岩村公彦 日米間のビジネスアレンジメントの仕事をしていて、一つ思う事は、両国でのvalue chainの構造の違いだ。
「モノ」 のvalue chainは、大きなくくりで、材料 → コンポーネント → モジュール → 商品・パッケージ → 顧客、となる。
米国では、各chainの輪毎に多くのplayerが居て、しかも、ベンチャーでも(時には、大学の教授でも)参入できる間口が確保されて いる。そして、value chainの輪の間での 関係は、many-to-manyなので、player達は、value chainの前後の関係で、自分のchainの輪の中での競争をしなければならない。自分の輪で、マーケットシェアをとり、コントロールパワーを持つと、 バーティカル・インテグレーションのチャンスが生まれる。でも、下手にインテグレートすると、選択肢を狭めるリスクもある。この様な構造でのダイナミック なビジネス展開が産業全体を育てる。
日本の場合は、主流となっているvalue chainは、大企業が、グループ会社や中小企業の囲い込みにより、バーティカルにインテグレートしていて、chainの輪の間の関係は、one-to- oneの関係になっていて、競争がない代わりに、大企業の事業の状況で、各player達のビジネスが左右される、という状況が生まれる。又、一度確立し たvalue chainには、中々、新たに参入し難い構造ではないかと思う。大企業が中小企業のvalue chainへの囲い込み(下請け化)を解き放ち、many-to-manyの構造を促進し、その事で、優れた技術とビジネスをもつ中小企業が、グローバル に進出するベースを作り、かつ、ベンチャービジネスを生み出す基礎を作り出して行くのではないか、と思う。many-to-manyの競争は、value chainの全般に渡って、痛みも伴うが、健全な産業育成につながる。
大企業のvalue chainの変革は中小企業のグローバル化に貢献出来る、と思う。
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