業開発」大貫 悠太様 (Suzuki Motor of America Inc.  )
● Kodiakの事業内容について 塩野 皓士様(Kodiak Robotics)

同じ自動車産業のメーカーではあるが、それぞれ全く違うビジネスをされており、果たして、タイヤ、自動車メーカーによるシニア向けのパーソナルモビリティ開発、そしてトラックの無人自律運転サービスがディスカションでどう絡むのか頭を悩ます羽目になった。

私自身は、今、本業では自律物流ロボットの販売を行っているという事もあり、最新の自律制御の動向には興味があったので、モデレーターの役を買って出たのである。いつもは観客、もしくはパネリストの席に座るのだが、果たして新米モデレーターの行く末は。。。


さて、このイベントの約一ヶ月半前に「大谷由里子のチャリティー講演in SV」という吉本興業元マネージャーの大谷由里子氏によるシリコンバレーでの講演に参加した。さすが、お笑い業界出身だけあって、話がうまく、大変面白い。チャリティのお礼に著書を2冊いただいた。仕事上、講演をしたりすることがあるので、頂いた本の「講師を頼まれたら読む「台本づくり」の本」の「台本」という言葉に興味をもった。

仕事のプレゼンテーションや、大学やセミナーで講義をするとき、当然プレゼン内容のプロットは作成するわけではあるが、この本にあるようにエンタメ業界の人にとっては、それは「台本」と表現した方が正しいのかもしれない。台本を創り、何度も目を通して何度も練習して、その流れそのものを自分のものにする。喋りがプロの人たちとっては、そこにはすごく隠れた苦労があるのだ。
という事で、モデレーターとしての質問の台本創りが始まった。私は、技術の進化そして産業の進化を理解するには、その背景であるニーズを知る必要があると思っている。単に技術が進化したからどんどん破壊的新製品を開発していこうという風潮には少し閉口しているので、社会的要因や意義を質問の中に取り入れたかった。
あまり直接関係のない上記3社の大きい枠での「自動車産業」という縛りで潜るために人手不足や高齢化社会という背景を意識した質問の「台本」を作った。また、最近、話題になっている「デザイン思考」に関する日米での浸透の違いも新たな手法として議題にいれた。当然、登壇者には準備した返答は欲しくなかったので、質問内容は一切伝えず「本番」が始まった。

プロローグ:
「昔のアメリカのテレビ漫画に「宇宙家族ジェットソン」というのがあり、高層タワーのような居住地から空飛ぶ車で通勤し、家庭用ロボットがおり、料理も自動販売機のような機械がしてくれる世界がありました。それから60年ぐらい経ち、技術が進歩し、空飛ぶ車が出てきそうな時代になりました。

AIによる無人技術も発達しましたが、その背景には人手不足や少子高齢化があります。ということで、本日のパネルディスカションは次世代の自動車産業の変化を技術の進歩だけでなく、社会的意義と絡ませた議論にしたく思います。」

質問:

2004年に開催されたDARPAグランド・チャレンジというDARPAによるロボットカーのロボットカーレースによって、一気に無人カーの開発が進んでいます。グランドチャンレンジで常にトップ1、2を争うStanfordやCMUでの開発者たちが当地ではグーグルを始めとする多くの自律無人カーの開発会社に流れています。AI, SLAM, LiDARの進化によって、それらが現実になろうとしているわけですが、Kodiak Robotics にお尋ねします。トラックの運転手の人手不足を考えるとビジネスチャンスが大で、Kodiak Robotics以外にEmbark , Ottoなど、トラックに特化したベンチャー企業は何社ぐらいあるのでしょう?御社の他社と比べた優位性とは何でしょうか?



対談の詳細内容は、久保田華凛さんによるブログを参照



13. 最後の質問です。20年、50年後の自動車産業はどのようになっていると考えられますか?


対談の流れをコントロールできるという意味ではモデレーターの役割は非常に重要であると思った。また、それは楽しい事でもあると。

台本作成者としては、プロローグでの「宇宙家族ジェットソン」の空飛ぶ自動車という答えを聞きたかったのだが。。。


大永英明

Thursday, August 22, 2019

6th JABI Open Innovation Forum「次世代の自動車産業」

8月13日に「次世代の自動車産業」と題したオープンイノベーションフォーラムを開催いたしました。当地、シリコンバレーで自動車産業に従事されている3名をお招きし、講演・パネルディスカッションを執り行いました。

◆講演パート


「日本の製造業が取り組むデジタルトランスフォーメーション」 岩﨑 悠志様(株式会社ブリヂストン)

講演する岩﨑さん
近年、タイヤマーケット自体は世界的に伸長しているにもかかわらず、メーカーにおけるビッグ3(ブリヂストン、ミシュラン、グッドイヤー)は、新興企業の台頭によりそのシェアを落としています。そこでブリヂストン社はタイヤの製造販売業から、ソリューションプロバイダーとして事業を拡大するべく、デジタルトランスフォーメーション(DX)を重要視されているそうです。特に「CAIS」というセンシング技術では、タイヤにセンサーを搭載することでデータを集積し、データからタイヤの摩耗状況・路面状態を検知することで、冬期の路面凍結に対応した高速道路管理の支援を行っています。将来的にはto C向けのソリューションも提供していきたいと考えていらっしゃるそうです。また、DXを扱う人材としてデータサイエンティストの需要が高くなっていますが、日本ではそもそもの人材の母数が少ない上にそういった人材はIT企業に行きがちなこと、データサイエンスにおいてはドメイン知識も重要であることなどから、ブリヂストン社では社内での人材育成を進めているそうです。質疑では空気圧センサーやインホイールモーターの開発の有無などがあがりましたが、ブリヂストン社では産学連携しながら共に取り組んでいらっしゃるとのことでした。


「日本の製造業がシリコンバレーを活用した新規事業開発」大貫 悠太様 (Suzuki Motor of America Inc.  )

講演する大貫さん
Suzuki社では2016年から次の100年に向けた土台作りを目的に、シリコンバレーを拠点とした企業変革の取り組みを開始しています。その一つとして、大貫さんは、デザイン思考を活用したセニアカーの次世代モデル開発に携わられています。開発はスタンフォード大学でのデザイン思考に関する講義の受講、ユーザーインタビューや車いす生活の体験などのプロセスを経て進められています。決まったオフィスやデスクでの作業はなく、またチームメンバー同士でシェアハウスを行っているなど、ビジネス環境が非常にユニークな点も特徴的でした。質疑応答では、コンセプトモデル立案の際にシリコンバレーだからこそできたことは?という質問に対して、社内からトップダウンで下った指示に従うのではなく、実際のユーザーや現場に多く触れることでお客様にとって本当に良いものを引き出す取り組みができている、と回答されていました。まさにそういった自由な気質を与えてくれるのが、シリコンバレーの良いところなのかもしれません。


Kodiakの事業内容について 塩野 皓士様(Kodiak Robotics)

塩野さんの講演を熱心に聴講する参加者
Kodiak Robotics社は、Mountain View, CAに本拠地を置く、自動運転トラックのスタートアップです。現在は高速道路区間の自動化に注力しており、この8月よりテキサスの高速道路での実用化が開始されました。対象を長距離トラックに限定した理由としては、走行場所が限られていることなど技術面での敷居が比較的低いこと、宅配運送業の産業規模が大きいこと(年間$800B)、長距離ドライバーの不足が社会的課題になっていることなどがあげられているそうです。特に最後の課題に関しては、トラックドライバーは長期で家を空けることが多く、現在の生活スタイルにそぐわないことから若者を中心に職業としての魅力が低下していると考えられています。自動運転技術を使えば、人力で運転する区間が限られるためドライバーの生活スタイルに支障をきたすことが少なくなります。そういったことも手伝って、自動運転技術と宅配運送業がシナジーを生んでいるとも考えられています。ただし完全な自動運転(Level5)を実現する難易度の高さ、州法の壁など、今後解決していかなければならない課題も存在しています。質疑応答においても、自動運転技術の実用化が遅れている最大の要因はなにか?という問いが出ました。それに対し塩野さんは、車体の周囲すべての物体を検知する技術、人間のドライバーがなすような微妙な場面での意思決定の判断基準を織り込む技術などの不足を理由としてあげられていらっしゃいました。


◆パネルディスカッションパート


講演者3名にファシリテーターの大永(JABI Co-founder, JABI理事, Innovation Matrix,inc., CEO) を加えた4名にて、パネルディスカッションを執り行いました。また、視聴者からも適宜質問が飛び交い、非常に活発なディスカッションとなりました。

パネルディスカッション

大永:現在トラックに特化したベンチャー企業は何社くらいあるのでしょうか?また、他社と比較した際のKodiak社さんの優位性はどんなところにありますか?

塩野:10社くらいだと思います。競合他社と異なり、運送業そのものをビジネスモデルとして採用しているところに特徴があります。あとはCOOがVCの出身なので、会社の運営に精通しています。

大永:スズキさんはセニアカーの開発に取り組まれていますが、ブリヂストンさんにおいても高齢者向け事業は行われていますか?

岩﨑:直接的ではないですが、スポーツ関連事業の一環として人工筋肉のサポート製品などを開発しています。

大永:ブリヂストンさんにおいて、センサーで読み取ったタイヤに関するデータの集積先は、車本体になるのでしょうか?それとも、クラウドになるのでしょうか?

岩﨑:現状、無線でデータをとばしてクラウドに保管しています。

大永:それからセンサーを取り付けたタイヤは通常のものよりもコストが上がると思いますが、どのように投資回収していくのでしょうか?

岩﨑:まさにそこが課題の一つです。先ほどご紹介したCAISに関しても、一般消費者がわざわざセンサー付きタイヤを買いたいかと言えばNOです。なので、特にto Cに関しては課題があります。to Bに関しては、センサーやメンテナンスも込みのサブスクモデルも検討しています。
満員御礼!たくさんの方が参加されました

大永:ブリヂストンさんのセンサー付きタイヤにおけるような、ユーザーに安心感を与える取り組みはとても素晴らしいと思います。他2社さんにおいてはこのような取り組みはされていますか?

大貫:スズキでは走行データをクラウドに集積しようとしています。そのデータを基に、ユーザーに安全性を警鐘するような取り組みを現在行っています。

塩野:Kodiakでは、自動運転トラックが人間より安全と確証されるまでバックアップドライバーを設置し続ける方針です。

視聴者:そのバックアップドライバーを置かない、と決定するための明確な判断基準はあるのでしょうか?

塩野:現時点で明確な規定はありませんが、統計的に安全が保障された後に無人化の議論も始まると思います。

視聴者:無人運転は法的には許可されているのでしょうか?

塩野:州によって異なりますが、例えばテキサスでは許可されております。

視聴者:自動運転の車が事故を起こした場合メーカー側の責任が問われることが予測されますが、そのことに関してKodiakさんはどのようにお考えになっていますか?

塩野:まさにそれがKodiakでも安全性をプライオリティの最上位においている理由となります。そして現在は、もしそのような事故が起こった場合の責任はすべて弊社にあるというのが会社としてのスタンスになります。

大永:ブリヂストンさんがタイヤから集積したデータは、将来的に他社とも共有できるようになるのでしょうか?

岩﨑:我々自身がデータを共有するためのプラットフォーマーになるのか、もしくはそこに乗っかる企業になるのかは現時点では確かではありません。収益化や社会的責任を考えると、あくまでブリヂストンは部品メーカーなので攻めづらい領域ではあります。

視聴者:データサイエンティストを社内育成されているとおっしゃっていましたが、そういった人材こそ社外リソースを使ったほうが効率的なのではないでしょうか?

岩﨑:データサイエンスの難易度は、ビジネス課題からデータに落とし込むところにあると考えています。そしてそれができるのは社内の人間のため、社内教育を進めています。おっしゃるように社外リソースを活用することで効率化は図れますが、少なくとも初期分析までは社内で続ける方針です。

大永:スズキさんのシリコンバレーでの取り組みに関して、社内の各レイヤーにおける評価の違いなどは出ているのでしょうか?また、全社での報告などはされていますか?

大貫:すでに全社報告も行っています。ブートキャンプ形式の実践なども行っているので、苦しいこと=仕事という考えが強い人からは反対意見も出ています。しかし経営の上位層などからはきちんと理解が得られているため、問題ないと考えています。

大永:デザイン思考という言葉は2005年から提唱され、アメリカでは既に新しいものとしての印象はなかったのですが、日本ではいつ頃から浸透していったのでしょうか?

岩﨑:私は2016年か17年に当時の上司から聞きました。それまで技術先行的な考え方の時代が続いていたので、真新しく感じたのかもしれません。

大貫:私も2017年の研修時に初めて聞きました。スズキの社内でも、この言葉について理解している人間はあまり多くはないかもしれません。ですが、本質的には日本人の文化・心情に根付く思想ではあると思います。

塩野:大学時代に知り、何度か実際に実験したこともありますが、デザイン思考を経て到達した解が自分たちの分野から離れたものになった場合に、それをやらないと判断するのはとても難しいことだと思います。

大永:デザイン思考とアジャイル開発との関連をどのようにお考えになりますか?各企業ではデザイン思考をどのように取り入れているのでしょうか?

岩﨑:日本人はアイディアをあたためて出すタイプだと思います。それに対して、海外ではとんでもないアイディアでもとりあえず出す文化です。そういった違いがある中で、デザイン思考をそのまま日本に適用できるかは少し疑問です。

大貫:相手への共感、日常業務など、ビジネスだけでなく様々な場面にデザイン思考は適用できると考えています。

大永:スズキではオートバイ、自動車、マリン、福祉車両などをビジネスとして設けていらっしゃいますが、将来的なセニアカーのビジネス比率はどの程度となる想定なのでしょうか?

大貫:現状では、4輪自動車が9割、またインドなどの新興国を中心に引き続き4輪が伸びる想定です。

大永:今各社で取り組まれている製品開発に、シリコンバレーが最も得意とするITの技術は必要なのでしょうか?

岩﨑:私が最も強く関連しているところでいうと、やはりデータサイエンティスト人材の育成が関連してくると思います。

大貫:セニアカーの技術、工場における検査などに活用したいと思います。

塩野:必須です。今取り組んでいることすべてが関連しています。

大永:最後の質問です。20年、50年後の自動車産業はどのようになっていると考えられますか?

岩﨑:タイヤがなくても人が移動できる時代にはなっていると思います。なのでタイヤメーカーとしては、危機感を感じています。

大貫:実現の難易度を考えると、まだ人は車を運転していると思います。

塩野:トラックは近未来中に自動化すると思います。そこから徐々に拡大してインドのような道路状況の場所(僕らは勝手にLevel6と呼んでいます(笑))でも実用されるはずです。あとは個人的に仮想現実が進んでいくと思います。人をどう動かすかではなく、人間をいかに動かさずに済むかという方向に考え方がシフトしていくのではないかと思います。

講演者に感謝状を授与!


◆筆者所感


たくさんの種類のピザが振舞われました!
今回JABIのOpen Innovation Forumにボランティアとして参加し、自動車産業というこれまではあまりご縁がなかった業界の皆様の先端技術に関するお話をお伺いすることができ、大変勉強になりました。自動車をはじめとして、日本を代表する産業はその技術の細やかさが世界で戦う大きな武器となっているように思います。そこにシリコンバレーの最先端のテクノロジーが融合すれば、JABIの理念でもある日米間のビジネス進出と飛躍が一気に期待できるのではないかと改めて感じた機会でもありました。また、日本から離れたシリコンバレーだからこそ、改めて日本の産業を広く見渡すことができるのも、この土地がもたらしてくれる大きな利点なのではないかと思います。ここで一つでも多くの日本発ビジネスが生まれ、またビジネス同士が繋がっていく場所づくりのお手伝いをJABIを通して私自身お役に立てたら嬉しいと思いました。

講演の内容に関して、3社とも次の時代の柱となる事業を生み出すために、シリコンバレーという地を選んで活動をされていることがわかりました。そしてその飛躍の重要な鍵となるのが、先端テクノロジーに強い人材、データの取り扱いに強い人材であることは間違いないと感じています。筆者はIT企業でビッグデータを扱う部門に所属していたこともあり、特にデータサイエンス人材の重要性に関しては身近に感じるところがありました。岩﨑さんがおっしゃっていたように、データサイエンティストは単にデータを引き出すだけではなく、ビジネス課題に対するソリューションを提供するところまでが期待される役割となります。また、集積するデータの内容を決定したり、膨大な情報を必要な形に変換したりするデザインスキルも必要となってきます。そのためデータサイエンティスト自身の事業に対する深い理解は必須となり、少なくとも一連の流れをきちんと理解したうえでディレクションができる人材の社内育成は、どの企業・どの業界でも必須となってくるのではないでしょうか。また、特に事業を多角的に展開している企業においては、データをデザインできる人材が社内にいて横軸で機能することによって、様々な負担が軽減されるなどメリットが大きいのではないかと思います。

筆者:久保田華凜(JABIボランティア)

Monday, August 5, 2019

JABIのインターンシップで学んだこと


今回は、この4週間のインターンシップを振り返り、JABIで学んだことについてお話していきたいと思います。私は、アメリカに交換留学生として今年の1月から滞在しているのですが、夏休み期間を利用して、新しい経験や自分が成長できる環境で生活してみたく思い、今回JABIでインターンシップすることを決めました。“日本とアメリカの架け橋になるような仕事がしたい“という私の将来の目的とJABIの理念が一致しているように思い、インターンシップをする前からとても楽しみにしていました。

JABIの一員になって、実際にアメリカで活躍している方々はどのように仕事をしているのか、どのような考え方を持たれているのかという点について多くの事を知ることが出来ました。一か月間、JABIのインターンシップ生として、働く上での基本事項から、より実践的な研修ではJAIBの方々と一緒にイベント企画や司会・進行を任せられるところまで、4週間の間に色々な経験をさせていただきました。JABIでは、日本であるようなピリピリとした環境で働く感じは一切なく、フレキシブルにまたアットホームな環境で働くことができました。そして出会う全ての方々が、右も左もわからない私に、親切にご指導をしてくださり、仕事のことだけではなく、私のキャリアについても熱心に相談にのっていただきました。

シリコンバレーで過ごしていく中で、ここは他のどんな地域よりも、年齢、性別、人種、関係なくすごくウェルカムな場所で、全員と対等に仕事ができ、且お互いを高めあえる特別で素敵な場所だなと感じることが出来ました。自分から”こんなことをやってみたいです!”と主張をすれば、自分のニーズにあわせて、色々なチャンスや機会を私にくださりました。日本だと、絶対に出来ない経験を毎日のようにすることが出来て感謝の気持ちでいっぱいです。私自身、不可能だと思っていた将来の設計図に、すこし光が射したような気もしました。ここシリコンバレーで暮らしているみなさんは、一人一人が自分というものをしっかり持っていて、毎日、解決したい問題や、やってみたいことに対して全力で向き合っている方ばかりでした。そんな方々と出会って、お話することで、私自身もとてもインスパイアされましたし、感銘を受けたことはこれからも忘れないことでしょう。今回この4週間を通して、人との繋がりを持てたことは貴重なこれからの財産になると感じましたし、またシリコンバレーに来る前よりも、一段とコミュニケーション能力また自分自身をアピールする力が身についたと思います!

最後に、将来戻って来たときは、色んなことを吸収する立場ではなく、今度は自分から発信できるそんな存在になって帰ってきたいと思いました。毎日が新しいことばかりの刺激的でとても濃い4週間を過ごすことが出来ました。JABIの方々をはじめ、私をあたたかく迎えてくださった皆さんありがとうございました!
                             
JABIインターン 任 美奈

Friday, August 2, 2019

JABIアワー「関西の成長スタートアップとミートアップ!勢いをます関西市場の今」に参加して

2019年7月25日に行われたJABIアワー「関西の成長スタートアップとミートアップ!勢いをます関西市場の今」に参加させていただきました。参加者は約30人で、関西の企業に働いていた方やこれから起業を考えている学生などみなさんそれぞれの立場から参加されていました。今回、このブログでは簡単なイベント概要説明と私自身が感じたことについて共有したく思います。

NPO法人生態会の西山裕子さんが、シリコンバレーツアーと題し関西のスタートアップの海外展開を支援する旅でアジャイルウエアの川端光義社長とマイスター・ギルドの見取英明社長と共にアメリカにいらっしゃっていました。その一環として、今回JABIで協力できることはないかということで、急遽イベントを開催することが出来ました!

NPO団体生態会についての説明
まず初めに、西山裕子さんから、「関西の企業や経済状況」について話していただきました。参加者の半分位の人が関西出身であったこともあり、みなさん熱心に聴かれていました。特に関西はインバウンド市場の伸びが大きく、飲食店の開業が増え、2016年度の大阪の開業率は東京よりも高かったそうです。また、トリップアドバイザーの日本のテーマパークランキングで、ユニバーサルスタジオジャパンが、三年連続一位をとり、東京ディズニーランドを抜いたという話には、みなさん驚愕されていました。ただ、まだまだ東京に比べると、関西は起業をしたいと思っている人達への手厚い支援は行き届いておらず、今後どのように起業をしたい学生などにどのようにサポートしていくかが鍵になりそうだと感じました。


MCに初挑戦しました!
その後、マイスター・ギルドの見取英明社長に「受託開発会社が海外に出てこられるのか」という題で登壇していただきました。マイスター・ギルドはシステム開発・Web制作会社であり、ARを使ったサービスを開発する為の情報収集や、請負開発もしくは共同開発できる会社を探す目的があるため、シリコンバレーの企業と協業を模索されているそうです。中でも見取さんがお話しされていた内容で印象に残ったのは、日本のエンジニアがコミュニケーションをとることを好まず、英語を話せる人が少ないということです。せっかく技術があるのに、語学面で悩まされているのはとても、もったいないと感じました。これからの世代は、日本国内のビジネスだけではやっていけない焦りと、またそのレベルに達していない日本国内の状況の危機感を感じました。


アプリツールの紹介!
最後にアジャイルウエアの川端光義社長が企業紹介及び技術説明についてお話していただきました。アジャイルウエアもマイスター・ギルドと同様、シリコンバレーの企業と協業やビジネスの可能性を模索している企業です。具体的には、プロジェクト管理ツール「Lychee Redmine」の海外進出に向け、他社ツール連携の強化を図りたいと考えているため、具体的な連携イメージをもとに今後の可能性を模索したいそうです。アジャイルウエアに関しての質問コーナーでは、アジャイルウエアが手がける議事録作成に特化したリアルタイムの共有ツールである“GIJI”についての質問が殺到しました。GIJIの機能性や便利性などについて鋭い質問をされる方も多く、品質向上のために良いディスカッションができたのではないかと思います。ワークライフがGIJIのようなアプリ誕生により、より効率的に仕事ができるようになる将来も近いですね!


 JABIから感謝状を受けとっている様子

 JABIアワーでは、ただ単に講演の時間を持つだけではなく、一人一人が自分のニーズにあわせてお話できるようにネットワーキングの時間をとっています。なので、みなさんがその時間に同じ思いを持った方々と意見交換ができ、また仕事のネクストステップとなる助けを少しでも出来たなら嬉しく思います。登壇者のお三方、貴重なお話をありがとうございます。参加者のみなさんもお疲れ様でした。また今回、はじめてイベント企画やMCをし、私自身もこのイベントを通して成長できる機会となりました!
ありがとうございました!


ありがとうございました!


















NPO法人生態会 → https://www.seitaikai.com/
アジャイルウェア → https://agileware.jp/
マイスター・ギルド → https://www.m-gild.com/


JABIインターン 任 美奈

Thursday, August 1, 2019

JABI スペシャル座談会「これからの時代のロボット、ヒューマンインターフェース、AIの可能性」

2019年3月22日、ロボットの専門家2名でスペシャル座談会が行われました。 登壇者は、工学院大学Human Interface Lab准教授の見崎 大悟先生と、JABI会員であり長くロボット業界でビジネスをしているInnovation Matrix, Inc., CEOの大永 英明氏です。 Stanford大学Center for Design Researchにおいて、d.schoolをもちいた工学教育やイノベーション創生に関しての研究をおこなっていた工学院大学見崎大悟准教授 (Human Interface Lab)と、日米ロボット業界一筋40年余りのシリコンバレー在住の大永英明氏(Innovation Matrix, Inc., CEO)による、これからの時代のロボット、ヒューマンインターフェイス、AIなどの話が盛り沢山で大いに白熱した座談会となりました。 登壇者略歴は以下の通りです。 ●見崎 大悟准教授(工学院大学Human Interface Lab准教授)(以下敬称略) 工学院大学工学部機械システム工学科准教授.東京都立大学大学院工学系研究科機械工学専攻博士課程修了。2015年~2016年に,Stanford University, Center for Design Research ,Visiting Associate Professor 研究テーマ:マイクロマニピュレータ,ロボット,設計支援,デザイン思考,工学教育など ロボットを研究するエンジニアとしてのベースは“問題発見と問題解決”である。現在はそれをどうやって他者に伝えるか、つまりデザイン思考について考えている。 ●大永 英明氏(Innovation Matrix, Inc., CEO)(以下敬称略) 米国ロボットメーカーに勤めたベテラン。現在、物流ロボットに力をいれているロボット一筋人間。現在は fetch robotics社のサービス用ロボットの販売に尽力している。(物流倉庫などにおいてロボットに地図などを記憶させ、人手不足の解消を試案) 今回のJABIブログはお二人と、会場のゲストたちの白熱した議論をお届けしたく、イベントで行われた座談会の書き起こしでお届けしたいと思います。


対談内容

ー 見崎:
ロボットには“産業用ロボット”と“それ以外のロボット”がある。産業用ロボットはニーズが明確である。ニーズがクリアな産業用ロボットなどは日本が強い。それはなぜ?

ー 大永:
アメリカ人は新しいことを開拓するのが好きであり、ないものを生み出す力が日本よりも優れている。日本人は最終製品だけでなく、基本技術から精度を高めようとする”モノづくり”に優れている。その反面、良いものを作ろうとし、新たなものを生み出すのが苦手。

ー 見崎:
モノづくりはそれぞれのコンテキストがあってこそ始まる。開発の上でさまざまな違いが影響し、その一つとして文化の違いがある。今後日本がロボット業界にて生き残っていくためには、この日本の良さを守るべき?それともアメリカのように変化したほうが良い?

ー 大永:
アメリカの学生はアグレッシブであり、日本とは異なり、自分から行動していく傾向がある。これが3Dプリンターの登場により、容易に形にすることが可能となったため、アメリカのスタートアップも、ハードウェアの分野への参入が可能となった。これにより、アメリカと日本の立場は同等となったが、業務委託をする際、日本は高コストであるため、中国など、他国が利用されることが多い傾向にある。この傾向によって、日本は今後の身の振り方について、考えなければいけない。

ー 見崎:
過去の日本を振り返った際に、80年代には様々なものが生み出されたが、90年代は…?
大きなポイント;マインドセットのチェンジ、良いものを作ることは大切であるが、効率化を行うような思考となり、楽しむといった感情に由来する研究がなくなる傾向となってしまった。
90年代に関して、何か記憶に残る大きな出来事はあったか?

ー 大永:
特にはない。
ただ、画像処理などアメリカでは当たり前のことが、日本では少し遅れて当たり前となっていく。日本が生き残っていくためには、固定概念を破り、新たなことに挑戦していけるかどうかも重要である。

ー 見崎:
ロボットには3つの要素がある。①アームなどのメカ、②物をつかんだり離したりする動作(エンドエフェクタ)、③認識がある。②について、物の形状により、その行動は多様となり、複雑化されてしまうため、吸着などの手法が用いられた。
エンドエフェクタについてどのように考えるか?

ー 大永:
問題点は、物流の場面では品数の多さである。この多種多様な形状について、1台のロボットでコントロールすることができないことが問題点である。別のアプローチとして、四角の箱に入れるなど、形状を同一化するという考えもある。目的がつかむことであれば、その方針でも問題ないのではないかと考えられる。困難な問題に対するチャレンジと問題を解決することのバランスが重要である。

ー 見崎:
開発をしていく上で重要になってくるのは、経験や専門性である。また、見方を変えることがとても重要である。ロボットと人間の役割分担において、ロボットは高速で認識が早い、人間は柔軟性があるなど、固定観念にとらわれるのは良くない。学生など、未経験者の視点に対し、それについて教えるのではなく、さまざまな分野の専門家らが学生にいろいろ教えたその知識による様々な視点を共有する姿勢が大切である。

ー 大永:
新たなものを作る際、日本企業は、きっちりしたクオリティーが保証されなければ、製品リリースできない。一方、アメリカはある程度できれば、見切り発車し、何かあれば修正するという楽観的な考え方がある。このバランスが大切である。クオリティーはもちろん大切であるが、マーケットへのスピードも重要である。

ー 見崎:
ソフトウェアに関しては、ある程度のクオリティーでもとりあえずやってみるという姿勢がとても大切。一方ハードはそれができないと思われがちだが、その概念を少し崩すことにより、次の新たなロボット設計において、進歩があるのではないかと考えられる。

質疑応答

● ロボット開発者はロボットを大好きという方が多く、その思いと他者が求めるものを作るというバランスはどのようにとっているのか。

 ー 見崎:
学生の間にロボットを好きだという気持ちだけではいけないということに気づくことが多い。ただ、その気持ちにいつ気付けるかということが大切である。世の中の役に立つこと、誰かのためになることを考えるように思考をシフトすることがポイントである。


● 誰かの役に立つかについて考える際に、どうやってそこにアプローチしていくのかについて、ロボットに基準があるのか。

ー 大永:
第一に安全基準である。スピード、衝突なども考えながら設計することが大切である。日本がアメリカより良いものを作るためには、ビジネスマインドの人と一緒に開発する必要がある。ビジネスを目的とした考えも必要である。

ー 見崎:
エンジニアにもビジネス志向が必要であると最近は言われている。しかし、エンジニアが好きなように開発する環境に慣れたらという意見もある。

ー Shirokuさん(参加者):
最近の課題として、どうやって“ロボットが好き”という気持ちを生かしてビジネスを行えるのかを試行中である。

● 日本の中で自動運転は必要か?

ー 参加者の多くが“必要”という意見であった。ただ自動運転だけでなく、それをUberなどと関連付け、生活の改善やいろいろな場面に生かすという考え方もある。

ー 大永:
若い方は車を買わない傾向にある。自動運転は、渋滞の改善や高齢者の生活の質の向上に生かせるのではないかと思う。

 最近では、ネットショッピングなど外出する必要性が減少している傾向にある。そのような状況下においても、自動運転は必要だろうか。

ー 参加者の中から、外に出て購入することも大切であるという声があった。

● ロボットには3種あると考えられる。I robot(物として管理する)、アイアムマン(自らが中に入り、ロボット化する)、さらにサロゲート(自分は動かず、代わりに動いてもらう)である。ロボット好きの方はどういうものが好きなのか。また、日本で描かれるロボットは平和思考であるのに対し、アメリカでは危険的な描かれ方が多い。そこの違いが幼少期に受けたロボットへの感情に関連し、ロボットの開発に影響している部分があるのではないか。

ー 大永:
3種のパターン、いずれも好きである。また、その幼少期の影響というものはあると考えられる。アメリカでは、軍事的な部分が一番金銭の動きがあるため、そのような場面に用いられる傾向がある。日本は逆にその部分にお金がないため、このように根本に違いが出る。ただ、NASAなど商業用への転用をうまくアメリカは行っていることにも違いがある。

● 近年ではロボットを好きな学生も増え、また共存しようという考え方を持つ方も増え、敵視するという傾向は減ってきたのではないか。

ー 見崎:
そのデザインという部分に戻り、自動運転について話すと、根底にあるのは“人はなぜ移動するのか”というものがある。人が生きていくには他者に会うということが重要であり、自動運転は必要である。自動運転の開発において、安全性やユーザーの安心感など何を享受するかというもの大きなポイントである。

ー 大永:
自動運転が導入されることにより、Uberやtaxi運転手など雇用に関わってくる。その労働者の時間についても改善が可能になるのではないかと考えられる。

● ロボットについて考えた際、なんでもできるロボットにするのか、単機能のほうがいいのか、どっちのほうがいいのか。

ー 大永:
単機能ではいけない、単機能であるとそれをしている時しか役に立たず、コストパフォーマンスが良くない。消費者の視点で考えた際に、多機能であるほうが良いと考える。

● 日本人には一つを極めるという性質がある。その一つを極めるのではなく、全体としてのシステムを構築するような発想になるよう、その概念を変えるようにロボットのデザインにおいて教育するにはどのようにすればよいのか。

ー 見崎:
日本人には職人志向の方が多い。その思考がそもそもどこから生まれるのか、知ることが大切。アメリカでは、アポロ計画により、視野が広がった。日本にいるだけでは、全体を見るような思考には至らないことが多い。他国へ行くなどし、行動範囲を広げることで、視野を広げることが大切。

● 感情を機械で表す開発を行う際、どのようにすればよいか。

ー 見崎:
知識の中で、言語化されているものとされていないものがあり、感情というのはされていないものである。そのため、経験やノウハウの蓄積しかないように考えられる。そもそもコミュニケーションとは何なのか、人間間の関係性なども考える必要がある。

終わりに

ー 大永:
私にとってのロボットの定義は、ロボットが人間の欲望を満たしてくれるというような意味で、世の中にあるすべての基礎技術のことである。

ー 見崎:
基本はロボットが好きな人は思う存分ロボット作ったらいいと思う。その環境づくりについて、シリコンバレーなどを見て、それを日本に生かせればと思う。

Wednesday, July 17, 2019

JABI夏のBBQ開催を開催!


 先日7月15日にJABI夏のBBQが開催されました!そのイベントに参加したインターン中の任さんが、参加してみた感想を綴ってくれました。

 7月15日にJABIの夏のBBQが大永氏(SV英明塾)の自宅で15時ごろから夜遅くまで開催されました!今回は、シリコンバレーで半導体、インターネット、金融、テクノロジー業界などで活躍されている約20名以上の方々が出席されました。初めに、JABI共同創立者である大永氏が挨拶、またJABIの説明を行いました。その後、参加者が簡単な自己紹介をし、一人一人自分の目的にあわせてお話をしていました。海外で働いている日本人だからこそ見える視点でトークが弾み、大永氏のおいしい料理と夕方からは音楽ジャムセッションと題し、みなさん得意な楽器で思いのまま自由にセッションを楽しんでおられました!

JABI説明の様子
 私自身、将来グローバルで活躍する人材となって日本とアメリカをつなぐ存在となりたいと考えているので、今回のような機会は私にとって、これから就職活動が始まるまでどのように考え、行動したらいいのか、また海外で働く上で必要なことや、大事なことを学ぶ、とても良い機会となりました。





 

自己紹介の様子


 まず初めに印象に残った方は、戸村光さんのお話です。戸村さんは、若くしてシリコンバレーで起業(HACK jpn)をしていて、自分にとっても、とてもインスパイアされる存在でした。戸村さんの考えによると、生活において何をする時にも常に目先のことだけではなく、長いスパンで物事を考えることが重要だとおっしゃっていました。そのためには、今のうちからやりたいことをしっかりと定めて後先を考えながら行動する力が必要になってくる、ということです。日本の学生のダメな所は、やりたいことが定まっていないのにも関わらず、なんとなく自分の思想にあっている会社を選び、そして少しでも自分のやりたくないことを指示されると、この仕事は自分の割にあっていないと考え、すぐにやめてしまうということだと教えていただきました。私も日本で学生をしているので、戸村さんの意見は本当にそうだなと感じました。私を含め将来が見えないと悩んでいる学生が、私たちの世代にはとても多くいるのが現状です。

 私は、この一年間日本を抜け出しアメリカで半年生活を終えて、シリコンバレーでインターンシップをするという貴重な経験をさせてもらうことになってから、毎日がとても刺激的です。このようなイベントを含め、今私の周りにいる人たちから、たくさんのことを吸収できるとても大きなチャンスだな、ということを、とても強く改めて感じました。

 またWiLPartnerで働く、琴さんには、海外で将来働きたいと思っている私に対して、とても貴重なアドバイスを頂きました。琴さんとお話させていただくことで、私は日本社会の典型的な考え方に染まっていたな、ということに気づかされました。私の考えは商社や大手企業に入っていないと海外勤務は難しい、という単純な考えでしたが、琴さんはその様に考えるのではなくで、例えばシリコンバレーに働きたいのだったら、シリコンバレーに会社がある企業をリサーチし、そこに個人的にアプローチをかけていく力、自己PR力が重要だということを教えてくださりました。

音楽ジャムセッション、ギターを弾く琴さん、マークさん
 そして自分の学部の専門分野に固執して考える必要はなく、もっと視野を広げて考えることで、自分のまた新たな可能性を見つけていけるのではないかと思いました。実際に琴さんは、建築学部を卒業した後、独学でプログラミングを学び今インターネット業界で、アメリカで働く夢を叶えておられます。私もあきらめずに色々な分野を見て、興味がある自分がやりたいと思う仕事に巡り合いたいなと思いました。

 この期間内で何か一つ、自分が一生かけて解決してみたい問題や、また日本と海外をつなぐことで社会がよりよくなることを見つけ出すことができるように頑張りたいです。何気なく毎日を何の目標を持たずに過ごしている人とは違って、戸村さんや琴さんを含め今回のイベントに参加された方々は、独創的でクリエイティブな考えを持っておられました。なので、自分の人生に何かプラスになるようなヒントが隠れていたら、それを見つけ出し、自分のものにしていきたいと感じました。そういう意味で今回のイベントは、私の平凡な考え方を、いつもとは違う視点から見ることができる、新たな世界の入り口に立ったそんなようなイベントでした。このような交流から新しい出会いがあり、話す場があるというのは参加者のみなさんにとって、とても良い機会になったことでしょう。また開催できるといいですね!!
焼き奉行!
明塾、塾生2号の島袋さん!
美味しく焼きあがったソーセージ!
次のJABIイベントを告知するTedさん

任 美奈(JABI インターン)



Monday, July 15, 2019

JABI インターンのご紹介

 先週の7/10からJABIにインターンとして学生をお迎えしました。関西外国語大学英語キャリア学部に在籍、現在、カリフォルニア州立大学で社会学を学んでいる任 美奈さんです。約3週間、JABIの活動をお手伝いしてもらったり、イベントに参加し、その体験をブログに寄稿していただく予定です。ぜひ、こちらにいる間、色々な見聞を深めてもらえたらと思います!下記、任さんからの自己紹介です。

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 この度、7月から一か月間JABIでインターンシップをすることになりました任美奈と申します。出身は大阪で関西外国語大学英語キャリア学部に在籍中です。今年の1月から1年間カリフォルニア州立大学で社会学を学んでいます。今回、インターンシップをしようと思ったきっかけは将来、世界中の人を相手にできるような仕事をしたいと考えているからです。そのためには、日本とアメリカの懸け橋となって日本の企業の米国進出を強く望んでいるJABIさんの一員になり、実際に海外で働く日本人の方々はどんな活躍をされているのか、また日本人としてどのようなことを貢献できるのかということ中心に学んでいきたいと思います。至らない所がたくさんあるかとは思いますが、よろしくお願い致します。

Monday, February 11, 2019

第24回JABIサロン「日本の農業とテクノロジー」

開会のあいさつ
去る2月1日に本年初のJABI サロンが開催されました。テーマは「日本の農業とテクノロジー」と題して、豊橋技術科学大学 環境・生命工学課程の吉渡匠汰さんに、彼の研究について話をしていただきました。また、講演第2部としては、豊橋技術科学大学環境・生命工学系講師である東海林孝之先生に「CFD(数値流体力学)による植物工場内環境評価」という演題の話をしていただきました。





ロボット業界で仕事をしている私にとっては、高齢化が進んでいる中、製造や物流以外では医療福祉ロボットや農業ロボットが重要な課題であると日頃から思っているので、本テーマは個人的にも非常に興味のあるものでした。


講演する吉渡さん
年々農業従事者の減少・高齢化が進んでいます。農業離れで従業者が減っていくなか、65歳以上の従業者の割合が68%以上を占めています。農林水産省によるデータでは5年以内に離農する40歳未満の就農者は30%にもなるとの説明がありました。このままでは、農業に携わる人たちがいなくなり、日本の食が危うくなるのは簡単に想像できるのではないでしょうか?
よって、日本の農業では、農作業の効率化や自動化が求められており、その内容としては、個人農家が統計学の知識を用いて、効率のよい栽培を行うものから、LED光や人工の二酸化炭素を用いて建物の中で野菜を育てる完全人工光型植物工場まで様々であるとの説明がありました。


スライド
農業において、日照り、温度、湿度、土壌、天候などの環境地が植物の光合成、蒸散、呼吸、発芽などに影響を与えます。農家たちは過去の経験からノウハウとしてそれらを持っています。現状では、それらをデータ化し、植物工場で利用するとか、深層学習で青果物の等級判別を行う等の努力がされていると説明がありました。
農業離れのなか、異業種企業の参入は昔から行われています。しかし、2012年の日本政策金融公庫の調査によると、農業参入企業のうち黒字化した企業は30%でしかないという説明には驚きました。

日本施設園芸協会の調査によると、人工光型植物工業197箇所(2017年2月)のうち、80%は赤字、そして農林水産省の調査によれば2003〜2009年に参入した企業の24%が撤退というデータ結果が出ており、その結果には正直、悲観的な感じがします。

講演に耳を傾ける聴講者
こういった状況のなか、より効率の良い成果が得られるプロセスノウハウが研究されており、シミュレーションによる設備の最適化からIoTの活用による環境モニターを通して将来的には自動化が可能になるかもしれません。

吉渡さんによると、農業の技術で有名なオランダでは農家・企業・大学が連携し、施設園芸や農法に関して研究や実用化が行われているそうです。日本でも農業に参入する企業が増えてきており、ますます農業の工業化による農業の発展を期待したいと思いました。


近年、植物工場にはセンサーを始めとした様々な技術が導入され、農業従事者の経験と勘に頼っていた環境制御を、データに基づいたものに移行する流れが大きくなっています。環境制御の目的は植物工場内の環境(気温、湿度、気流、CO2濃度等)を均一に保ち、作物の安定生産および品質を維持することであるが、植物工場内の環境要素の詳細分布を知ることは一般的には困難であるらしいとのコメントで東海林先生の講演が始まりました。
講演する東海林先生

そこで東海林先生の研究では上記環境要素の詳細な分布をCFDにより予測し、均一化するための方法を調べることをテーマとしており、発表では強制換気型ハウスの気流・熱環境解析のシミュレーションが論じられました。

スライド
地域気象モデル、数値流体力学モデル、植生モデルをもとに構築した植物工場モデルに対して、IoTでモニターしたデータを農学、生物学、化学、電気、コンピューター技術など、様々な分野の知識で環境制御するというのが自動化の最終形態であるという説明でした。








講演して頂いたお二人に感謝状を授与!
しかし、製造業の自動化とは違い、管理できない多くの要素がある農業では、自動化に向けての第一歩が始まったところかなと感じました。人間が生きていく上で一番大事な「食」に関する農業の自動化の話であり、「日本の食」の将来を考えさせられる非常に有意義な講演会でした。

吉渡さん、東海林先生、ありがとうございました。




ナディア会長からのあいさつ
JABI新年会の一コマ

講演の後、JABI新年交流会に転じ、中華料理のテイクアウトやワインを堪能しながら、講演者の二人を囲んで会話が弾んだ金曜日の夕方でした。Happy New Year!

大永英明
Co-Founder, JABI