Wednesday, March 11, 2020

JABI 5UP シリコンバレー研修プログラムを終えて

日本で過ごす5日間とは比べ物にならないほど刺激的で濃密であったJABI 5UPシリコンバレー研修プログラム。自分の中に今どんな想いが残っているだろうか。「挑戦したい」この気持ちが胸の中に大きくある。
私には企画・経営に携わりたい、という夢がある。TSUTAYAの創業者である増田宗昭氏のドキュメント番組を観たことがきっかけであるが、彼は密着の中で「常識の外に、未来はある」と語っていた。世にはない斬新なアイデアで成功を収めた彼の“失敗を恐れずに新たなことに果敢に挑戦し続ける姿勢”に感銘を受けたが、この失敗を恐れない精神はシリコンバレーで働く方々に通じるものがある。そうした精神はいかにして作られるのか、経験を通じて自らの中に吸収するためにこの研修に参加した。

この研修の中でキンバリー・ウィーフリング氏によるワークショップ、「固定概念を取り除く 柔軟に考えるための頭の運動」を3回受けさせていただいた。
様々なアクションを通して自分たちが多くの固定概念に惑わされていることに気付かされた。自分たちは何か新しいことを始める際、どうしても従来の考えに縛られ変化することに戸惑いを覚えてしまいがちである。だがこのレッスンを通じて今までより柔軟な思考を手に入れたことで、新たなことに取り組むことが容易になるであろうと感じる。失敗を恐れない精神を作る土台となる、非常に為になるワークショップであったと思う。

さらに、この研修中に様々な企業に訪問させていただいた。どの企業にも共通していたのは、“世の中のニーズに応えたい”という想いである。世界で起きている問題にどう貢献したいのか、こうした熱い想いがなければ企業は続かない。これからの個人は時代の変化に敏感になり、世で必要となるであろうことをキャッチする力を身につけていくべきだと感じた。また、多くのシリコンバレーで働く方々のお話を伺う機会を持たせていただいた。日本とシリコンバレーの違い、女性が活躍するために必要なこと、人生の目的、など私たちが社会で生きていく上で非常に活きてくるお話ばかりであった。こうしたお話を直接自分で耳にすることは、インターネットやテレビで見聞きする言葉よりもずっと心の中に響く。大変貴重な機会であったと感じる。

そしてこのプログラムの中で数日に渡って作り上げたのがビジネスプラン。今はどういう時代になりつつあるのか、人々が求めているモノは何なのか、を自分の中で必死に考えた。そして生まれたアイデアを元にチームが構築された。私たちのチームは人がそれぞれ持っている、“相手に何かをしてあげる力”つまり“GIVE能力を数値化することによって作られる新たな家族像を提案した。GIVE力はJABIの講演の中で学んだ言葉だ。技術の進歩によって人間は便利になる一方、人間同士の繋がりが薄れてきたように感じる。人と人との繋がりを、現代の進歩する技術を用いることで強められると良いなという想いでこのプランを作りあげた。ビジネスプランを作るのは初めてであったが、世の中をどうしたいのかという想いを大事にして考えあげることが出来た。また、素晴らしい審査員の方々の前でプランを発表することは非常に緊張するものであったが、この発表を通して自分自身に度胸と自信が付いたのではないかと感じる。

JABI 5UP シリコンバレー研修プログラムを通じて私たちの心の中には様々な想いが芽生えた。多くの方々のお話に共通していたのは“失敗を恐れない”ということ。そのために“大きな揺るぎない目標を持つ”ということ。シリコンバレーには失敗を許容し、失敗を良いものだと考える文化がある。そうした文化がない日本では、周りの目や失敗を恐れず何かに挑戦することは少し難しいかもしれない。だが、大きな目標を持ちそれに向かって最初の一歩を踏み出すことができれば、自分の心の中で失敗を許容する“文化”ができるのはないか。こうした文化ができると今までより新しいことに取り組みやすくなる。これまでの私は自分の中の快適なゾーンから抜け出せずにいた。しかし今の私は夢に向かって一つでもアクションを起こそうとしている。こうしたマインドは、このJABIのプログラムを通してできたものに違いない。非常に有意義なプログラムを提供してくださったJABIの皆様、そして多くのサポートをしてくださった皆様には感謝の気持ちでいっぱいである。この想いを日本に帰っても忘れることなく、新たなことに果敢に挑戦していきたい。

Innovation Matrixインターン 鹿児島大学  高風 皓世

Tuesday, March 10, 2020

JABI 5UP シリコンバレー研修ツアーを行って

JABIの事業の一環として数年前から人材育成関連のイベントを行っている。4年ほど前に日本の某市役所からJABIで研修プログラムを提供できるか?という依頼があり、提案した事がある。その時、感じていた違和感は、参加メンバーが全てIT絡みの起業家であるという事。(それは主催の某市の政策の一環であるので仕方がないわけではあるが。。。)

入札したが、落札できず残念に思ったものの、「起業家を育てるだけなら幾らでも他の団体がある。」と、吹っ切れた気がしたのも事実である。その後、プログラムを改善し、検討するために半日のトライアルバージョンを2年間に数回行い、内容を吟味した。そして、形として出来上がったのが、今回、鹿児島大学に提供したJABI 5UP シリコンバレー研修プログラムである。

「学生や中小企業世代交代の若人に日本の伝統的な考え方を突き抜けて、シリコンバレー風に破壊的なイノベーションやアイデアを創造できる人材育成を行い、さらに、中小企業・ベンチャー企業・起業家による米国進出や米国企業による日本進出支援を通じて、さらなる日本なる経済発展に貢献する。」が、JABIのミッションである。
その一環としての5UP シリコンバレー研修プログラムは、5つの構成要素で構成され、起業家精神・イノベーションの創造に不可欠な「間違い・失敗 を恐れない」マインド形成に大きく寄与するものである。
その5つの要素とは、(1)講義 海外で活躍するプロフェッショナルより実体験、現在のシリコンバレーや世界 でのビジネストレンドなどを学ぶ、(2)メンタリング 自分のアイデアに対するアドバイスを受け、改善する習慣を学ぶ 、(3)企業・施設訪問 スタートアップだけでなく、大学やインキュベーションなど、シリコンバレーエコシステムコンポーネントであるサポート要素を見学、(4)ネットワーキング 現地ビジネスパーソン達と交流、そして(5)ビジネスプランを作成、改善し、発表を行うプロセスを学ぶである。






これに合わせて関西大学からJABIへインターンシップで来ていた水谷君には、本プログラムのアシスタント、記録ビデオ係、及び、受講者として加わってもらった。

5日半の内容の濃い、豊富なプログラムなのでこのブログ記事では全ては書けないが、その一部をここに紹介する。

スタンフォード大学
シリコンバレ (SV) ー 歴史ツアーによって、過去の成功、消滅などの歴史を知ることで、ビジネスにおいても永続はなく新陳代謝が必要であることを学ぶ、スタンフォードの歴史を知ることによって、スタンフォードがどうしてそんなに大きいのか?社会への貢献は?大学と地域の関係、Win-Winの関係とは?を学ぶ。米国の歴史と文化からどうしてシリコンバレーが、特異点としてイノベーションが生まれる理由があるのかを学ぶ。さて、背景を学んだ次は、いよいよシリコンバレーについて学んでいく。

その前に、まずは頭の体操!
固定概念を壊すワークショップ
15年以上も、多数の日本と米国の大企業向けに数々のグーバルリーダーシップや組織強化プログラムを提供しているJABIメンバーでもあるキンバリー・ウィーフィリング (Kimberly Wiefling) によるワークショップ、固定概念をとりのぞく=自分を変えるこれが本プログラムの「間違いを恐れない、思考の殻を破る」コンセプトの肝であるといっても過言ではない。これから社会にでて、様々なことに挑戦していくためには、これまでの固定概念を取り除く必要がある。そのためには柔軟に考えるための頭の体操を行い、自分自身を変えていく必要がある。英語での頭を使うコミュニケーションで1日が始まり、可能な限り毎日続けた。それは、新しい事は頭で覚えるのではなく、体で覚えるべきであるという本研修の信念からである。
固定概念を壊すワークショップ

さて、キンバリーの洗練を受けてから シリコンバレーエコシステム、シリコンバレーがどういった場所であるのか?どうして世界がシリコンバレーを意識しているのか?世界の他の場所でシリコンバレーを作れるのか?などを学び、実際に当地に住んで活躍している社会人や学生に毎晩の夕食時にゲスト参加頂き、アメリカに来たきっかけや、どうして今アメリカに住んでいるのか等、様々な観点からの意見を体験談を通して共有してもらった。
また、毎日JABIのメンバーやエンジェル投資家などから世界や日本に迫りくる問題、今後の課題や生き方、イノベーションジレンマ、スタートアップの成功と失敗理由など、日米の違いなどについて多様な講演があった。そして、ランチ討論会:日本は危機状態?を通して、自分がどうして今アメリカにいるのか?何を学んで帰りたいのかのマインドをセットするために議論した新しいことを行うためには自分で物事を考える力を養う必要がある。全てにおいて疑問を投げかけ、問題定義をする力を持てることが重要になってくる。日本と世界(特にアメリカ)との違いを自分で考え、感じ、自分はどうするべきか?などを考えたあと、起業についての学びが始まった。

ビジネスアイディアを練る学生
学生全員が起業を目指しているわけではない。起業を目指す人も目指さない人も、ビジネスプランを作成し、起業がどういうことなのか、ベンチャー会社でなくてもビジネスプランが必要であることを、実際にグループを組んでプラン作成を実習した。まずは、一般的なビジネスプランの作成方法を学び、「問題点とその解決法」を念頭に実際にビジネスプランおよび提案資料の作成に取り掛かった。
各自のアイデア発表の翌日、各自のビジネスプランを元にパートナーを見つけ(強制的に組まされた?)似たアイデアによる相乗効果を狙った合弁会社に変わったり、相反するアイデアによるドクトリン効果を狙った新規事業にプランを書き換えたり。。。まあ、ビジネスなんて考えた事のない学生達ばかりだから大変!
本研修中、学生の健康管理を支えてくれたのが、本プログラムに共感してくださった食事ボランティアグループの6名のお母さん方々である。日本食なしのカリフォルニア当地の多様文化いっぱいの食事をバランス良く企画し、調達、料理してくださった。もちろん初日のランチはCostcoのピザの洗礼!(笑)朝から夜までの12時間ぶっ続けで勉強できたのは、裏方としてのこの食事チームの存在のおかげだ。すべてが非常に美味しかったです。ありがとうございます!!
日々の美味しいご飯

さて、最終日は、当地で活躍されている大学の先生、投資家、コンサルタントなどを審査員に招いた発表会!前日のチーム編成後の議論を見て不安を感じたメンターであるJABIメンバーのトム岡田、テッド友永そして私。ビジネスプランには、ほど遠く、急遽「ビジネスアイデア発表会」に変更。お招きした以上、それなりのレベルになっていなければヤバイ!!
各チーム5分の持ち時間で発表が始まった。

内容は。。。。(長くなるので、内容は次回のブログ記事をお楽しみに。)

ビジネスアイディア発表会
結論からいうと、最初各自が持っていたアイデアから全てのアイデアが、ガラッと変わり、パートナー同士のアイデア調整で先が見えない状況の前日から一転して、すごく様になったアイデア発表に変身!驚いた!各チーム発表を終えた瞬間、「あ〜、この研修は成功に終わったのだ。」と実感した。

そのあとは、各審査員に寸評をいただき、研修修了証を配り、正式プログラムは終了。続いて私が主催するシェアハウスSV英明塾での恒例のBBQが始まった。食べたり、飲んだり、歌ったり。何人かの大人しかった学生や職員がエンタテーナーに変身したり、6日のキツかった研修の後の宴のなんと楽しかった事。
修了後のBBQ

本プログラムに参加頂いた学生の皆様には、シリコンバレー滞在中に、生涯忘れる事のできない、リアルな「シリコンバレー xxx 」を経験して貰えただろうか?参加者が帰国後、将来の起業志望の有無に関係なく、これからの日本を担う将来の社会人としてのあり方を自分の力で実施する大きな動機の一つとして考えて貰えたら嬉しく思う。
(引き続き、参加した学生達からのブログ記事をお読みください。)
今回参加してくれた学生たち


大永英明, JABI Co-Founder, Director

Wednesday, November 13, 2019

JABIアワー 「日本のIT創業者との交流会」

今回は日本の若い企業の創業者の5名の方に登壇していただいた。その方々がどうしてこの世界に入ったのか、どのように成功したのかなどについて、お話していただいた。


大崎さん

1.大崎 章弘氏  (株式会社グレートステイ: https://minpaku-osaka.info


「インバウンド特需による大阪エリアの大きな伸び、新たなこのマーケットに新サービスを」 

・きっかけ;カンボジアにて一軒家をロシア人たちと借り、その空室を貸し出す民泊を行っていた

<発表内容> カンボジアから日本に帰国後、円安などの要因か訪日外国人の増加が起きており、民泊が流行っていた。もともとバックパッカー経験などがあり、ゲストハウスをしたいという思いがあった大崎さんの挑戦が始まった! 民泊とは…一般には自宅の一部や空き別荘、マンションの空室などを活用して、宿泊サービスを提供しようというものこの中でも、「家主滞在型」と「家主不在型」があり、場所によって、特区民泊、旅館業法、民泊新法などのように適応法律が異なるなど、法改正などがあった。この民泊について、さまざまな比較をしたところ、サンフランシスコよりもサンノゼなどのほうが多く、また、日本とアメリカにおいて、広がり方にも大きな差がある。日本ではインバウンドが大きく影響し、airbnbなどは日本で異常な拡大が起きている。 日本で増えている空き家という空きスペースを活かす運営の代行やサポートを行い、多くの方が、遊休空間を活かしやすくすることで、この問題を解決している。 この遊休スペースと宿泊者をつなげるAirbnbのビジネスモデルが日本に入った際に、空き家問題と宿泊施設不足問題という形でうまくはまり、そこに海外在住経験を持つ大崎さんがその波にうまく乗れた時運、そしてそれを積極的に掴んでいったアグレッシブな行動力が大﨑さんの事業の成功の秘訣のように感じた。




比嘉さん

2.比嘉 孝平氏 (シングル10株式会社: http://大森蒲田大井町.jp/


「開業1年目でダントツの存在になった街の不動産屋」

・きっかけ;自身の不動産屋での経験を活かし、新規会社を立ち上げた

<発表内容>
一般的な不動産屋は広範囲の地域に事業を拡げ、また、単価の高いファミリー向けの物件を多く所有している傾向がある。これをあえて逆手に取り、「エリア、ターゲットを限定」とし、エリアは大田区、ターゲットは一人暮らしとし、事業を始めた。また、不動産屋は駅近くを狙いやすいが、あえて駅から20–30分の所で、工場地帯でも需要のあるところに目を付けた。この「限定」などにより、起業1カ月で売り上げは黒字になった!
比嘉さん曰く、ビジネスの鉄則として…
どれくらいのスペックの誰と戦う? カテゴリーは?
これが大切だそうだ。自分のスペックが大切なのではなく、勝てる相手を選ぶことが大切という言葉がすごく印象的だった!何かを始めるとき、「限定」や「あえて」という思考はすごく大きな挑戦のように感じていたが、お話を伺って、一歩を踏み出す良いきっかけになるように感じた。


彦坂さん

3.彦坂 康太郎氏 (株式会社DPパートナーズ: https://site-hikkoshi.com


「サイト引越し屋さん/クライアントの発展を支援するサーバー移転代行サービス」

きっかけ;大学時代にITの可能性に感激し、将来起業しようと考えたこと

<発表内容>
サーバーを扱う際の様々な問題点が生じる。これらを解決したのが「サーバーの移転」である。これはwebサイトのデータを保存しておくためのインターネット上の空間(サーバー)において、AというサーバーからBというサーバーに引っ越すものである。また、共にバージョンアップやSSL対応、表示のスピードアップ改善を行う「サイト引越し屋さん」。これにより…
アクセスが増えるとサーバーがダウンしてしまう…⇒耐久性の高いサーバーへ!
表示スピードが遅くなる…⇒性能の良いサーバーへ!
所有者の変更が大変…⇒新所有者のサーバーサイトの権利譲渡!
などのように様々な解決することができた!
さらに、単なる代行業者だけでは終わらず、「クライアントは技術だけを買っているのではない」ということを肝に銘じ、安心感、知識、補償などに関しても充実させ、常に「クライアントの相棒」として、顧客に接しているそうだ。日本初のWordPresss専門サーバー移転代行サービスというのも、成功した一つの理由かもしれないが、それよりも、クライアントに対する寄り添い方が、彦坂さんが成功した一番の方法ではないかと感じた。


木村さん

4.木村 建太氏 (株式会社プロモーションウェッジ: https://sokusyu-web.com/


「webの内製化支援で日本の中小企業のwebマーケティングを変える」

きっかけ;25歳の時にweb製作やweb事業を開始したこと

<発表内容>
Web製作やその事業を開始したことをきっかけに2016年に会社を設立した。これは小さな会社や個人の方が自分でwebサイトを作って集客やマーケティングをするためのノウハウや考え方を伝えるセミナー、コンサルティング事業を展開している会社である。また、今までに1000以上の指導実績を有している。
日本では他国に比べ、開業率がかなり低い。その理由として、「起業に要するコストが高いため」が一番の理由のように考えられるがそうではない。一番は「起業した場合に生活が不安定になることに不安を感じるため」であった。フランスでは、起業経験者の雇用を優遇したり、またそれにチャレンジしやすい環境整備をしたりなどが行われている。しかし、日本の起業環境には問題がある。日本では、起業した際のたった一度の失敗はまるで死を意味するかのように考えられている。そんな文化を変えるために、この会社が貢献している!開催されるセミナーなどでは、自分で自分の人生を切り開くためのサバイバル術を教え、自分自身をセーフティーネットにするためのノウハウなどを指導している。私がアメリカに来て約8か月、日本では、他の人とは違うことをすることに大きな勇気を必要とし、また、失敗に対する恐怖心が他国よりも大きいように感じた。それに対し、こちらの人は自分自身を謙遜することは少なく、チャレンジに対する恐怖心も小さい。それは悪いことではなく、私はその文化が好きである。日本でも、このようなセミナーを積極的に取り入れ、積極的にチャレンジしやすい環境になればいいなと感じた。


中島さん

5.中島 優太氏 (エベレディア株式会社:https://saitoma.com/


「日本国内ウェブサイトM&A数推移と今後の傾向」

きっかけ;自身のサイト買収における失敗

<発表内容>
ウェブサイトM&Aとは、M&Aとは異なり、企業や個人が持つウェブサイトおよびサイトを構成するコンテンツを商品として、サイトのみを売買するものである。これにより、M&Aよりも売買にかかる時間短縮や低コスト化が可能となる。(株)エベレディアさんが行う「サイトM&A仲介サービス『サイトマ』」では、セミナーや講習会を実施しており、これは業界唯一である。近年、サイトM&Aはアメリカでは20万以上であるのに対し、日本では1万程度でしかない。その原因として、日本のサイト売買のページは古い形式のものが多く、どこの誰なのか、閉鎖的な情報ばかりであるのに対し、アメリカのページは多くの国の方々が投稿し、オープンに多数の情報を掲載しているだけでなく、写真や見出しもあり、わかりやすくなっている。このように日本においてサイトM&Aをしにくい環境を変えるために、買い手と売り手の仲介をする「サイトマ」の役割が重要になってくる!日本では近年、少子化に伴う後継者不足などが原因によりM&A(法人)が一気に推移をアップしている。これを踏まえ、今後の動向として、M&Aが頭打ちし、それに伴い、ウェブサイトM&Aのピークも数年後には頭打ちする、もしくは、小規模が主流になり、サイトM&Aが主流になるのではないかと予測されている。もともと、サイトM&AはM&Aよりも行いやすいが、それを信頼できる方に仲介していただくことによって、さらに身近に行うことができるようになるのではないかと考えられる。これを通して、日本の企業間の関りが増え、経済が活発になればいいなと感じた。



今回のイベントを通じて、どの方も最初から成功しているのではなく、自身の経験や感じたことを活かすことによって、それを実際利用する方が必要としている寄り添い方を実践し、成功されているように感じた。

(JABIボランティア:白倉 歩輝)

Tuesday, October 15, 2019

JABI x JBC 「日米のバイオインキュベーター事情」ジョイントフォーラム

今回JABIはJapan Bio Community(JBC)と共同で、「日米のバイオインキュベーター事情」をテーマとしたジョイントフォーラムを開催いたしました。内容は3名のバイオプロフェッショナルによる講演と、パネルディスカッションパートに分かれております。



◆講演パート


「アントレプレナー教育と神戸のバイオインキュベーターを利用したバイオ分野における大学発ベンチャー例」森一郎さん(神戸大学科学技術イノベーション研究科)

森先生の講演

神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科は2016年に設置された。「バイオプロダクション」「先端IT」「先端膜工学」「先端医療学」の4つの理系専門分野の大学院生に、研究に加えて、その研究成果を事業化するたの事業・財務・知財戦略を学ぶ「アントレプレナーシップ分野」から構成されている。特にアントレプレナーシップ分野は、科学技術とイノベーションアイディア、アイディアとストラテジーなど、アントレプレナーの活動段階におけるギャップを埋めることを目的としていて、博士課程では博士論文の一部として詳細な事業計画を提出させている。

神戸市は、震災からの復興を目的とし医療都市構想を掲げており、神戸の一部区域を住居無しの研究や臨床施設のみに指定している。区域内は北からメディカルクラスター、バイオクラスター、シミュレーションクラスターの3つに分かれており、iPS細胞、アルツハイマー病の研究、医療用ロボットの開発などが行われている。神戸大学はその中で地域のエコシステムを作るミッションを担っている。現在では、基礎研究(研究機関)、臨床(病院)、産業化(企業、360社)が連携してエコシステムを形成し、雇用を11,000人創出している。例えば、域内の神戸医療イノベーションセンターには、神戸大学発のベンチャー企業が複数入居している。ゲノム編集技術を開発しているBioPalette、DNA合成技術を開発しているSynplogenなどがそうだ。


広々としたオープンな会場

「MBC Biolabの紹介とイノベーションをサポートするパートナーシップの役割」神村洋介さん(Nitto Innovations)


2018年、日東電工はMBC biolabsとパートナーシップを締結した。MBC Biolabsは、大学発研究成果の商業化促進を目的としてUCSF, UC Berkeley, UC Santa Cruzの三大学が2000年に立ち上げたNPO法人『qb3』を前身として始まった。当時UCSF職員だったDouglas Crawfordは,qb3の活動の一環として,学内の空き実験室をスタートアップ向けのインキュベーター 『qb3 garage』として解放してみた.すると瞬く間に応募が殺到。直後に$数十Mの資金調達に成功するスタートアップも現れた。

また、2009年にDouglasら一部qb3職員でventure capital 『Mission Bay Capital』を立ち上げ,主にqb3発のスタートアップに投資を行い,これも成功を収める.しかし折からのリーマンショック不況によりqb3予算が削減され,インキュベーターの拡大が思うように進まなかった.そこでDouglasは2013年に大学から独立して『MBC Biolabs』をサンフランシスコMission Bayに設立.現在,San Carlosで大々的にインキュベーター施設を拡大しており,インキュベーター×投資モデルの成功例として注目を集めている.

スタートアップがインキュベーターを使うメリットは以下の通り。
1. Low cost:物件を探したり実験機器を用意したりするだけで、スタートアップは莫大な時間とお金を費やすことになってしまう。インキュベーターを利用することにより、割安で実験環境を手にすることができる。
2. Reputation:2013年から累計$3.5Bの資金調達に成功、エグジットも5社出ており環境がいい。現在約80社が加入しており、うち8割が創薬、2割がメドテック、わずかにフードテック、アグリテックなどの内訳となっている。さらに毎月5-10社が加入のためピッチに来ている。

質問:どんな人材が訪れているのか?
大学院卒、薬事や医療の社会経験あり、連続起業家が同じくらいの比率で来ている。

質問:大きい会社はどのようにかかわっていくのがよいか?
スポンサー料を払うことで、MBCが主催するスタートアップのピッチに参加、いち早くスタートアップとのコネクションを創れる。また、スポンサーのグレードによっては自社でピッチイベントを開催することもできる。その他実験機器の提供、場所の提供などで先行投資をしたり、コンサルに入ったりする機会もある。

質問:スタートアップの選抜基準はある?
インキュベーターに入る基準自体は投資基準と比べれば全然緩い。大きい問題に対してトライしている。それを実行するに足りる人材がいるか。約1年耐えられる資金力があるか。

熱心に傍聴する参加者

「LA BioLabsの紹介と創薬ベンチャースタートアップ企業側の観点から」二村晶子さん(Hinge Therapeutics・JABI前会長)


Hinge Therapeuticsでは低分子医薬品の研究開発を行っており、特に最近は血友病の患者さんに対するソリューションを研究している。

今後BioLabs at LA BioMedというインキュベーション施設に入る予定。周辺のLAの北部に少し、San Diegoには多くのインキュベーション施設が存在する中で、二村さんが住んでいる、オレンジカウンティやLA南部にはまだほとんどそういった施設がない。しかし2028年のオリンピック開催に向けてLAは都市開発に大変力を入れている。LA南部トーランス(Torrance)にあるLA BioMedと、隣のUCLAの関連病院を中心にバイオメディカル分野中心のキャンパスの建設を進めており、今後こういった施設は増加していく見込み。

二村さんの会社はSouth San FranciscoのJLABSに入っていたこともあり、LAとベイエリアのインキュベーション環境の違いを感じる。以下がその相違を二村さんの視点からまとめたもの。

・LAの利点
地元のサポートが厚い。ちょっとしたリリースでもすぐ地元紙に掲載してくれるなど。
病院・患者へのアクセスが良い。実際にLA BioMedも病院に隣接しており、連携がとりやすい。
ベイエリアと比較すると人件費が安くすみ、人材の定着率も高い。
ハリウッドなど多くの人にアピールできる環境がある。
オリンピック開催に合わせ、スタートアップへの投資が強化されている。

・ベイエリアの利点
投資家へのアクセスが良い。実際にJLABSでも、入居者だけが利用できる1対1のコンサルシステムがあり、著名な投資家の時間をもらえた。
他スタートアップとのコラボレーション環境が整っている。
人材の層が厚い。


◆パネルディスカッションパート


階段までいっぱいとなる盛況ぶりでした

- インキュベーター選出で注意していることは?
森さん:施設に既に入居しているスタートアップと企業とのシナジーをみている。
神村さん:大きい問題にトライしていること、人材が揃っていること。いくらお金を持っていても、この点がないとだめ。

- インキュベーターを探している時の基準は?
二村さん:以前のベイエリアでは大手製薬企業とのコネクションをみていた。南に移ってからは、どういう投資家がそのインキュベーターに注目しているか、どんな設備が使えるかを重視している。


- 所属企業の中のコミュニケーション活性化のためにしていることは?
神村さん:ハッピーアワーなどは行っているが、基本的に会社同士のコラボレーションには強く関与しない。
二村さん:施設内にいる企業同士で話していたりすると、コラボレーションの話に繋がったりすることは多い。実際に動こうとしている案件もいくつかある。

- 現在所属しているインキュベーター、大学などで独自の取り組みをしていることは?
二村さん:施設の隣が病院なので、何かできそうだと思っている。
森さん:神戸にも医療エリアあるので、病院とも連携している。

- スタートアップの資金調達サポートはどのようにしているのか?
神村さん:もともと自己資金がある人が多い。あとはアイディアだけには投資できないので、少しでも証拠となるものが欲しい。
森さん:神戸大学発ベンチャーに対しては、海外から資金調達できるレベルのしっかりした特許戦略面、特許取得の支援を神戸大学で行っているケースもある。

- スタートアップの成果を見るための時間軸は、1年くらいなのか?
神村さん:MBCは基本1年半。でもそこは人間関係で伸びたりもしている。
二村さん:ジョンソンエンドジョンソン(JLABS)の場合は基本2年。それを過ぎても、いてほしい人にはいてもらう。一方いてほしくない人には不動産を紹介したり(笑)

- スタートアップの数に対しインキュベーターの数は十分か?
神村さん:足りていないと思っている。そのため、MBCもサンカルロスで40-50社入れる規模の建物をいくつも建てようとしている。不動産のアレキサンドリアも最近インキュベーション事業を始めた。新興VCはインキュベーターを利用したほうがいい。
森さん:神戸(日本国内)では民間発のインキュベーターはまだ見当たらない。ほとんどが、中小機構や県、市などが施設を作り入居者を募集している。

- バイオの人材集めはどのようにしているのか?
森さん:日本だと関東より関西の方がバイオ人の流動性が高いと言われている。

- インキュベーションラボで危険物を扱っていないかはどのように管理しているのか?
神村さん:危険な菌などを使っているところは、共用ラボではなく自社専用スペースの使用をお願いしている。

- 日本のバイオベンチャーはもっと成功するか?
森さん:投資の受け方次第だと思う。アメリカの方が投資を受けるチャンスが多く投資規模も大きい。。日本のCEOは研究肌で、ビジネスに弱い人多い。さらに、大企業からベンチャーに行きたがらない。
神村さん:研究ではなく経験の問題では?研究者とコンサルの比率が、日本とアメリカで全然違う。

◆筆者所感


特にバイオ分野におけるスタートアップは専門性が高く、実験環境の整備や臨床施設との連携などの点において、インキュベーターを活用するメリットが大変大きいように感じます。特にアメリカにおいては今後もインキュベーターは増えていくことが想定されるため、スタートアップにとってはより良い環境が整っていくのではないかと思います。
今回JBCさんと共同で会を執り行わせて頂いたことで、バイオというテーマについて深く掘り下げることができたと感じています。日本からアメリカに進出を考えている、もしくはアメリカでバイオの取り組みを検討されているみなさんのお役に立てれば幸いです。

イベント後は近くのイタリアンで懇親会!
筆者:久保田華凜(JABIボランティア)

Monday, August 26, 2019

次世代の自動車産業 - 初めてのモデレーター

先週の8月13日に6th JABI Open Innovation Forum「次世代の自動車産業」と題したパネル討論会のモデレーター(ファシリテーター)を人生で初めて行った。内容としては当地、シリコンバレーで自動車産業に従事されている3名による講演の後、パネルディスカッションを通して質問に答えていただくというものである。


下記のタイトルで登壇者3名に講演をしていただいた。
●「日本の製造業が取り組むデジタルトランスフォーメーション」 岩﨑 悠志様(株式会社ブリヂストン)
●「日本の製造業がシリコンバレーを活用した新規事業開発」大貫 悠太様 (Suzuki Motor of America Inc.  )
● Kodiakの事業内容について 塩野 皓士様(Kodiak Robotics)

同じ自動車産業のメーカーではあるが、それぞれ全く違うビジネスをされており、果たして、タイヤ、自動車メーカーによるシニア向けのパーソナルモビリティ開発、そしてトラックの無人自律運転サービスがディスカションでどう絡むのか頭を悩ます羽目になった。

私自身は、今、本業では自律物流ロボットの販売を行っているという事もあり、最新の自律制御の動向には興味があったので、モデレーターの役を買って出たのである。いつもは観客、もしくはパネリストの席に座るのだが、果たして新米モデレーターの行く末は。。。


さて、このイベントの約一ヶ月半前に「大谷由里子のチャリティー講演in SV」という吉本興業元マネージャーの大谷由里子氏によるシリコンバレーでの講演に参加した。さすが、お笑い業界出身だけあって、話がうまく、大変面白い。チャリティのお礼に著書を2冊いただいた。仕事上、講演をしたりすることがあるので、頂いた本の「講師を頼まれたら読む「台本づくり」の本」の「台本」という言葉に興味をもった。

仕事のプレゼンテーションや、大学やセミナーで講義をするとき、当然プレゼン内容のプロットは作成するわけではあるが、この本にあるようにエンタメ業界の人にとっては、それは「台本」と表現した方が正しいのかもしれない。台本を創り、何度も目を通して何度も練習して、その流れそのものを自分のものにする。喋りがプロの人たちとっては、そこにはすごく隠れた苦労があるのだ。
という事で、モデレーターとしての質問の台本創りが始まった。私は、技術の進化そして産業の進化を理解するには、その背景であるニーズを知る必要があると思っている。単に技術が進化したからどんどん破壊的新製品を開発していこうという風潮には少し閉口しているので、社会的要因や意義を質問の中に取り入れたかった。
あまり直接関係のない上記3社の大きい枠での「自動車産業」という縛りで潜るために人手不足や高齢化社会という背景を意識した質問の「台本」を作った。また、最近、話題になっている「デザイン思考」に関する日米での浸透の違いも新たな手法として議題にいれた。当然、登壇者には準備した返答は欲しくなかったので、質問内容は一切伝えず「本番」が始まった。

プロローグ:
「昔のアメリカのテレビ漫画に「宇宙家族ジェットソン」というのがあり、高層タワーのような居住地から空飛ぶ車で通勤し、家庭用ロボットがおり、料理も自動販売機のような機械がしてくれる世界がありました。それから60年ぐらい経ち、技術が進歩し、空飛ぶ車が出てきそうな時代になりました。

AIによる無人技術も発達しましたが、その背景には人手不足や少子高齢化があります。ということで、本日のパネルディスカションは次世代の自動車産業の変化を技術の進歩だけでなく、社会的意義と絡ませた議論にしたく思います。」

質問:

2004年に開催されたDARPAグランド・チャレンジというDARPAによるロボットカーのロボットカーレースによって、一気に無人カーの開発が進んでいます。グランドチャンレンジで常にトップ1、2を争うStanfordやCMUでの開発者たちが当地ではグーグルを始めとする多くの自律無人カーの開発会社に流れています。AI, SLAM, LiDARの進化によって、それらが現実になろうとしているわけですが、Kodiak Robotics にお尋ねします。トラックの運転手の人手不足を考えるとビジネスチャンスが大で、Kodiak Robotics以外にEmbark , Ottoなど、トラックに特化したベンチャー企業は何社ぐらいあるのでしょう?御社の他社と比べた優位性とは何でしょうか?



対談の詳細内容は、久保田華凛さんによるブログを参照



13. 最後の質問です。20年、50年後の自動車産業はどのようになっていると考えられますか?


対談の流れをコントロールできるという意味ではモデレーターの役割は非常に重要であると思った。また、それは楽しい事でもあると。

台本作成者としては、プロローグでの「宇宙家族ジェットソン」の空飛ぶ自動車という答えを聞きたかったのだが。。。


大永英明

Thursday, August 22, 2019

6th JABI Open Innovation Forum「次世代の自動車産業」

8月13日に「次世代の自動車産業」と題したオープンイノベーションフォーラムを開催いたしました。当地、シリコンバレーで自動車産業に従事されている3名をお招きし、講演・パネルディスカッションを執り行いました。

◆講演パート


「日本の製造業が取り組むデジタルトランスフォーメーション」 岩﨑 悠志様(株式会社ブリヂストン)

講演する岩﨑さん
近年、タイヤマーケット自体は世界的に伸長しているにもかかわらず、メーカーにおけるビッグ3(ブリヂストン、ミシュラン、グッドイヤー)は、新興企業の台頭によりそのシェアを落としています。そこでブリヂストン社はタイヤの製造販売業から、ソリューションプロバイダーとして事業を拡大するべく、デジタルトランスフォーメーション(DX)を重要視されているそうです。特に「CAIS」というセンシング技術では、タイヤにセンサーを搭載することでデータを集積し、データからタイヤの摩耗状況・路面状態を検知することで、冬期の路面凍結に対応した高速道路管理の支援を行っています。将来的にはto C向けのソリューションも提供していきたいと考えていらっしゃるそうです。また、DXを扱う人材としてデータサイエンティストの需要が高くなっていますが、日本ではそもそもの人材の母数が少ない上にそういった人材はIT企業に行きがちなこと、データサイエンスにおいてはドメイン知識も重要であることなどから、ブリヂストン社では社内での人材育成を進めているそうです。質疑では空気圧センサーやインホイールモーターの開発の有無などがあがりましたが、ブリヂストン社では産学連携しながら共に取り組んでいらっしゃるとのことでした。


「日本の製造業がシリコンバレーを活用した新規事業開発」大貫 悠太様 (Suzuki Motor of America Inc.  )

講演する大貫さん
Suzuki社では2016年から次の100年に向けた土台作りを目的に、シリコンバレーを拠点とした企業変革の取り組みを開始しています。その一つとして、大貫さんは、デザイン思考を活用したセニアカーの次世代モデル開発に携わられています。開発はスタンフォード大学でのデザイン思考に関する講義の受講、ユーザーインタビューや車いす生活の体験などのプロセスを経て進められています。決まったオフィスやデスクでの作業はなく、またチームメンバー同士でシェアハウスを行っているなど、ビジネス環境が非常にユニークな点も特徴的でした。質疑応答では、コンセプトモデル立案の際にシリコンバレーだからこそできたことは?という質問に対して、社内からトップダウンで下った指示に従うのではなく、実際のユーザーや現場に多く触れることでお客様にとって本当に良いものを引き出す取り組みができている、と回答されていました。まさにそういった自由な気質を与えてくれるのが、シリコンバレーの良いところなのかもしれません。


Kodiakの事業内容について 塩野 皓士様(Kodiak Robotics)

塩野さんの講演を熱心に聴講する参加者
Kodiak Robotics社は、Mountain View, CAに本拠地を置く、自動運転トラックのスタートアップです。現在は高速道路区間の自動化に注力しており、この8月よりテキサスの高速道路での実用化が開始されました。対象を長距離トラックに限定した理由としては、走行場所が限られていることなど技術面での敷居が比較的低いこと、宅配運送業の産業規模が大きいこと(年間$800B)、長距離ドライバーの不足が社会的課題になっていることなどがあげられているそうです。特に最後の課題に関しては、トラックドライバーは長期で家を空けることが多く、現在の生活スタイルにそぐわないことから若者を中心に職業としての魅力が低下していると考えられています。自動運転技術を使えば、人力で運転する区間が限られるためドライバーの生活スタイルに支障をきたすことが少なくなります。そういったことも手伝って、自動運転技術と宅配運送業がシナジーを生んでいるとも考えられています。ただし完全な自動運転(Level5)を実現する難易度の高さ、州法の壁など、今後解決していかなければならない課題も存在しています。質疑応答においても、自動運転技術の実用化が遅れている最大の要因はなにか?という問いが出ました。それに対し塩野さんは、車体の周囲すべての物体を検知する技術、人間のドライバーがなすような微妙な場面での意思決定の判断基準を織り込む技術などの不足を理由としてあげられていらっしゃいました。


◆パネルディスカッションパート


講演者3名にファシリテーターの大永(JABI Co-founder, JABI理事, Innovation Matrix,inc., CEO) を加えた4名にて、パネルディスカッションを執り行いました。また、視聴者からも適宜質問が飛び交い、非常に活発なディスカッションとなりました。

パネルディスカッション

大永:現在トラックに特化したベンチャー企業は何社くらいあるのでしょうか?また、他社と比較した際のKodiak社さんの優位性はどんなところにありますか?

塩野:10社くらいだと思います。競合他社と異なり、運送業そのものをビジネスモデルとして採用しているところに特徴があります。あとはCOOがVCの出身なので、会社の運営に精通しています。

大永:スズキさんはセニアカーの開発に取り組まれていますが、ブリヂストンさんにおいても高齢者向け事業は行われていますか?

岩﨑:直接的ではないですが、スポーツ関連事業の一環として人工筋肉のサポート製品などを開発しています。

大永:ブリヂストンさんにおいて、センサーで読み取ったタイヤに関するデータの集積先は、車本体になるのでしょうか?それとも、クラウドになるのでしょうか?

岩﨑:現状、無線でデータをとばしてクラウドに保管しています。

大永:それからセンサーを取り付けたタイヤは通常のものよりもコストが上がると思いますが、どのように投資回収していくのでしょうか?

岩﨑:まさにそこが課題の一つです。先ほどご紹介したCAISに関しても、一般消費者がわざわざセンサー付きタイヤを買いたいかと言えばNOです。なので、特にto Cに関しては課題があります。to Bに関しては、センサーやメンテナンスも込みのサブスクモデルも検討しています。
満員御礼!たくさんの方が参加されました

大永:ブリヂストンさんのセンサー付きタイヤにおけるような、ユーザーに安心感を与える取り組みはとても素晴らしいと思います。他2社さんにおいてはこのような取り組みはされていますか?

大貫:スズキでは走行データをクラウドに集積しようとしています。そのデータを基に、ユーザーに安全性を警鐘するような取り組みを現在行っています。

塩野:Kodiakでは、自動運転トラックが人間より安全と確証されるまでバックアップドライバーを設置し続ける方針です。

視聴者:そのバックアップドライバーを置かない、と決定するための明確な判断基準はあるのでしょうか?

塩野:現時点で明確な規定はありませんが、統計的に安全が保障された後に無人化の議論も始まると思います。

視聴者:無人運転は法的には許可されているのでしょうか?

塩野:州によって異なりますが、例えばテキサスでは許可されております。

視聴者:自動運転の車が事故を起こした場合メーカー側の責任が問われることが予測されますが、そのことに関してKodiakさんはどのようにお考えになっていますか?

塩野:まさにそれがKodiakでも安全性をプライオリティの最上位においている理由となります。そして現在は、もしそのような事故が起こった場合の責任はすべて弊社にあるというのが会社としてのスタンスになります。

大永:ブリヂストンさんがタイヤから集積したデータは、将来的に他社とも共有できるようになるのでしょうか?

岩﨑:我々自身がデータを共有するためのプラットフォーマーになるのか、もしくはそこに乗っかる企業になるのかは現時点では確かではありません。収益化や社会的責任を考えると、あくまでブリヂストンは部品メーカーなので攻めづらい領域ではあります。

視聴者:データサイエンティストを社内育成されているとおっしゃっていましたが、そういった人材こそ社外リソースを使ったほうが効率的なのではないでしょうか?

岩﨑:データサイエンスの難易度は、ビジネス課題からデータに落とし込むところにあると考えています。そしてそれができるのは社内の人間のため、社内教育を進めています。おっしゃるように社外リソースを活用することで効率化は図れますが、少なくとも初期分析までは社内で続ける方針です。

大永:スズキさんのシリコンバレーでの取り組みに関して、社内の各レイヤーにおける評価の違いなどは出ているのでしょうか?また、全社での報告などはされていますか?

大貫:すでに全社報告も行っています。ブートキャンプ形式の実践なども行っているので、苦しいこと=仕事という考えが強い人からは反対意見も出ています。しかし経営の上位層などからはきちんと理解が得られているため、問題ないと考えています。

大永:デザイン思考という言葉は2005年から提唱され、アメリカでは既に新しいものとしての印象はなかったのですが、日本ではいつ頃から浸透していったのでしょうか?

岩﨑:私は2016年か17年に当時の上司から聞きました。それまで技術先行的な考え方の時代が続いていたので、真新しく感じたのかもしれません。

大貫:私も2017年の研修時に初めて聞きました。スズキの社内でも、この言葉について理解している人間はあまり多くはないかもしれません。ですが、本質的には日本人の文化・心情に根付く思想ではあると思います。

塩野:大学時代に知り、何度か実際に実験したこともありますが、デザイン思考を経て到達した解が自分たちの分野から離れたものになった場合に、それをやらないと判断するのはとても難しいことだと思います。

大永:デザイン思考とアジャイル開発との関連をどのようにお考えになりますか?各企業ではデザイン思考をどのように取り入れているのでしょうか?

岩﨑:日本人はアイディアをあたためて出すタイプだと思います。それに対して、海外ではとんでもないアイディアでもとりあえず出す文化です。そういった違いがある中で、デザイン思考をそのまま日本に適用できるかは少し疑問です。

大貫:相手への共感、日常業務など、ビジネスだけでなく様々な場面にデザイン思考は適用できると考えています。

大永:スズキではオートバイ、自動車、マリン、福祉車両などをビジネスとして設けていらっしゃいますが、将来的なセニアカーのビジネス比率はどの程度となる想定なのでしょうか?

大貫:現状では、4輪自動車が9割、またインドなどの新興国を中心に引き続き4輪が伸びる想定です。

大永:今各社で取り組まれている製品開発に、シリコンバレーが最も得意とするITの技術は必要なのでしょうか?

岩﨑:私が最も強く関連しているところでいうと、やはりデータサイエンティスト人材の育成が関連してくると思います。

大貫:セニアカーの技術、工場における検査などに活用したいと思います。

塩野:必須です。今取り組んでいることすべてが関連しています。

大永:最後の質問です。20年、50年後の自動車産業はどのようになっていると考えられますか?

岩﨑:タイヤがなくても人が移動できる時代にはなっていると思います。なのでタイヤメーカーとしては、危機感を感じています。

大貫:実現の難易度を考えると、まだ人は車を運転していると思います。

塩野:トラックは近未来中に自動化すると思います。そこから徐々に拡大してインドのような道路状況の場所(僕らは勝手にLevel6と呼んでいます(笑))でも実用されるはずです。あとは個人的に仮想現実が進んでいくと思います。人をどう動かすかではなく、人間をいかに動かさずに済むかという方向に考え方がシフトしていくのではないかと思います。

講演者に感謝状を授与!


◆筆者所感


たくさんの種類のピザが振舞われました!
今回JABIのOpen Innovation Forumにボランティアとして参加し、自動車産業というこれまではあまりご縁がなかった業界の皆様の先端技術に関するお話をお伺いすることができ、大変勉強になりました。自動車をはじめとして、日本を代表する産業はその技術の細やかさが世界で戦う大きな武器となっているように思います。そこにシリコンバレーの最先端のテクノロジーが融合すれば、JABIの理念でもある日米間のビジネス進出と飛躍が一気に期待できるのではないかと改めて感じた機会でもありました。また、日本から離れたシリコンバレーだからこそ、改めて日本の産業を広く見渡すことができるのも、この土地がもたらしてくれる大きな利点なのではないかと思います。ここで一つでも多くの日本発ビジネスが生まれ、またビジネス同士が繋がっていく場所づくりのお手伝いをJABIを通して私自身お役に立てたら嬉しいと思いました。

講演の内容に関して、3社とも次の時代の柱となる事業を生み出すために、シリコンバレーという地を選んで活動をされていることがわかりました。そしてその飛躍の重要な鍵となるのが、先端テクノロジーに強い人材、データの取り扱いに強い人材であることは間違いないと感じています。筆者はIT企業でビッグデータを扱う部門に所属していたこともあり、特にデータサイエンス人材の重要性に関しては身近に感じるところがありました。岩﨑さんがおっしゃっていたように、データサイエンティストは単にデータを引き出すだけではなく、ビジネス課題に対するソリューションを提供するところまでが期待される役割となります。また、集積するデータの内容を決定したり、膨大な情報を必要な形に変換したりするデザインスキルも必要となってきます。そのためデータサイエンティスト自身の事業に対する深い理解は必須となり、少なくとも一連の流れをきちんと理解したうえでディレクションができる人材の社内育成は、どの企業・どの業界でも必須となってくるのではないでしょうか。また、特に事業を多角的に展開している企業においては、データをデザインできる人材が社内にいて横軸で機能することによって、様々な負担が軽減されるなどメリットが大きいのではないかと思います。

筆者:久保田華凜(JABIボランティア)

Monday, August 5, 2019

JABIのインターンシップで学んだこと


今回は、この4週間のインターンシップを振り返り、JABIで学んだことについてお話していきたいと思います。私は、アメリカに交換留学生として今年の1月から滞在しているのですが、夏休み期間を利用して、新しい経験や自分が成長できる環境で生活してみたく思い、今回JABIでインターンシップすることを決めました。“日本とアメリカの架け橋になるような仕事がしたい“という私の将来の目的とJABIの理念が一致しているように思い、インターンシップをする前からとても楽しみにしていました。

JABIの一員になって、実際にアメリカで活躍している方々はどのように仕事をしているのか、どのような考え方を持たれているのかという点について多くの事を知ることが出来ました。一か月間、JABIのインターンシップ生として、働く上での基本事項から、より実践的な研修ではJAIBの方々と一緒にイベント企画や司会・進行を任せられるところまで、4週間の間に色々な経験をさせていただきました。JABIでは、日本であるようなピリピリとした環境で働く感じは一切なく、フレキシブルにまたアットホームな環境で働くことができました。そして出会う全ての方々が、右も左もわからない私に、親切にご指導をしてくださり、仕事のことだけではなく、私のキャリアについても熱心に相談にのっていただきました。

シリコンバレーで過ごしていく中で、ここは他のどんな地域よりも、年齢、性別、人種、関係なくすごくウェルカムな場所で、全員と対等に仕事ができ、且お互いを高めあえる特別で素敵な場所だなと感じることが出来ました。自分から”こんなことをやってみたいです!”と主張をすれば、自分のニーズにあわせて、色々なチャンスや機会を私にくださりました。日本だと、絶対に出来ない経験を毎日のようにすることが出来て感謝の気持ちでいっぱいです。私自身、不可能だと思っていた将来の設計図に、すこし光が射したような気もしました。ここシリコンバレーで暮らしているみなさんは、一人一人が自分というものをしっかり持っていて、毎日、解決したい問題や、やってみたいことに対して全力で向き合っている方ばかりでした。そんな方々と出会って、お話することで、私自身もとてもインスパイアされましたし、感銘を受けたことはこれからも忘れないことでしょう。今回この4週間を通して、人との繋がりを持てたことは貴重なこれからの財産になると感じましたし、またシリコンバレーに来る前よりも、一段とコミュニケーション能力また自分自身をアピールする力が身についたと思います!

最後に、将来戻って来たときは、色んなことを吸収する立場ではなく、今度は自分から発信できるそんな存在になって帰ってきたいと思いました。毎日が新しいことばかりの刺激的でとても濃い4週間を過ごすことが出来ました。JABIの方々をはじめ、私をあたたかく迎えてくださった皆さんありがとうございました!
                             
JABIインターン 任 美奈