1 (1) 2050年カーボンニュートラルを実現するグリーン成長戦略
- 2020年10月、日本政府は「2050年にカーボンニュートラルを実現する」と宣言した。
- 温暖化への対応を、経済成長の制約やコストとする時代は終わり、国際的にも、成長の機会と捉える時代に突入している。
→従来の発想を転換し、積極的に対策を行うことが、産業構造や社会経済の変革をもたらし、次なる大きな成長に繋がって行く。こうした「経済と環境の好循環」を作って行く産業政策がグリーン成長戦略である。
- 「発想の転換」、「変革」と云う言葉を並べるのは簡単だが、実行するのは並大抵の努力ではできない。
産業界には、これまでのビジネスモデルや戦略を根本的に変えて行く必要がある。
新しい時代をリードして行くチャンスの中、大胆な投資をし、イノベーションを起こすと云った民間企業の前向きな挑戦を、全力で応援=政府の役割。 - 国として、可能な限り具体的な見通しを示し、高い目標を掲げて、民間企業が挑戦し易い環境を作る必要がある。産業政策の観点から、成長が期待される分野・産業を見出すためにも、先ずは2050年カーボンニュートラルを実現するためのエネルギー政策及びエネルギー需要の絵姿を示すことが必要。こうして導き出された成長が期待される産業(14分野)において、高い目標を設定し、あらゆる政策を総動員する。
1 (2) 2050年カーボンニュートラルを実現するグリーン成長戦略
- 電力部門の脱炭素化が大前提
現在の技術水準を前提とすれば、全ての電力需要を100%単一種類の電源で賄うことは一般的に困難である。従って、あらゆる選択肢を追求する必要がある。
再生可能エネルギー …最大限導入。コスト低減、地域と共生適地の確保、蓄電池活用。洋上風力、太陽光、蓄電池、地熱産業を成長分野に。
水素発電 …選択肢として最大限追及。供給量・需要量の拡大、インフラ整備、コスト低減
水素産業・燃料アンモニア産業を創出。
火力+CO2回収 …選択肢として最大限追及。技術確立、適地確保、コスト低減
火力は必要最小限、使わざるを得ない (特にアジア)
カーボンリサイクル産業の創出
CO2の部門別排出割合
電力由来:37%、産業:25%、運輸:17%、業務・家庭:10%、その他:11%
原子力 …安全性向上、再稼働、次世代炉
可能な限り依存度を低減しつつ、安全最優先での再稼働
安全性等に優れた炉の追求
(JABI理事・ 木村惇夫)
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