Monday, April 9, 2018

大学・大学院におけるアントレ教育ー関西学院大学の事例を中心にー

第21回  JABI サロン  2018年3月22日 特別講演  
定藤 繁樹 関西学院大学教授  (プロフィールはこちら)


今回のJABIサロンは、JABIの共同創始者、大永氏と、高校時代の同級生である定藤教授との半世紀ぶりとなる再会がきっかけで開催されました。定藤教授は、関西学院大学大学院経営戦略研究科にて、学生たちに起業家精神(アントレプレナーシップ)、国際競争力(グローバリゼーション)、産官学連携(ビジネスエコシステム)を研究、指導されています。講演序盤は定藤教授の略歴説明、アメリカ留学~会社員~教授就任まで数々の破天荒な経歴を面白おかしく話してくださいました。通常の講演に比べ余談が多く入っていましたが、大永氏との50年ぶりの再会、溢れる思いがひしひしと伝わり、私を含めゲストの心を温める素敵な時間となりました。気が付けば公演予定時間の半分を略歴紹介に費やすという、これまた破天荒な展開となりました。また、15年にわたる関西学院大学との関わりをアンバサダーとして紹介され、私自身、若い頃に戻れるのであれば是非とも学びたい、自分たちの子どもがいれば是非とも行かせたいと思わせる内容で、教授と言う事を忘れて、営業部長さんが話されているのかと勘違いしてしまいました。  

【以下、定藤氏による講演の概要】 

産官学連携の基礎となるビジネスエコシステム、(優秀な大学>優秀な人材>起業成功者>エンジェル投資家>ベンチャーキャピタル>企業>優秀な大学)特に世界の最先端を走るSilicon Valleyの循環に比べ、日本は遅れをとっている。そこで、大学としての重要課題は、アントレプレナーシップ(起業家精神)の養成であり、その為に資金を集め、現場である大学や学生、研究生に投資する事、Silicon Valleyに人材を送り込む事である。IMD国際競争力比較(2015年度版)によると、1位アメリカに対して日本は27位、都市別ユニコーン企業(評価額10億ドル以上の非上場ベンチャー企業)の数では、Silicon Valleyが断トツ1位の69社、2位はニューヨークの16社(2015年度版)に対して日本は全国で1社(2017年調べ)と言う事実が現状である。
グローバルな視点から見ると、アメリカ109社に対して唯一対抗できる国家、中国が59社、欧州はEU全体で28社、インドが10社となっており、日本の出遅れ感が顕著に表れている。ユニコーン企業が国際競争の未来予想図になるとは断言できないが、現地点での勢力図としては間違いなく無視できないものになっている。 1990年代以降のPCの普及・発展と共に情報技術や人工知能は目まぐるしいスピードで進化している。アナログ時代を振り返ってみても世界は常に効率化や利便性向上など、日々イノベーションが繰り返され、これからも繰り返されるであろう。ではこれからの未来はどうなるのか。
アメリカ・中国を中心に、国家や大企業はコンピュータサイエンスを通じて、AI(人工知能)、産業ロボット、医療科学などへ巨額の投資を行っている。少なくとも10~20年先までの事業計画が確定していると言うことだ。私見ではあるが、私の学生時代、約20年前はと言うと「ポケベル」と言う数字10桁のみを受信できる機械が時代の最先端であった。相手の電話番号10桁を少なくとも2,30件は記憶していたものである。それが10年ほど前から月額同程度の金額でスマートフォンをWi-fiで使いこなし、PCで世界中の人々と常に連絡が取れるようになっている。同じスピード感で向こう10年のイノベーションを想像してみた時、SF映画の世界が現実となっているだろう。その時に「日本」という国家は世界の勢力図で先進国に入っているのだろうか? 

【筆者の感想】 
私は、日本にいた時からよく大風呂敷を広げる癖があります。会社員の時には「出る杭は打たれる、出過ぎた杭は打たれない」と言い聞かされることが多かったと記憶しています。アメリカ、ベイエリアでも同じ大風呂敷を広げてしまっていますが、関わった方々の反応が全く違いました。ネガティブな反応を見せる日本人と違い、アメリカで出会った多くの人々は、すぐさま「5W1H」の質問と共に「YOU CAN DO IT」と言います。やらない事には始まらない、動かないことが最大のリスクである、失敗し続けても成功するまで諦めなかったらそれはただのプロセスだ。とにかくポジティブです。関西学院大学の事例によると、資金援助付きのビジネスプランコンテストの参加申し込みがそれほど無いと言います。Silicon Valleyではどうでしょう。中心的大学のスタンフォード大学で同じような資金投入コンテストなら数日中に満席となり、競争原理のもとハイレベルな論文が出てきます。ビジネスエコシステムの循環における、未来への原資である優秀な人材=学生の意識が、ここまで違うという現実を受け入れ、関西学院大学はいち早く文科省からスーパーグローバルユニバーシティの認定を受けました。需要と供給のバランスが崩れたバブル時代の就職活動の様に、現在の進学活動も少子化問題と共にバランスが崩れています。大学も経営していかなければならない以上、教育のクオリティとビジネス面でのバランス維持が大きな問題となっています。ビジネスエコシステムの輪を保つだけではなく、この輪をどんどん広げて行く事が「日本」と言う誇り高き国家が国際社会で生きていくための使命だと感じました。
 



 2018年3月26日 室住 康仁

Saturday, March 10, 2018

3月6日JABI夕食会報告 「自分の値段」を知るということ ー転職社会アメリカで“働く”とはー

鹿児島大学 法文学部人文学科2年 横田帆南
研修期間 2月26日~3月9日

3月6日に催された、JABIの夕食会に参加させて頂き、シリコンバレーで活躍されている様々な職種の方々からお話を伺った。多くの議題が挙がったが、その中で印象的だったものをまとめる。
はじめに、日米の転職に対する考え方の違いについてである。日本では「定年まで働けそうな会社」を探すのに対し、アメリカは「次も転職すること前提」で会社を探すという。就職し、その会社でノウハウを得て、転職することでキャリアを積んでいく。転職が当たり前の世界であるからこそ各々が「自分の値段」を持っているということであった。自分がどの程度企業、社会に必要とされているのか、今の自分には何が足りないのか、どんなノウハウを身に着けたら自分の価値が上がるのか。アメリカの転職社会は、このようなことがはっきりと自分に突きつけられるシビアな世界であると感じた。また、転職の際、一社に長く勤めている人は、日本では「転職後も当社で長く働いてくれるのでは」というプラス印象を持たれるが、アメリカでは「転職先が見つからない仕事ができない人」というマイナスの印象をもたれるということが驚きだった。日本と違い、年齢や性別に左右されない点からも、「自由な働き方」を感じた。アメリカで転職するためにはブラッシュアップが欠かせない。このように常に自分を磨き高みを目指すという環境、社会の仕組みがシリコンバレーのように常に成長し、世界をリードしていくことにつながっているのだと感じた。
また、今回特に印象的だったのは、日本人の「恩」についての話題である。日本人の持つ「恩」は、アメリカには存在しない概念であるというものだ。文系の私にとってはとても興味深い話題であった。「恩師」、「恩人」、「恩恵」など「恩」は日本人の周りにありふれているものであり、日本人が大切にしているものである。英語で似たニュアンスをもつものとして“favor”や“indebted”が挙がったがこれらの語彙では、日本人にとっては腑に落ちない。「借り」でもなく「負債」でもない「恩」。その大きさや価値は計ることができないものであり、なくなることもない。宗教とは違うが、一種の信仰心のようなものなのか。日本人として当たり前に感じていた「恩」を別の土地に来て改めて考えると独特な感性であると実感したと同時に、「恩」を感じることができることに誇りを感じた。
今回の食事会で共通していたテーマは「外から見た日本」であったと考える。日本の良いところ、悪いところ、単に良し悪しでははかれない様々なものについて、日本人として長年日本を「外」から見てきた方々だからこその視点を感じることができた。様々な切り口からの話題が挙がり、シリコンバレーで活躍されている方々の好奇心の幅広さと、博識さに圧倒され、また感心させられた夕食会であった。

Friday, December 29, 2017

JABI 5UP シリコンバレー研修プログラム トライアルイベント

JABIの活動を大きく変えようと仲間と数ヶ月議論をし、やろうと決まったのが日本の中小企業に対するシリコンバレー研修ツアーです。

JABI 5UP
プログラムは、JABI が当地で著名な米国の日系教育支援団体、US-JAPAN FORUM (http://www.usjapanforum.org) の協賛を得て提供する中小企業向けの若手社会人教育、起業家育成プログラムです。他の団体によるシリコンバレー研修プログラム同様、講義、メンタリング、企業訪問、ネットワーキング、ビジネスプラン発表などの要素が含まれていますが、決定的な違いは1)大きくスケールするビジネスプランを至上とせず、着実に利益を出し、中小企業に必然な世代交代を堅実なビジネスプランで実施し、その次の世代へ繋ぐビジネス理念を構築、そして、2)ピッチコンテストで勝つ(VCのスケール性を評価するという好み)ビジネスプランではなく、誰もが理解できる存続=繁栄といった観点を重視したプランの作成にあります。つまりは、中小企業の旧態依然の自社の文化・体質の改善目標を定めるマインドセットを持つことを目標とします。

6日間のプログラムを実施する前にまずはJABI会員、そして具体的なツアー企画を検討されている日本中小企業をはじめとした団体様達に本プログラムを理解していただこうと、半日研修体験を目的としてたトライアル・イベントを去る11月11日に行いました。


Kimberly Wiefling )女史による「リーダーシップ」に関するワークショップを兼ねたレクチャー。ヒューレットパッカード社に勤めていた経験より、主に日本企業に対して、いかに困難な問題に挑戦しいくかをコーチングしている方です。本セッションのテーマは、いかに管理職のマネージャーを指導者(リーダー)として、また、グループのメンバーを本当のチームに変えるかでした。彼女のセッションには以前参加した事がありますが、すごくジェスチャーが大きく、エネルギーいっぱいのアクションを通じて要点を理解できるという定評があります。今回の結論はチームを変えたければ自分が変わらなくてはいけないという事でした。


US-Japan Forumの井手祐二先生による「資金繰り(ビジネススクールで教えない資金繰りのノウハウ)」英語名タイトルはCash Flow (Know-How of Cash Flow Not Taught in Business School)が始まりました。

CCD監視カメラ、遠隔病理診断システムの開発販売に携わられてた方で、近年では鹿児島大学北米教育研究センター長兼特任教授、JUNBA(サンフランシスコベイエリア大学間連携ネットワーク)会長などを歴任しています。

講義内容は1)企業会計の基礎、2)キャッシュフローと資金繰り(実践編)そして3)資金繰りの秘訣(実践編)の三部構成で、彼の起業時のご苦労など、ご自身の体験をもとに解説される話には説得力がありました。
結論?それは「すべては経営者とステークホルダーとの信頼関係です!」という締めの言葉で表されています。つまり、資金繰りで困った時に助けてくれるのはステークホルダー(利害関係者)であるということ。ビジネスを一緒に行う、株主、投資家、顧客、社員、銀行、仕入先、販売代理店、コーポレートパートナー全員がビジネスの成功に関与しているということです。よって、日頃から良い関係を構築し維持する努力が大事であるという当たり前の様ですが、本当にこの意味を理解できているのは体験者だけでなないかなと思いました。
その次のセッションは「ワークショップI :ビジネスアイデアの作成演習」でした。ここでは井手先生が提案するビジネス・アイデアメモ用紙を使ってアイデアを整理し、有意義なアイデアに高めるという技能の訓練の仕方を学びました。(ご興味のある方は是非次回のトライアルイベントもしくはフル研修にご参加ください!)


そしてピザ・ランチをしながら、私が講師となり「ワークショップII : JABI風サプライズ演習」を行いました。サプライズとしたのは、あまりテーマそして内容に関して準備(心の?)をして欲しくなかったからです。

参加者をランダムに3グループに分け、各グループ内で各自がワークションップIで考えたアイデアのビジネスプランの概略を説明し、グループでアイデアを一本化するという作業を行いました。ここでは3つを学びます。1)強いアイデアを持っている人たちは我が強く自分のアイデアに溺れてしまうという傾向があります。ここでは相手を尊重し、自分のアイデアとグループメンバーのアイデアとの相違をニュートラルに議論します。2)採決で選んだアイデアを軸とし、各自のオリジナルのアイデアの部分を足すことによって相乗効果を得る、もしくはハイブリッド的なアイデアに修正しビジネスプランのレベルを高めることを行います。そして3)我の強い人たちの集団によるビジネスプランのプレゼン資料を作成することによっていかにしてそれぞれの技能・能力を目的に向かって引き出すかを体験します。イノベーションを起こすにはこういった風土・習慣が必須であると私は考えています。


といった感じで参加者全員でベストの案を決めるました。もちろん、VCがスポンサーではありませんので賞金はありません。(笑)


さて、後半は「おでん」を食べたりワインを飲みながら、井手先生に「“カリフォルニアのワイン王”は日本人だった」という雑談をじっくりと語っていただく予定でしたが、時間があまりなく概要だけで終わってしまいました。ご興味のあるかたはインターネットで「長澤 鼎(ながさわ かなえ)を検索してください。江戸時代の薩摩藩士でイギリス留学後、カリフォルニアに渡ってきた方です。


今回のエンタメは「マーケットで買えるワインの試飲会」という名目で、お寿司の松竹梅といった感じの三階級の値段のワインをブラインドテイスティングをして、どのボトルを飲んだかを当てるというゲームです。その3本とは上記にでてきたNagasawa Chadneyを始め、Kendall Jackson そしてQuali Oakです。ワイン通の人もいればそんなにワインを飲まない人たちもいましたが、試飲参加者6名のうち、なんと正解者はたったの一名(千菊さん)!しかも好きなワインが高価な順だったのも千菊さんのみ!彼の舌が凄いのが良くわかったのと同時に、人間の舌がいかにあいまいで、ワインの能書きや銘柄による先入観に惑わされるいい加減なものであると。。。
ビジネスプランの順位とワインの好みの順位を決めるのでは、どちらの方がブレないのだろうかと感じさせる試飲会でした。

銀行員、起業家、会社員、主婦、学生など多様な方々が参加されました。それぞれのキャッシュ・フローに関する知識は違うものの、アンケートでは良い評価をいただき、講師全員非常に喜んでおります。

来年も定期的に開催し、フルバージョンも2回ほど実施したく思っています。是非、ご参加ください!そして、皆様、良いお年をお迎えください。

大永英明
Co-Founder, JABI







Saturday, February 25, 2017

US Japan Forum夕食会 レポートFebruary 20〜22, 2017

インターン 弘川奨悟

シリコンバレーにあるロボット関連会社、Innovation Matrix社で、今春インターンをしている。弘川奨悟です。

US Japan Forumの夕食会に2/20()2/22()3日間、参加した。夕食会では、シリコンバレーで活躍されている方々のお話を聞かせて頂いた。私は将来、エンジニアとして活躍したいという夢があったので今回の夕食会はとても貴重な時間であった。今回はシリコンバレーで活躍されているエンジニア、経営者、コンサルタント、投資家、研究者、フォトグラファー、など多種多様な仕事の話や仕事価値観や人生に関する価値観を聞くことができた。本レポートは3日間の夕食会のまとめである。

今回の夕食会では様々なことを学ばせていただいた。その中のいくつかを以下に示す。
  いろんな所に行き、いろんな人と会話し、常に考えて生活する
  失敗したからこそ成功できる
  周りの流行に振り回されずに行動する
  どういう人生を生きたいかを自分で考えて仕事・生活をする
  以上のことを継続することが重要

シリコンバレーは特に都会ではないが数多くの企業が存在し、世界の最先端技術を開発しており、ビジネスの仕方も多様化している。では、なぜシリコンバレーなのか??
シリコンバレーには、スタンフォード大学、UCバークレーなど、優秀な人材が集まる大学が多くあり、「新しいことをやろうとする人」や「世界を変える」という想いがある学生または卒業生が新しいビジネスを次々と行っている。また大学側も資金の援助などの支援を行っている。そしてビジネスが成功して引退した後もシリコンバレーに残り続け、新しい世代の若者の支援を行っている人が多い。このようなエコシステムが出来上がっているため、全米の投資額の約4割がシリコンバレーとなっており、ユニコーン企業(企業価値が10億ドル以上で非上場のベンチャー企業)の数も世界一となっている。日本には「出る杭は打たれる」という言葉があり、新しいことや珍しいことを始める人に対して否定的な文化が未だにあるように感じる。これに対してアメリカでは「他人と違う」ことが当たり前という文化があり、周りの視線を気にして発言をしないということはなく、自分の考えをどんどん発信する人が多いと感じる。

今回の夕食会に参加されていた方々も、学生時代に自分の考えを積極的に伝えるために様々な工夫をされていた。日本では「グローバル」という言葉をよく聞くが、日本人が今以上にグローバルに活躍するにはどうすればよいだろうか。英語ももちろん大事だが、異文化を理解しお互いに尊重する心や決断力、自分の考えをどんどん発信することも重要であると思う。日本でも、英語だけでなく自分の考えを積極的に伝え、決断力をつけるような教育も、保育園、小学生のころからするべきだと感じた。また、シリコンバレーでは、ビジネスに失敗してもリスペクトされる文化があり、これも日本とは異なると感じた。

2017220()
・大永英明(Innovation Matrix)
・川鍋仁(SunBridge)

2017221()
  Aya Iwasuji (NEDO)
  Mitch Kitamura (Draper Nexus)
  安藤先生(Stanford University)
2017222()
・高橋麻里(PASONA)
・竹内直実(TESLA)
・加渡友美(axxentureGoogle)
Shinichiro Nishino (NEC)
  Dai Sugano (The Mercury News)