Tuesday, May 17, 2011

タイ・ロングステイプランの動機を訊かれて

初めに文章の伝達力について一言ブチたい。E-mailが普及して電話連絡を省いても連絡出来る便利な世の中になったのですが、最近E-mailは一方通 行だと感じるようになった。文章には意思の疎通が目的の一つにあるがが、自分の思い入れがある為、相手にこちらの意向(趣旨)を伝えたつもりが伝わらない 時がある。相手は相手で思い入れがあるからだろう。やはり肉声を聞き、顔と顔を突き合わして話した方が意思伝達には都合がよいが、昨今のグローバル時代に は時間が無さ過ぎる。それでは本題に入りましょう。

*どうしてその考えに至ったのか?
結論から答えますと、わたしの場合は性格と年齢的人生観からです。性格は面倒臭がり屋で怠け者。それ故、何か問題があると逃げてしまう。逃げの天才で す。問題が生じると逃げて過ごしていました。ですから60歳を迎えるにあたって、残りの人生もあくせくと働かずのんびりした暮らしをしたいと願った訳で す。一昔前の親父の時代には一般的に55歳~60歳が定年で、リタイヤメント生活が始められたような記憶があります。かつて日本社会では55歳を働ける限 界基準としていました。ところが現在は55歳では年金は支給されず、(その代り、皮肉な事に早期退職制度が普及している)アメリカでもいつの間にか62歳 からしか年金を受け取れなくなったばかりか、66歳の受給額まで待たないと経済的にリタイヤ生活は出来ません。おまけに夫婦二人の年金を足しても危うい暮 ししかできない現実の壁にぶちあたりました。(資産があれば別でしょうが)チョイスは2つです。甘んじてぎりぎりの老後生活に耐えるか、暮らしに必要な費 用をどこからか捻出するか、です。わたしの場合、いまの状況ではどちらも無理です。

ではどうすればよいのか?・・・・そこで発想の転換(逃げの極地)です。マルチハビテーション(またはマルチビジテーション)を考え出しました。

アメリカに未練はないのですが本拠地をサンフランシスコ近郊として、物価の安い国へ何ヶ月か滞在すればリビングコストが浮きます。タダ物価の安い国であれ ばどこでも良い訳ではありません。最初に考慮しなければならないのは治安の問題と気候条件です。アメリカの隣国メキシコは気候も好いし、物価も安いのです が、治安が心配。治安の良い、日本やヨーロッパの先進国は物価が高いのでパス、この二つの条件を満たす場所として、物価の安いアジア圏に焦点を合わせた。  

次に海外居住生活で心配なのが医療水準(技術)。物価の安さではラオス、ミャンマー、カンボジア、ベトナム、チャイナ(上海、北京を除く)などだが、治 安や医療水準に問題があるので没。医療技術の高いマレーシアかタイに絞った。マレーシアはアジア圏では日本人に一番人気のあるロングステイ国であるが、わ たしはここ数年、大小企業が目白押しに進出しているタイを敢えてチョイスした。その理由は単純だ。マレーシアの人口の80%以上がイスラム教信者の国と比 べ、タイは90%が仏教信者である。宗教差別をするわけではないが、日本人のわたしは仏教徒の方が馴染みやすいからだった。

また食生活もロングステイには重要な条件の一つだ。いくら安くて美味しくても毎日タイ料理ばかり食べているわけにはいかない。日本人はやはり日本食を好 む。幸い、タイでは日本食品が日本にいるのと遜色が無いほど手に入る。  

決定打は高齢者介護施設が充実している事だ。いまのところいつでも入居可能だし、人件費が安いので介護人が十分に足りている。わたし達夫婦も体の自由が 利かなくなったらお世話になろうと考えている。アメリカも日本も低額所得者の高齢者施設は2~3年の空き待ちのようだ。それもギャランティーではない。戦 後のベビーブーマー達が今年で65歳を迎えるにあたって、今後十年間は高齢者人口の増加は免れないのに日米では低所得者層高齢者施設が不足している。その 事を両国の行政機関も熟知しているが、財政赤字を抱えていて手付かづの状態である。  

インターネットでロングステイを検索すると、わたしと同じ考えのマルチハビテーションを斡旋する会社があった。近年の元気な高齢者に相応しいライフスタ イルを推奨している。元気なうちは海外生活も楽しむべきであり、いざ介護が必要な時はタイへ移住すればいい、なんと気楽な人生だろう。(もちろん、アメリ カでも日本でも生活にゆとりのある人はタイへ移住する必要もないのだが)  

そんな折、あの東北地震、津波、原発災害が起きた。死者や行方不明者を合わせると3万人とも4万人とも言われる。幸い助かった人達も家を失くし、仮設住 宅が割り当てられるまで他に行き場所がなく、避難所生活を余儀なくせねばならない。そんな中でリタイヤ生活を送っている高齢者には精神的に追い詰められて いる人も出ているのではないだろうか?選択の余地がなければさらに精神的負担は加速する。わたしは精神科医ではないがこんな時、選択の自由があれば救われ るのでは?逃げ場所があるということは選択の自由があるということではないだろうか。  

話は飛躍するがアメリカの豊かさとは何か、といつも考えている。わたしが渡米した37年前、驚愕といってもけっして大袈裟ではないカルチャーショックに あった。いまの日本の若者には想像もつかない程、日米間では生活水準にギャップがあった。唯一、日本がアメリカより優れていたのは食文化だけだった。では 豊かさとは何か?それは選択の豊富さと自由な選択ではないだろうか・・・・  

電子辞書で“リタイヤメント”を引くと、隠遁、隠居、退職、引退とある。社会人を辞めて余生をのんびり暮らすと言う事だ。わたしもリタイヤメント生活を 間近にして心の準備をしている。

5月17日(雨)2011年
今井 (イマイ企画)
JABI MEMBER

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