5月14日第7回JABIサロンは、JABI会員以外の外部からの参加も多く、講演後の議論の盛り上がりが良い、とても楽しいサロンになりました。
スピーカーの福永健氏は、GEでConsumer Electronics Divisionに就職され、その後独立されGE 社での業務体験を基にして「Japan and International Design」の基本的な考えを生み出し、日米企業のデザインコンサルタントとしてToyota, Honda, Pioneer, Zojirushi, Dentsu-young Rubicam, Clorox, DolbyLaboratories 等で活躍された方です。
今回のJABIサロンでは、福永氏が1982年米国商務省のイベント、World Trade Weekで発表されたプレゼンテーション “Japan and International Design”と、その約30年後の現在に同デザイン理論の基本的な考えが持つ意味と、日本企業にとっての国際マーケット、特に米国マーケットの重要性について、福永氏よりご講演をいただきました。まず、基本的なコンセプトとして、福永氏は米、日、欧文化の特徴を3色の割合で表し、米国がBig, Solid, Powerful, Muscularなどを特徴とする”Boldness”、日本がArtistic, Fragile, Detailに代表される”sophistication”,ヨーロッパはDiscriminative, Philosophicalなどに代表されるDistinctnessを文化的特徴とし、日本,米国,欧州の文化的特徴が、国際マーケットに於けるデザイン傾向を支配している、というお考えを述べました。
マーケットで勝利する商品デザインを生み出すには、個々の文化の特徴を均衡に融合した考えの製品を生み出す必要がある。マスマーケットで勝利を得るにはそれが最重要事である。なぜなら過去3大文化圏マーケットで、数多くの日本製品が成功を収めたのは、製品上での文化融合結果が良かったからと福永氏は考えます。そして、これら日本製品を“インターナショナルデザイン”製品と呼んでいます。
その考えを元に、福永氏がいくつかの例を紹介しました。1982年と30年後現在の例として、ホンダの車がインターナショナルな市場で成功をしたのは、後ろから見た車の姿に「特徴」が多いから、というのが非常に面白いと思いました。
福永氏の発表の後、「日本の良さ」について議論しました。参加者全員が議論に積極的に参加し、自分の経験で、どういう時に日本のものが優れいていると感じるか、という話で盛り上がりました。日本に住んでいると日本の良さがなかなか見えない。日本から来た日本人に、「日本はこういうところが良いですね」と言うと、みんなびっくりする、という九州大学の松尾先生のお話も興味深かったです。
普段シリコンバレーで仕事をしていると、「先端技術」を追うことばかりに捕らわれてしまい勝ちですが、福永氏の、「インターナショナルデザイン」という考え方がとても新鮮に感じました。例えば、筆者はライフサイエンス系のコンサルティングをしているが、これまで、「デザイン」がどれだけバイオテックの製品に重要か、ということを正直考えたことがありませんでした。一方、他業界では例えばアップルの戦略にデザインが非常に重要であることは明らかです。商品の外観から、マーケティング手法、さらには商品を購入した消費者がパッケージを開封する瞬間の感動まで包括的にデザインされていることから、アップルのデザイン戦略は非常に計算されつくされていると言えます。
バイオの製品、例えばそれが幹細胞(ステムセル)の製品であれば、製品のパッケージングなのか、使用頻度なのか、それをサポートするインターフェースなのか、色いろあると思いますが、それをデザインの観点でもう一度見なおしてみるのも面白いと思いました。
大変おもしろいお話をしていただき、福永様ありがとうございました。ご参加いただきた方々、また次のサロンにもぜひご参加ください。
二村晶子
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